閑話休題「フユイチゴをご存知ですか?」
もう数十年前の話しですが、都会生まれ都会育ちの友人と山道を歩いていましたら、道端にフユイチゴの実を見つけました。
私は迷わず一粒を手に取って口に放り込んだのですが、それを見ていた友人は「えっ!」と言ったまま絶句してしまいました。
私は絶句された理由が全く分からなかったのですが、友人曰く、その赤い実が食べられるものかどうか分からないし、例え食べられる実であったとしても山道とは言え道路脇にあるものを洗いもせずに食べてしまう事に驚いたそうです。
それを聞かされた私の方が今度は驚いてしまったのですが、育った環境の違いがこんな所に影響する事もあるのだなと知った出来事でした。
田舎の山村で育った私は、子供の頃から山や野原で見つけた木の実や草の実を、それが一体どんな名前の実で食べられるのかどうかも知らない中、普通に口に放り込んで食べていました。
勿論、とても食べられた味ではない物もありましたが、不思議なもので食べられる木の実や草の実と言うのは、見た瞬間に何故か分かるものです。
野イチゴで言うと、春に実が付くタイプの木イチゴなどはとても美味しいですが、ヘビイチゴは見た瞬間に不味そうと思ってしまいますので、誰も食べません。
春の山菜はワラビやゼンマイなどシダ類が多いですが、食べられるシダ類と食べられないシダ類も、見た瞬間に何となくですが分かる物です。
数年前、帰省したついでにちょっと山歩きをしたのですが、その時に美味しそうな山菜を見つけました。
見た目はコゴミによく似ていたのですが、コゴミほどツルンとした感じでは無くうっすら赤茶色の毛が生えた感じの山菜でした。
きっと美味しいに違いないと感じた私はそれを収穫して自宅に持ち帰りまして、あく抜きもせずに普通に塩ゆでだけして食べてみました。
すると山菜独特の苦みもなく、つまりあく抜きをする必要もなく、味も食感もワラビに似た感じのとても美味しい山菜でした。
名前を知りたくてネットで随分検索してみたのですが、結局似たものを見つけられずに現在に至ります。
以来、春の山菜シーズンに帰省した折には必ずその謎の山菜を収穫して戻るようにしています。
ちょっと話しが脱線してしまいました。ここで冒頭のフユイチゴに戻ります。
私の子供がまだ小学校低学年だった頃、当時の自宅近くでフユイチゴがあるのを見つけました。
都会にも探せばあるんだなと驚くと同時に、まだ小さかった子供達に教えてやりたくてすぐにその場所に連れて行って、一緒にその実を食べた事があります。
その時私は、これをきっかけに子供達がこうした身近な自然に興味を持ってくれたらいいなと思ったのですが、全くダメでしたね。
人の興味の対象というのは育つ環境に大きく影響されるのだなと、つくづく思った出来事でした。
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