この旅の 買いつけ;大分県別府市
何を入れるかなんて、この際後で考えたらいい。
道具としても意味を問いかける心の自分にもう1人の私がそう答えた。
しなやかなカーブと繊細な模様に魅了され、ショーケースに入ってある竹細工を店員さんに出してもらう。
手に取って私の目はさらに輝きを増した。
「これ買います!」
そう、お店をやっているおじいさんとおばあさんに宣言した。
さて、何を入れよう。
買って、家に帰り、レトロな包装紙を開き、改めて考える。
商店街にある、おじいさんとおばあさん夫婦で切り盛りしているお店。
『福助堂』
竹で作られた雑貨、土産物屋だ。
買い物かごに、セクシーなポーズをとった女の人の形をした耳かき。
フォークやスプーン、コースターなどのテーブル雑貨。
竹による大小様々な道具がここ『福助堂』には店先から溢れだしている。
竹の編み目やコーティング、竹本来の艶やかさによる光のあたり具合。
とても美しい。
特段、目を引いたものが楕円の形をした小物入れだった。
側湾には数珠玉で囲まれ、蓋部分には格子を重ねて編まれている。緩やかな曲線。
蓋を開ければ底は、また違った編まれ方がされている。
大分では竹細工が有名らしい。
温泉地の受付や出窓には竹の一輪挿しが置いてあった。
他の土産物や雑貨屋でも竹のカゴや雑貨が並べられていた。
旅先でその土地の物を買って帰る。
テーブルに小物入れを置く。
そうしたら、またいつもの日常に戻っても、フタを開ければまた思い出せるのだ。
お菓子や食材とはまた違う楽しみ方だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?