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次々箱買いされて行く秋田の大人気和スイーツ、上品なあんこにすりごまたっぷり「畠栄菓子舖(八郎潟町)」のあんごま餅、甘さ控えめ食べやすい羊羹
秋田県内では今、八郎潟町がちょっとした注目を浴びている。それは今回のパリ五輪、バドミントン女子ダブルスで銅メダルを獲得した「シダマツペア」の志田千陽選手の地元だからだ。
八郎潟町は平成の大合併によって秋田県で最も小さな町となった(それまでは私の地元がそうだった)が、その町中に志田選手を応援するのぼりが立てられ、お祝いムードになっている。同選手への県民栄誉章授与も決まったようだ。
そんな八郎潟町には秋田県民の多くが知る行列スイーツが存在する。それは「畠栄菓子舖」のあんごま餅。
皆何箱もまとめ買いして行くので予約しないと買えないとか、駐車場待ちで行列になっているとか、平日でも午前中で売り切れるとか、そんな話は前々から聞いていたが、帰省時に八郎潟へ行く機会がなかなかなく、今回ようやく初めて行けそうな日程に。だめ元で予約なしで行ってみた。到着は平日の朝9時過ぎ。
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店舗はわかりやすい道路沿い。駐車場にレンタカーを停めると、ほぼ同時に着いた車から出て来た方が急いで店内へと向かって行く。やはり急がねばならないのか?と気持ちがちょっとはやる。
とは言え、今回敢えて件の「あんごま餅」を予約しなかった理由は、箱でしか売られていないこの餅を、夫と二人で食べ切れるとは到底思えなかったからだ。
米どころ秋田には名の知れた餅菓子がたくさんあり、いずれも美味しいがたくさんは食べられない。当然である。餅は重いしあんこも甘い。つきたては柔らかい餅も翌日には固くなり、焼き直しても味がぐんと落ちる。
できれば一度で食べ切れる量を売って欲しいんだけどな、餅以外の和菓子、まんじゅうや大福があれば…と思いながら引き戸を開けると、お盆手前で帰省客も増え出すこの日、店内の棚はがらんとしていた。買えそうなものはお赤飯と羊羹しか見当たらない。あとはレジで箱数を指定してあんごま餅またはあんこ餅、ごま餅を出してもらうのみ。それだけ餅に人気が集中しているということだろう。事前にホームページを確認すると、お盆の繁忙期は予約数を絞り、地方発送も休むと書かれていた。すごい人気である。
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予想以上のストロングスタイルに少々気圧されるも、先に入店した地元客と思われる六十代くらいのご夫婦は当然のように迷わずできたてと冷凍、合わせて十箱以上のあんごま餅をお買い上げ。それも大小取り混ぜたかなりの量だ。これは確かに午前中で売り切れそう。
ともかく、せっかく来たのであんごま餅の小一箱と羊羹をひと棹購入。餅も安いが羊羹も一棹600円はかなり安い。さすが秋田だなと、地元民的に親近感がわく。
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同日食後にあんごま餅をさっそく実食。お酒のお供である。
至ってシンプルな外観。秋田っぽい。
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蓋を取ると、さらにシンプルな見た目が待っていた。一面すりごま。潔い。
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14個入りって書いてあったけど中に切れ目が入っているのかな?と思いながら箸を入れると、中は横2切れ×縦7段に切れ目が入っていた。へらやスプーンを使うと取り出しやすい。
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箸を入れてみてわかったが、このお餅は餅米100%のつき餅ではなく、寒天や大和芋、小麦蛋白等と合わせて練り上げた蒸し餅タイプ。つき餅よりもふわっと柔らかく、見た目よりも軽くて案外たくさん食べられてしまう。
それに、このふわっとした団子のような餅生地に、さらりと上品で滑らかなあんと、わずかに塩気を感じるすりごまのバランスが非常に良い。下手をするとくどくなりがちな組み合わせだがあっさり食べられる。これならひとり一箱食べる家庭も珍しくないだろう。親戚が集まるお盆時期なら尚のことで、先客があの量を買い込んで行ったことにも納得がいった。
とは言え私たちもそんなに食べられる訳ではなく、数切れ食べて残りを翌日義実家へ持参したところ、義母も義姉もこの餅を知っていた。秋田在住の義母はともかく、義姉は嫁いでから長く静岡に住んでいる。それでも知られていることに改めて驚かされる。
また、今回購入分の賞味期限は翌日となっていたが、冷蔵庫に入れて三日目でもまだ固くなっていなかった。本品は冷凍で地方発送可。故に冷蔵庫に入れても大丈夫なのだなと、餅の配合に再度感心。高校生の甥が喜んで食べていた。静岡っ子には珍しいだろう。
羊羹は横浜に戻ってから食べたが、甘さ控えめでほんの僅かにきかせた塩味がとても良く、羊羹好きな私の羊羹ランキングの中でもかなり上位に食い込む美味しさ。煉瓦のような重たいひと棹をあっという間に食べ切ってしまった。羊羹を主目的にまたすぐ行きたいくらいだ。
それくらいやはり和菓子の基本となるあんこが美味しいのと、味づくりが上手なのだと思う。良い店である。
ひと昔前は秋田の菓子、それも和菓子というと甘過ぎて重たい田舎っぽい味のものが多かったが、時代は変わった。今回の帰省で改めて秋田のいろいろなものを食べてみて、昔と変わらないもの、若い人が受け継ぎ現代風に味を変えているものの両方に出会い、秋田も変わりつつあることを実感。少し安心した。人口がどんどん減るのは仕方のない部分はあるとしても、これからの時代を生きる世代の人たちに少しでも住みやすい郷土であって欲しい。
他にもいくつか秋田のお菓子を買ってきたので、また少しずつ記事化して行きたい。
なお、畠栄菓子舖さんのあんごま餅は、秋田市の物産館等でも買えるようなので、次の帰省時には市内で確認してみようと思う。