【おうちで発酵・漬物】#1 青梗菜の発酵漬で長岡風「煮菜」
しゃくし菜や野沢菜、高菜など葉野菜の漬物が好きだ。浅漬けよりどちらかと言うと古漬けに近い酸っぱい方が好き。市販の白菜漬けを袋がぱんぱんになるまで発酵させ、豚肉や搾菜と煮込む台湾風の「酸白菜鍋」も毎冬作る。身体が温まってとても美味しい。
という訳で、身近な葉野菜で発酵漬けって作れないかな?と各地の漬物について調べた。
共通するだいたいの作り方がこんな感じ。
《葉野菜の基本の漬け方》
1)洗って半日〜2日程度天日干しする(葉や茎が固くて折れそうな場合は干してしんなりしてから洗う)
2)重量の2〜4%の塩を加えて揉み込んで水気を出し、重石をして常温で数日〜1週間程度下漬け(翌日になっても材料から出た水で全体が浸らない場合は同濃度の塩水を加える)。本漬けをしない場合はこの段階でお好みで唐辛子や昆布、柑橘類の皮、スパイス等を加えても。
3)ザワークラウトや高菜の塩漬けの場合、そのまま好みの味まで常温発酵(頃合いになったら冷蔵庫へ)。醤油漬にする場合は下漬け後に水気を絞って調味液に漬け、必要に応じ冷蔵保存。
「液に浸った状態」と「重石」がポイント。重石をしないと水気は出にくく、水気が足りずに材料が浸らないとカビたり腐ったりする。
いくつかの野菜を試し、現状最も良い感じなのが青梗菜。初回から至って順調に水が出て良い感じに発酵した。太い茎と柔らかい葉は白菜や高菜等と似ている。実は漬物向きかも知れない。
葉野菜漬ができたら是非作りたい料理があった。長岡の郷土料理「煮菜」である。
今回初めて知ったが新潟には「体菜」「長岡菜」と呼ばれる菜っ葉の漬物があり、これを茹でこぼして塩抜きし、煮干しや打ち豆と炒め煮にする「煮菜」がよく作られるそうだ。これは美味しそう!煮干しや漬物からさぞ良い味が出るに違いない。
という訳で、漬けて2週間ほど経つ青梗菜で作ってみた。
打ち豆は茹で大豆で代用。味付けは酒粕や味噌を加える家庭が多いそうだが、材料から十分味が出たので微量の醤油で整えるのみとした。
《長岡の郷土料理「煮菜」、代用バージョン》
◆材料
・青梗菜漬け⋯食べたいだけ
・煮干し⋯ひとつかみ(大20尾程度)。頭と内臓は苦味が出るので除き、食べやすい大きさに割いた。
・油揚げ⋯1枚。短冊切りに。
・茹で大豆⋯適量
◆作り方
1)予め水に漬けて塩抜きした漬物を二度茹でこぼし、3cm程度に刻む。
2)フライパンに油を熱し、漬物と油揚げを炒め、全体に油がまわってしんなりしたら煮干しと大豆(本来は打ち豆)も加えて炒め、馴染んだらひたひた弱の水を加え、落とし蓋をして10分程度煮、少し煮汁が残るくらいで火を止め、冷ましつつ味を含ませる。
3)食べる前に温め返して味見をし、足りなければ醤油か味噌、酒粕で整えてできあがり。
美味しかった。味がとても我が家好み。
炒めた漬物と煮干しの旨味が合い、その味がしみた大豆の味と食感も良い。全体をまとめてくれるのは油揚げの優しいこく。これは良い!ごはんのおかずにもおつまみにも良く、胃腸に優しい。
青梗菜漬は油との相性が良く、炒めるとより美味しくなる。飛騨名物「漬物ステーキ」向きでもあると思う。
長岡は好きな土地のひとつだ。
20年近く前、夫の親友の長岡のご実家に招かれたことがある。その際のお母様の家庭料理がどれも美味しかった。特に車麩煮のとろんとした舌触り、煮含めた優しい味付けがたまらず、夫と二人でお腹いっぱいいただいてしまい、お土産にも大きな車麩を三本も持たせてくださった。切らないままの車麩はとても身厚で、だからこんなに美味しいのねと感じ入った。
以降我が家では長岡の車麩が大のお気に入り食材。いつも常備されている。
長岡へは1~2年に一度は行くので名物はほぼ知っているつもりだったが、体菜は初耳だ。今度行ったら是非買いたい。
そろそろ長岡行きたいなあ。