【詩】「ただいま」
「ただいま。はぁ」
いつの日にかため息とセットになった
「ただいま」
真っ暗で誰もいない空間でも
帰ってくる場所 そこは我が家
無意識にぽつり「ただいま」
口が勝手に 習慣は恐ろしい
今日も一生懸命に生き抜いた
だからどうしたと素直に思う
僕の存在で誰かが救われたわけでもなし
僕の言動で誰かが笑顔になったわけでもなし
今日も今日とて今日が終わる
「ただいま」は終わりの始まりなのかもしれない
「ただいま」が宴の始まりだったあの頃が懐かしい
思い出すほどに今日がおわる
明日も「ただいま」いわなきゃいけないんだから
そう思いながらベッドにもぐる
今日は色々考えすぎた
疲れてたんだ、きっと
さっきより真っ暗になった部屋のまんなかで
僕だけに聞こえる小さな声で「ただいま」
鼓膜は震えることのない
「おかえり」
「ただいま」って
そういうこと、だったのか