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西尾維新『掟上今日子の鑑札票』雑感
だって、本どころか、誰かの書いた読書感想文を読んで、自分が読破したつもりになることだって、人間にはできるのだ──本を持っていなくてもグッズを持っていれば、それで愛読者のつもりにだってなれる。僕達はいったい、読んでない本の名言を、どれだけ引用している? 未読であろうと知った風に語れる本こそが名作である、なんて見方もある。
前作『掟上今日子の設計図』以来、およそ1年ぶりのシリーズ第13弾。
『
西尾維新『新本格魔法少女りすか2』『3』『4』全話雑感
もしも全13話ではなく全50話の小説だったら、大人りすかのヴァリエーションをもっと増やしたでしょうね。未来は可変であり、少年少女はどんな大人にでもなれるというのが、少なくとも彼女が使う魔法の神髄であり、2003年の僕が書きたかった小説なのでしょうから。
(『ダ・ヴィンチ 2021年1月号』西尾維新ロングインタビュー)
雑誌『ファウスト』で連載が開始した2003年から、17年振りに(雑誌『メ
西尾維新『人類最強のヴェネチア』雑感
「なんだよ。俺の臑ならもうないぞ」
呆れたように旧警部がぼやいたが(帯も下駄も奪われれば、ぼやきたくもなるだろう)、しかし、臑はなくとも、そして救難ロープもウインチもなくとも、この土地には、いくらでもあって使い放題な自然の恵みがひとつある。島全体を取り囲んでいて、汲めども尽きぬ生命のスープ。
「もしかして⋯⋯、う──海?」
アクア・アルタを起こすぞ。それも、とびっきり酷い高潮を。
戯言シリ
【1周年】『たびたびデーモンストレーション』感想
「さあ? いつの時代のどんな土地にもいんじゃないの?
うちらみたいな不謹慎が♪」
ジャンプSQ.2019年12月号に掲載された、西尾維新さん原作、暁月あきらさん作画の読み切り漫画。
いきなり自分語りから入ると、昨年、私はこの作品を読むために漫画雑誌を購読した。思えば『めだかボックス』の単行本から西尾維新作品の愛読者になった者として、“西尾維新原作”を求めて漫画雑誌を購読したのは、『パー
西尾維新『新本格魔法少女りすか』紹介兼感想
一気に、水中から『彼女』は姿を現す。それに伴い、床を満たしていた血液がずずずずずぅっと、潮が引いていくかのように、その嵩を低くしていく。当然だ──『彼女』の肉体を構成しているのはこの『血』。血液こそが、その血液に刻み込まれた魔法式こそが──水倉りすか、自身なのだから。
2003年、雑誌『ファウスト』にて、第一話『やさしい魔法はつかえない』が掲載されたところから、本作は始まった。
2004