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「色の本」3選 FIKAのブックトーク#16

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「色」。
色をテーマにした小説や新書を3冊紹介します。




「世界のふしぎな色の名前」 城一夫

「デイドリーム」
「霧につつまれた恋」
「妖精のふともも」
「救急車」
…それは色の名前ですか?

「ドラゴンズ・ブラッド」
「農民の青」
「スクールバス・イエロー」
…色の系統は分かるけど、それどんな色ですか?

「夜雨色」
「潤色」
「空五倍子色」
…どんな色か以前に読み方すら分からない…

そんな日本や世界の「不思議な色の名前」を紹介する本です。

「詩的な名前」「あやしげな名前」「ファッションや文化の名前」「動物や植物の名前」などの章に分かれ、名前の由来や特徴などをイラストと共に解説しています。

欧米の色の名前は具体的なのに対し、日本のは抽象的だったり、自然の細かなニュアンスを表現したものが多いという印象を受けました。

色の感じ方やネーミングセンスにもお国柄が出るんだなあ…



「人を動かす「色」の科学」 松本英恵

どうしてカフェの色と光は落ち着くのだろう?
謝罪会見に臨むスーツの色の正解は?
みかんやオクラをネットに入れて売るのはなぜ?

身近な例をあげて色の世界を解説する科学読み物です。

「色が人間に与える印象」という話の前に、まず「人間が色を認識するとはどういうメカニズムなのか」という科学的な説明から始まります。
「色」というものは存在せず、人間が認識することによって初めて生まれるというのが現在の科学者たちの見解だそうです。
他の哺乳類や昆虫類は人間とは違う色の捉え方をしているので文字通り見えている世界が全く違うのだと著者は述べます。

こうした科学的な説明の後で、それぞれの色が人間にどのような印象を与えるのかという具体例がたくさんあって面白く読みました。

この本を手に取ったのは、宮部みゆきが「本よみうり堂」という書評本でおすすめしていたからです。彼女の書く作品に影響を与えたかもしれないと想像しながら読むのも楽しかったです。そちらの書評本もよろしければどうぞ…



「人間標本」 湊かなえ

湊かなえの久々の「イヤミス」です…!

物語は「蝶」の目で世界を見たいと思っている昆虫学者の手記で始まります。

人間が見ている色彩と蝶が見ている色彩世界は違う。人間が見ている世界とは違う世界を見たい。蝶に取り憑かれた「私」はある時、美しい少年たちを蝶のように標本にしようと思い立ちます。

彼らの美を象徴するような色の蝶を添えて。

息子を含めた六人の少年を殺して標本にした過程を描く「私」の手記が物語の前半。
後半は父に殺された息子が遺した手記が綴られるのですが…

ここからはもう混沌の嵐。
真相が二転三転するどんでん返しに読者は翻弄されます。

口絵には標本にされた少年たちを彫刻で再現したイラストがあります。目を背けたくなるほどおぞましいのに目が離せない。読者にそんなアンビバレントな感情を起こさせるミステリでした。読み終えた後の徒労感もハンパない…さすが「イヤミスの女王」湊かなえです。


以上、3冊の本を紹介しました。
色の本は絵本も児童書も図鑑もたくさんあるのでまたいずれ紹介したいと思います。

読んで下さってありがとうございました。


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