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【第2回】職場のヘルスリテラシーを向上させる取り組み

健康経営に関するお役立ち情報をお届けする「健康経営のすすめ」は、健康経営支援ツール"FairWork survey"をご提供する株式会社フェアワークが運営しています。(弊社HPはこちら

全2回でお届けしているヘルスリテラシーについて、今回は第2回として日本におけるヘルスリテラシーの現状や組織における取組やメリットについてご紹介をいたします。
【第1回】ヘルスリテラシーとはをまだ閲覧されていない方は是非、先にご覧ください。(第1回)


振り返り

まずはヘルスリテラシーとは何か、前回のおさらいをしてみましょう。

ヘルスリテラシーとは・・・
健康に関して自分にとって必要な情報を収集・理解・活用する能力であり、生涯にわたって健康リスクを減少させ生活の質を向上させる社会生活に必要な能力。

従業員のヘルスリテラシーが低いと・・・
・従業員自身にとっては健康リスクの増大
 (死亡率増加、医療費の増加、慢性の病気で入院しやすい、初期症状に気が付かないなど)
・企業にとっては経営リスクやコストの増大
 (医療費増加、生産性の低下、労働災害の発生、代替人員の確保等のコスト増加など)

このように従業員自身にとっても企業にとっても、ヘルスリテラシーを高く持つことは非常に重要なことだということを前回はお伝えしました。

日本のヘルスリテラシーのレベル

では日本のヘルスリテラシーレベルは世界と比べてどの程度だと思いますか?
長寿国ニッポンというイメージがあるので日本のヘルスリテラシーは高いというイメージを持っている方が多いのではないのかと思いますが、実はそうではありません。AHLA(アジアヘルスリテラシー学会)がヨーロッパとアジア諸国のヘルスリテラシーについて調査を実施したところ、日本のヘルスリテラシーレベルは他国と比べて明らかに低いことが分かりました。ヘルスリテラシーが”やや低い”以下の人の割合が85%以上という数値は非常に驚くべき結果です。このようなデータがあることも影響し、日本ではヘルスリテラシーを高めようという運動が各所で行われるようになりました。

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経済産業省によるヘルスリテラシー向上の推進

日本経済の成長をミッションとしている経済産業省もヘルスリテラシーの向上を推進しています。経済産業省が認定する健康経営銘柄・健康経営優良法人の認定基準には”ヘルスリテラシーの向上”という項目があります。健康経営とは企業成長などのために企業が戦略的に従業員の健康保持・増進に投資するものであり、その実現のためにはヘルスリテラシーが重要な一つの要素だと経済産業省は示しているわけです。そのため、健康経営銘柄を選定する健康経営度調査基準検討委員会の森座長は「健康経営のゴールは自己管理能力も生産性も高い人財育成。すなわち「組織のヘルスリテラシー」の向上であり、健康経営の推進は社員、企業、社会の持続性(Sustainability)につながる」と話しています。企業にとって従業員、ひいては組織のヘルスリテラシーを高めることは持続的な成長に向けても取り組まなければならないのです。

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職場でヘルスリテラシーを活用する戦略

では企業はヘルスリテラシーの向上にどのように取り組めば良いのでしょうか。 順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座の福田 特任教授は職場でヘルスリテラシーを活かす5つの戦略をまとめています。

①ヘルスリテラシーを知る
まずは従業員全体のヘルスリテラシーを把握します。ヘルスリテラシーのレベルは個人差があるため、ヘルスリテラシーが不十分な従業員をスクリーニングすることで、より適切な保健指導や教育に役立てることができます。

②ヘルスリテラシーに合わせる
ヘルスリテラシーが不十分な従業員へ個別に情報提供やコミュニケーションする際に(保健指導など)、情報を伝える方法を工夫し相手が理解できるようにします。単に情報提供だけ実施しても理解されなければ意味がありません。相手のヘルスリテラシーに合わせて時間をかけたり簡単な言葉で説明したりして確実に理解できるように情報を伝えます。

③ヘルスリテラシーのハードルを下げる
企業内の大勢に向けた情報発信においてヘルスリテラシーが高くなくても理解できるような健康情報を発信します。②と同様に理解されなければ情報提供の意味がないため、より多くの人が理解し役立てることができる情報の発信を行います。例えば、社内報で情報発信を継続的に実施しても内容が難しく理解できなければリテラシーが高い人だけが読むようになってしまいます。

④リテラシーを高める
前述の①~③はこのヘルスリテラシーを高めるフェーズの下地です。というのも①~③はあくまで企業から提供された情報を理解するだけですが、ヘルスリテラシーのあるべき姿としては自身で情報を収集しその情報が正しいか判断し活用することです。そのため、ヘルスリテラシーを高めるためには単なる健康情報の提供だけでなく「健康情報の調べ方」、「医療専門職とのコミュニケーションのとり方」、「情報を選別するヘルスメディアリテラシー」について教育することが必要です。

⑤ヘルスリテラシーを広める
 このフェーズは従業員個人のヘルスリテラシーが高まり健康になるだけでなく、その活動を社内外に広めるフェーズとなります。ヘルスリテラシーが高い社員が自主的にスポーツサークルを立ち上げたり、健康増進の活動を別の社員に広めることは企業に好影響を与えます。この側面からヘルスリテラシーを企業の資産と捉える考えもあります。

以上の5つの戦略が企業のヘルスリテラシーを高める戦略ですが注目すべきは④です。社内報などで健康情報を提供する企業は多いかと思いますが、従業員が受け身から脱却し、能動的に情報を収集・分析・活用できるようになることが目指すべきゴールになります。

まとめ

従業員個人にとっても企業にとってもヘルスリテラシーを高めていくことは非常に重要なことです。企業から与えられる情報は「知識」として従業員の役に立ちますが、本当に必要となるヘルスリテラシーは自身で情報収集・分析・活用する「知恵」です。知識でなく知恵を身に着けることができるよう従業員個人も企業も考えていただけると幸いです。

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