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“梅干しらしい”梅干しに仕上がった初めての品種「石川一号」の紫蘇梅干し(塩分10%)と白干し(塩分18%)(石川一号その2、完成編)

ものすごく重たくなってしまった腰をようやく上げ、2024年の梅仕事についてまとめて行こうと思う。

今回は仕上がりについて未投稿だった今年の新顔「石川一号」について。
この品種は初めての石川県のローカル品種ということもあり、梅自体の味が知りたくてごくシンプルな梅干しを、白干しとしそ漬けで仕込んだ。
塩分は、最もシンプルな白干しは昔ながらの味を目指して18%、しそ漬けは梅の味が引き立ちそうなやや低塩10%。塩は、私が今年漬けた中では最もスタンダードなオーストラリアの天日海塩(梅ボーイズさんおすすめの、界隈ではパッケージから「ハイビスカスの塩」と呼ばれている塩)を使用した。

この塩分の差が、仕上がりおよび塩漬け中の経緯に予想以上に影響した。
やはり真夏に低塩で漬けるのは、少量でもリスクが大きいようだ。10%で漬けた方にはしそ漬け前の塩漬け中も、20%の塩で揉んだ赤紫蘇を加えて塩分を上げた後にも産膜酵母が頻発し、都度除去してホワイトリカーで洗う手間がかかった。
このため、塩漬けからまる1ヶ月が経過した8月4日(日)に即早朝から天日干し開始。

こちらが干し始め。ぷくぷくとして可愛い。

こちらがまる2日間干した8月6日(火)の早朝の様子。
石川一号は中粒種なので本来1日半も干せば十分なのだが、産膜酵母が出たため少し長めに干して日光消毒のつもり。

一緒に漬けた紫蘇もカラカラに干し、フードプロセッサにかけてゆかりに。

しそ漬けの後は梅酢に戻す、若しくはいくらかの梅酢を加えてしっとり仕上がる方法もあるが、私はしその風味が濃すぎるのは好みでないため梅酢とは分けて保管&熟成。

一方、白干しは秋田への帰省を挟んだ8月13日(月)の早朝から天日干しを開始。

こちらは十分な塩分で漬けて塩漬け中のトラブルも皆無だったため、1日半干した8月14日(水)夕方で取り込んだ。

塩分が高いので、ちょっと干すとすぐに表面に塩をふき、いかにも梅干しらしいルックス。美味しそう!

カビではありません塩です

という訳で、白干し(塩分18%、生梅⇒梅干しの完成重量は57%)、しそ漬け梅干し(塩分10%、生梅⇒梅干しの完成重量は45%)の両方が完成。
しそ漬けは低塩なので本来は縮みが少なく完成重量が重めになるはずだが、やや長く干したのと、産膜酵母除去時に皮破れが少々発生し、水分が少し流出したため軽めになったと思われる。その分梅酢はやや多め。

そして完成した梅干しの、11月1日(金)現在の様子。
白干しの方は梅蜜(完成後の梅酢)が大分しみ出て底にたまっている。しそ漬けの方は殆ど梅蜜が出ず、梅干し全体がしっとりする程度の湿り気。やはり梅から出る水分の殆どが梅酢、或いは皮破れ時の流出で出てしまったようだ。

梅干しの味については、面白いほど明らかな違いがみられた。
白干しはすごくしょっぱい。しょっぱいが、口の中に入れていると深みのある梅干しらしい味が舌の奥から感じられるようで、白いごはんと非常によく合う。おにぎりや、お弁当のごはんに入れるのに最高。(夫は焼酎のお湯割りに入れると最高と言っている)
しそ漬けの方は低塩なので、ごはんと合わせずそのまま食べても美味しい梅干しに仕上がった。いかにも梅干しらしい梅といった感じで、私はかなり好き。外出時の口直しに持ち歩くのにも良い。ドライブのお供にいつも何種類か梅干しを持っていくが、最近はこれを選ぶことが多い。白干しの中にひとつしそ風味があるとアクセントにもなる。
いずれにしても、梅そのもののの味が「昔ながらの梅らしい梅」を思わせる、定番として優れた梅品種だと思う。さすが選抜種。

なお、この梅ではシロップ煮とジャムも少量ずつつくったが、どちらかというとおとなしい味だった。個人的な感触だが、梅ジャムや梅のシロップ煮などの梅を甘くする加工では、杉田梅や十郎梅、谷沢梅など、元々の酸味が強い品種か、加熱しても味や香りが残りやすい品種(城州白など)の方が梅らしい風味がしっかり出て、美味しく仕上がるように思う。

まとめると、石川一号は中粒で、香りや酸味ともに中程度の、梅干し向きのスタンダードな品種。低塩で漬けるとややフレッシュ(今回で言うとしそ漬け)に、高めの塩分で漬けると漬けたては非常にしょっぱく(でも味があって美味しい)、熟成につれ次第に落ち着いて尚美味しくなる、この点でも非常にスタンダードな外れのない品種だと思う。
ただ、生梅で届いた時点では高く感じた香りは、加工するとほぼ飛び、特徴とするほど感じなくなった。そこが当初似ていると感じた城州白とは異なる。故に香りのよい赤紫蘇と組み合わせるのにも向く。
梅干しにすると非常に良い味なので、機会があればまた手に取って漬けたい品種のひとつだ。

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