【駅・コンビニでご当地🍙】#17 広島と言えば外せない、美味しいごはんのでっかいおむすび「むすびのむさし」の「山賊むすび」と「若鶏むすび」
本マガジンは駅弁紹介とは異なり、慌ただしい旅行中でもぱっと立ち寄れる駅やコンビニ、駅近くのスーパー等で簡単に購入でき、かつご当地感のあるおむすび・おにぎりを取り上げるコンセプトである。とは言え、広島へ行くなら「むすびのむさし」を外すことは到底できない。
一度でも広島へ行かれたことのある方ならおそらくご存知であろう。常に行列ができている広島駅構内の店舗やマツダスタジアム店をはじめ、市内数か所に店舗を構えるおむすび・お弁当の専門店である。イートイン店舗もいくつかある。
私は十数年前に同店の存在を知り、その時は何故ここまで人気があるのか、今ひとつ解せなかった。お弁当のメニュー自体はどれもごくスタンダードで、とりたてて変わったところは見当たらなかったからだ。旅行者としてはいかにも広島らしいあなごめし、広島菜や蛸等のご当地食材に惹かれる。「むさし」は行列を尻目に後回しになっていた。
が、次の広島行きを目前に職場でその話をしていた際、同県出身の後輩に「広島行くなら『むさし』は絶対行った方がいいですよ」と言われた。
私は彼の意見に一目置いていた。彼は生まれつき様々な感覚に優れ、それらを言語化することに長けていた。食についても、美味しいものの特徴をポイントを絞って的確に伝えてくれるので成程と感心させられることが多く、これまでにも「『桐葉菓』は美味しいですよ。広島の人はもみじまんじゅうよりこっちを買います」とか、「宮島のあなごちくわうまいですよ。蒸したのもいいけど焼いたやつ。皮がこう、パリッとして香ばしくて最高なんです」とか、思わず行って食べたくなる情報を度々提供してくれていた。会話からもわかる通り、彼はこよなく地元広島を愛している。
その彼が「むさし」へは絶対行けと言う。「どうして?」と訊ねてみると、彼は即答した。「米がうまいんです。だから並ぶんですよ」…なるほど。それはぜひ行ってみなければ。頷くと、彼は更にこう付け加えた。「梅ももさん秋田の人だから米にはうるさいでしょう?広島の米もうまいから、ぜひ味わってみてください」
そうして行った初めての「むさし」。後輩から「でっかい三角の『山賊むすび』っていうのが名物で、おすすめです」と聞いたので当時450円のそれを買った。驚くほど大きくて分厚い、海苔の巻かれた持つとずっしりと来るおむすび。それがひとつと、たくあんが二切れ入っただけのごくシンプルなお弁当。包み紙も旅情を誘う。
その美味しさに私は唸った。確かに広島のお米は美味しい。私の地元秋田をはじめ北日本~北陸の米とは違う美味しさである。私は北寄りの舌なのでどうしてもそれと似た味の米を美味しいと感じがちで、西日本の米は粒も小さいし割れやすいし旨味も少ないし…(すみません)と思っていたのだが、広島は違った。コメ自体に旨味があって力強い。特に「むさし」の炊き加減とやや強めの塩加減は、この米の美味しさを引き出すのに最適だった。これは美味しい。確かに美味しい。並ぶのもわかる。
という訳で、以後広島では毎回並んでも「むさし」の山賊むすび、またはからあげ入りの一番人気「若鶏むすび」弁当か俵おにぎり弁当を買うようになった。今回の広島行きでも、帰りに食べるために日曜の朝買いに行った。私はやっぱり「山賊むすび(現在は550円)」、夫用には「若鶏むすび(1,100円)」。前日広島駅に着いた11時頃にはすごい列だったので、翌朝9時頃行ってみると並ばず買えた。その日の予定を終えて夕方頃に広島駅に戻ると「むさし」は既に全品完売。早めに買っておいてよかった。
久しぶりに食べる山賊むすびは、やっぱり美味しかった。
中には鮭フレークとごま昆布が入り、側面には白ごまが貼り付けてあって、これが香ばしくて良い。しっとりと厚い海苔も美味しい。
「若鶏むすび」には、梅と昆布のおむすびが一つずつと大きなからあげが3つ、ウインナー、枝豆、口直しにオレンジと大きめに切られたキャベツが数枚入る。この大きいままのキャベツがまた良い。キャベツって甘くて美味しいよね、と改めて思う。分け合って食べるのにも便利なお弁当だ。
みんな大好きからあげ入り、かつボリュームのある若鶏むすびが一番人気というのは納得できるが、広島の美味しいお米を存分に味わいたい私は山賊むすびが好き。それはどうやら夫も同じだったようで、「不思議なことにでっかい『山賊むすび』の方が美味しく感じるんだよね」とのこと。次は夫もこちらかな。
そんな訳で、広島駅へ行かれたら是非「むさし」さんの山賊むすびをお試しあれ。並ぶ価値のある美味しさです。でも同店の入った広島駅ビル「ekie」2Fのお弁当コーナーはどこで買っても美味しいので(私のおすすめは「じんぼ」さんと「安芸太田町みんなの店」のおばあちゃんの手作り弁当)、そちらも是非。