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「服の本」3選 FIKAのブックトーク#47

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「服」
2月9日は「服の日」なので、「洋服」をテーマにした本を3冊紹介します。




「ヴィンテージガール 仕立屋探偵桐ヶ谷京介」 川瀬七緒

?仕立屋探偵とは何ぞや?
他人が着ていた服を見るだけでその人が受けた暴力や病気が分かる、そんな特殊能力を持つ人物が探偵役をつとめるミステリーです。

小さな仕立屋を営む桐ヶ谷京介は、ある日TVで情報提供を呼びかける公開番組を偶然目にします。10年前に起こった少女殺害事件の遺留品として映し出された奇妙な柄のワンピースが気になり、調べ始めるといろんな事実が明らかになっていきます。

京介は仕立屋としての服飾技術だけでなく美術解剖学の知識もあり、それが特殊能力に繋がっていくのですが、それにしても服を見るだけでこんなにもいろんなことがわかるなんてありえる?と思ったり、いやありえるかも?と思わせる嘘っぽさとリアリティとのバランスが絶妙です。

事件が起こった当時の社会的背景がきっちり描かれていて、「仕立屋探偵」なんて奇抜なタイトルですが、実は意外と社会派なミステリでした。



「クローゼット」 千早茜

美しい洋服が好きということだけが共通点の男女が出会い、恋に落ちる?いや落ちない?小説です。

洋服補修士として服飾美術館で働く纏子まきこは、幼い頃のトラウマで男性恐怖症を抱えています。
一方、かおるはいろんなバイトを渡り歩くフリーター。要領よく生きているように見えますが、美しい女性服が好きということを隠しています。男のくせに女性の服が好きなのかと馬鹿にされたり気持ち悪がられたりした苦い経験があるからです。

100年以上前のコルセットやレース、バレンシアガのコートやディオールのドレス・・・纏子の働く美術館では18世紀から現代まで1万点以上の洋服を所蔵されていて、それらに魅せられた芳はボランティアとして働かせてもらうことになりました。

真逆の性格であるにもかかわらず美しい服を通して心を通わせるようになった二人が自分らしく生きるために戦う勇気をお互いに与え合う関係性が胸を打つ物語です。



「服のはなし 着たり、縫ったり、考えたり」 行司千絵

若い頃からファッションやおしゃれが大好きで、ブランド物の服を買いまくる青春時代を過ごした著者が、本当に自分が着たい服を手作りするようになるまでを描いたエッセイです。

読むうちに、服やファッションはその人がどう生きたいのかという人生哲学を表すのだということに気づかされました。ブランド物を着るか、ファストファッションを着るか、手作りの服を着るかということは、単に衣服の選択というだけではなく、人生で自分が何を大切にして生きているかを示しているのです。

ブランド物の服で身を固めていた著者は、いつしかそんな自分の生き方に疑問を覚え、本当に自分が着たい服は何だろうと考えるようになります。そして、自分や家族のために服のデザインを考え、生地を選び、手作りするやり方にたどり着きます。それは、たくさんの服が作られては捨てられていく現代社会へのアンチテーゼでもありました。

シンプルなデザイン、カラフルな生地、柔らかな風合い、ゆったりしたシルエット・・・
色も形も生地も全部自分好みに作った服を着ている写真を見ると、本当によく似合っているし何だか幸せそうです。
好きな服を着ることで、なりたい自分になれるんだなあ…



以上、3冊の本を紹介しました。
みなさんはどんな服が好きですか?私は夏にワンピースを着るのが好きです。

読んでくださってありがとうございました。






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