おばあちゃんちに住みたい4
5〜6月、業者に相談はせず、まずは自力であからさまに捨てれるものから捨てようと何度か空き家に出向いた。
防塵マスクを付けても、目が痛いし、呼吸も苦しく長時間の作業ができない。
私たち夫婦が行かないときも、私の両親は何度か行ったようだ。
何より庭の手入れができてなさすぎて、泥棒に入ってくださいと言っているような景観も気がかりであった。
片付けもそうだし、庭のこともそうだし、やっぱり業者に頼んだほうが早い。
母は段取りが悪い上、必要以上に父に何でも話し、私たちの意見よりも父からの意見を聞いているような節が何度も見えて、途中ラインのやり取りもおかしかった。
私は父がわざと作業に時間がかかるように嫌がらせしてるように感じた。
とりあえず、庭だけでも業者に一度頼めば数時間で綺麗になるからと母に説明し、納得し、私の知り合いに相談し、現地調査に来てもらうことが決まった。
そして、7月。
唐突に母から変なラインが来た。
は?
それまでにも時折、気分の悪いラインが来ていたので、もうかなり私の心は限界だった。
当たり前だが、私は在宅介護がしたかっただけで、おばあちゃんに何かしてもらおうなどと考えていない。
これは、取り越し苦労の多い祖母が、「一緒に住んでも料理作れないんだけど、料理作ってほしいって言われた」と私の母に言ったという話だった。
もちろん私は言っていない。
祖母が勘違いしても高齢なので私は特に気にしてない。
問題はその話を真に受けた母だ。
業者に関しても、母にきちんと提案してから手配している。
以下、そのあとのライン
現地調査の報告もそのまま転送した。
母は、祖父の遺産を全て現金として引き出しており、特に財産分与もせず、なぜか現金のまま自宅保管していた。封筒に整理したりもせず、鍵なしの引き出しに乱雑にごっそりしまっていた。まるで、父に「盗んでください」と言わんばかりに。
ちなみに、祖母はこの計画に関して、そのお金を使ってくれと言っていた。
なんなら、その遺産の半分は祖母のものである。
私の母はなんて親不孝なんだろう。
管理をすべて任された上で、数年放置していた上、適切なタイミングでお金の支払いも拒む。
私の顔も潰す。
私の知り合いが繋げてくれた庭師はとても安い予算を提示してくれた。
そのたった数万を拒み、その後、「お父さんが頻繁に庭の草刈りをやってくれてる♡」と言うような内容が私の夫にラインがきていた。
数週間が過ぎた。
私は母からこれ以上不快な連絡を受けたくなかったため、ラインをブロックした。
そして、本来、夏に家財遺品整理まで終われた可能性もあった空き家は一切変わらないまま、父が雑に草刈りした汚い庭とともに秋を迎えた。