銀行窓口は不要になる?
■はじめに
振り込まれた給与の引き落とし、学校の入学金の申し込み、振り替え、口座開設、お金に関わる主要な「器官」ともいえる銀行。
この「器官」がお金という血液を流し、日々の生活を送る事が出来ている。
しかし、この銀行が既に「器官」としての機能を有していないと言うのだ。
正確には銀行における窓口の利用率がコロナ禍経て、ネットバンキングの利用増加に伴い減少している。
確かに、銀行にはほとんど言った記憶が無い。病院に行く前に現金が欲しいい時や、結婚式の新札が欲しい時、特に理由は無いがちょっと記帳してみたくなった時以外行った記憶が無い。
「何かが出来る感」も「何かをしてもらえる感」も正直全然感じられない、無な感じだ。むしろ図書館に行った方がよっぽど良い気がしてくる。
■銀行業務とは
では銀行は何をしてくれいるのか。改めて見て見よう。
※都市銀行や地方銀行等の種類によって多少変わるだろうが、一旦考慮しない。
上記には各業務がさらに詳しく記載されている。
なるほど、一言でまとめると「預貯金や融資を主軸としながらも、お金に関する商品を販売し、様々な手数料を得ている」感じだろうか。
こう見ると何もしてくれていないわけではない。
ではなぜ「何かが出来る感」も「何かをしてもらえる感」を感じる事が出来ないのだろうか。
■銀行の価値
実際には私の預金を預かり(運用し何処かの誰かの融資になり)、安全に管理され、生活に必要な資金移動を実行してくれている訳だが、「何かをしてもらえる感」が無い。
もしかしたらそれは「所有感」にあるのではないだろうか。
現金を主体としていた頃は実際にある「私の札束」を厳重な金庫に保管してもらっていたイメージがありそうだが、デジタルネイティブな世代において現金ではなく画面に表示された「データ」がお金となる。
そのデータは口座に保管されるわけだが、常に見れる「データ」は感覚として「私が常に保有している」感じでは無いだろうか。
ただ口座と言う画面を通して自分の所有している映像を見ている感じであり、そこに銀行に「やってもらっている感」を感じる事は難しいのかもしれない。
では実際にはどう感じられているのか、全銀が「よりよい銀行づくりのためのアンケート」として出している資料で確認してみる。
※個人では無く法人から見た価値観は割愛する。ケースバイケースであるのと同時に個人から見た集合知が法人にも影響するであろうと想定するからである。
■銀行の利用目的
まず、個人が口座利用する目的は「預金」「現金の入出・振込」が大半である。逆に他の%があまりに低くて驚いた。
また、「インターネット専業」は資産形成や現金の入出が他銀行と遜色ない値にも関わらず、投資やNISA等の値が比較的高い点も特徴といえるだろう。
2021年のデータの為現状はこの割合がもっと高いと想定出来る。
■銀行の印象評価
次に「なぜ利用するのか」のアンケートである。
これを見て少し残念な気持ちになった。
総じて「ATMが近くにあって使いやすいし、商品とかサービスはたいして良いと思っていないけど、給与もそこに振り込まれるし使っている」と言った傾向になってしまう。
環境的に便利ではあるけど、たいして良いとは思っていないものを仕方なく使っている。
子供の頃、実家の周りで泥だらけになって遊んだ後、外にあるボットン便所を利用した事が思い出されてしまった。汚れているし仕方ないか、と。
■銀行の満足度
しかしながら満足度は高めの水準になっている。
総じて8割前後もの人が満足しているらしい。
しかしそれは「今銀行に期待する事」が充足されているだけでは無いだろうか。その期待値は非常に低くないだろうか。。。?
■店舗・ATM・ネット利用状況
各チャネル(店舗・ATM・ネット)の利用状況を見てみる。
併用についてどう集計されているのか良く分からなかったので単純比較はできないが、ATMの利用頻度がかなり高い事が見て取れる。
これは前段の利用目的とも合致する。
■決済手段別利用目的
次にどんな内容に利用しているか、のアンケートである。
現金の利用は個人間でのやりとりや小売りでの支払いが多い。次いで冠婚葬祭になっている。
逆に現金以外の利用は小売りでの支払いやオンラインショッピングの利用が多い。日常生活で現金を利用する機会が減っている中、当然と言えば当然の傾向だろう。
■銀行への期待
では、この銀行に今後期待する事はどんな事だろうか。
待ち時間・防犯・トラブル対応・決済サービス等のニーズがある中、悲しいかな4割の人が「特にない」らしい。
■新しい銀行窓口を考える
ここまでのアンケート結果で、「ATMあるし便利だから使ってる。もうこれで満足だから期待もしてない」と何とも寂しいイメージになってしまった。
では、ここまでを踏まえて「新しい銀行窓口」はどんなモノが考えられるだろうか。
①預貯金の「価値」を見える化する
例えば、私が給与から口座に振り込まれた5万円のうち、10円が近くの電気屋さんの運転資金に使われ元気に営業できている。とか、50円が新婚さんの新築購入資金に使われ生後1歳の赤ちゃんが楽しく暮らせる、とか。
そんな情報を店舗で見える様にしてはどうだろうか。
見えると何となく自分にしかない「所有感」を変える事が出来るのでは無いだろうか。ブロックチェーン的な何がしかで出来ないだろうか。
②利便性に振り切る
アンケート結果としてATMの利便性を多く感じられていたため、この利便性に振り切る。チョコザップならぬ、「ちょこ行」である。あくまでも銀行業務は「ついで」に出来る要素として残すが、生活における細かい事と支払いをセットで行える様にする。
荷物の発送からクリーニング、ちょっとしたネイルケア等なんでもできる空間があり、ATMと差別化する為にそのサービス全てが口座紐づけされている状態であるべきだ。
利用者は「自分の口座」を使ったサービスが自由にそこで受ける事が出来る。そんなイメージだ。
「口座を使ったサービス」をコンビニとどう差別化するかが肝要になってくる。
③特定のサービスと一体化する
思い切って医療・福祉サービスと一体化してしまう。
今後の少子高齢化を考えれば、「リアルの接点があり」「お金を使い」「頻度が高い」医療・福祉サービスと一体化してしまうのはどうだろうか。
もちろん法人向けの融資事業などは継続するが、個人向けのサービス主体として多くの人が集まる主要な箇所に存在する店舗を有効活用するのである。
また、高齢者が「地方銀行窓口であれば安心して行ける」といった心理的な安全性もあったりするかもしれない。
■終わりに
銀行窓口の業務からアンケートを確認し、銀行業務を考えてみた。
実際調べてみると不必要であるという意見の記事も多く見られた。しかし、「不必要であると言う意見が出ている」からこそ新しい仕組みやサービスが生まれる転換点と捉えるべきでは無いだろうか。
しらんけど。
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