海面下
物語の主人公になったらさ、
思い出したいような、
忘れたいような、
でもそのどっちかにならなきゃってさ、
一生悩んだりしてさ、
言わなかった後悔ってさ、
あとからじわじわ攻めてくるって言うしさ、
言ったもん勝ちだなんて誰かは言うしさ、
結局何が正しいかなんて分からないしさ、
周りは自分が安心するもので
固めておきたいなんて思うしさ、
できれば慣れた環境に身を置きたいもので
心の安寧を保ちたいと思うしさ、
あの時こうしてたらなんて考えたところで
その頃の自分に戻れるわけでもないしさ、
幸せだったあの時に戻ったらと思ったところで
あの頃の自分でいられるわけでもないしさ、
結局答えのない答えが穴から出ないまま
海の中でうごめいていたり、さ。