【読書感想8】書くことについて(スティーヴン・キング)
フォロワーさんが「良かったで」とおっしゃっていたので読んでみた。
第1章ではキングがどういった生き方をして作家になったかの『履歴書』で、文章手法については書いていない。
2章の『道具箱』から作家をめざす人へのアドバイスが始まる。
最終章では、出版されるまでの出版社へのアプローチまで。非常に親切な語り口だ。
さすが元教師だなあ。
おお、これはと思ったのは下記4点。
引っかかる人は購入してもよいのでは、と思う。
①作家になりたいのならば絶対にしないといけないことが二つある。
「たくさん読み、たくさん書くこと」。
たくさん読む=できの悪い小説にあたることもあるが、それから教わることは多い。してはいけないことが分かる。
なにより、すでに出版されている本よりいいものが書けるという確信が得られ、励みになる。(キングさんはオブラートに包まず、率直に言うので説得力がありますわ・・。残酷なまでに)
そして、優れている作品に出会えば「こんな凄いものはかけない」と思う反面、頑張ろうと邁進できる。これを経験しなければ、自分の作品が読者を圧倒するということはない。気にいった文体はどんどん真似して、自分の文章の血肉にするべき。
②「細かなプロットは作らない」
化石(作品)を無傷で地面からとりだすには、エアホースや歯ブラシなど繊細な道具が必要である。プロットは削岩機のような馬鹿でかい道具だ。化石がこなごなになる。
だからプロット頼みだと、作為的でわざとらしくなる。
③「へたな直喩や暗喩は間がぬける」
例えば『彼は死体の横にぼんやりとすわって、ターキーサンドを待つ男のように辛抱強く検視官を待った』という文章⇒ 何を意図した比喩なのか、訳が分からない。私(キング)はもう50歳を越えている。読みたい本は山ほどあるのだから、たわごとに付きあっている暇はない。
(やっぱりキングさんはオブラートに包まないから、言葉がストレートに刺さるで。ほんま・・)
④「二次稿は一次稿から文字を1割減らす」
小説はある程度までコンパクト化が可能だ。必要のない部分を省くなど、思慮深い削減の効果はてきめんである。
スティーブン・キングの映画や小説ファンにはよく効く『小説の書き方』本ではないだろうか。
ばりばりの文学で行くんだ、美しい至高の文章をめざすのだという人はまた別の向きかな。
勉強になりました。m(_ _)m