【詩】不死身の恋人【なもなも】
■本日の詩『不死身の恋人』
誰かは私が悲し過ぎるせいだと言った
誰かは私があなたを愛していなかったからだと言った
私にはただ分からないの
あなたが死んだってことが
だってあなたは
おとぎ話の挿絵に出てくる紫の蝶
夜道を照らす月の光
私が歌うラブソングの ワンオクターブ下のコーラス
私を一番綺麗に映す魔法の鏡
だからあなたは死んだりしない
今日はあなたに会えない日
ただそれだけなの
私は今日もあなたのためにおしゃれをするし
あなたのためにいい匂いのお風呂につかるし
あなたのために赤いリップを塗る
うっかり会っても 自信をもって駆け寄れるように
次にあなたに会う時のために新しい料理を覚えるし
あなたがいつ突然訪ねてきてもいいように掃除をするし
あなたと一緒に聞くためにテイラーの新曲をダウンロードする
あなたの誕生日プレゼントを考えながらショッピングをするし
老後にはあなたと軽井沢に住むために貯金をするし
あなたと長生きできるように毎朝ジョギングをする
誰かは私が悲し過ぎるせいだと言った
誰かは私があなたを愛していなかったからだと言った
あの人たちは知らないのよ
あなたが不死身だってこと
(作 なもなも)