「ひとりを楽しむ本」3選 FIKAのブックトーク#44
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「ひとりを楽しむ」。
ひとりは寂しい?つまんない?かわいそう?
いえいえ、マイペースにひとりを楽しむ3冊の本を紹介します。
「おひとりさま日和」
「ひとり住まいを楽しむ中で起きる一幕のドラマ」をテーマにした「女性のおひとりさま」アンソロジーです。
6人の女性作家が書く「おひとりさま暮らし」はそれぞれバラエティに富んでいます。おひとりさまの理由も、独身、バツイチ、夫との死別と様々。
レンタル番犬のサービスを利用したり、山村暮らしを楽しみながら遠距離恋愛をしたり、週末に一人で映画館に行くうちに一緒に見る仲間ができたり、それぞれの「おひとりさま暮らし」の中でいろんな「一幕のドラマ」が起こります。
どのヒロインも、ひとりで生きることを自分の人生として引き受け、楽しくたくましく生きているのがとてもいいなと思いました。
「ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山」 月山もも
世の中には、何かを楽しむ時には「誰かと一緒がいい」という人と「ひとりの方がいい」という人の二種類に分けられるそうですが、この本の著者はもちろん後者です。
お酒も、温泉も、旅も、登山も、全部ひとりで楽しんできた「ひとり行動」の記録を写真と文章で紹介します。
著者は徹底的に「ひとりで楽しむ」ことにこだわります。
どうして自分はひとりで行動するのが好きなのかを分析したり、ひとり行動のメリットとデメリットを並べたり、ひとりに優しいお店や宿の条件を考えたり、誰かと行った場所や生まれ故郷をひとりで訪れたり、ひとり登山に必要なグッズを紹介したり・・・
「誰かと一緒だと会話に気を取られて、見るものや食べるものに集中できないから、楽しむときはひとりがいい」という主張は、なるほどそういう考え方もあるのかと目からうろこでした。
私はひとりも好きだけど、誰かと一緒に楽しむのもいいし・・・
みなさんはどっちですか?
「灯」 乾ルカ
この世界を、わたしはひとりで生きたい。
この小説の主人公の女子高生・蒼は他人に興味がありません。どうして他人と仲良くしないといけないんだろう?どうしてひとりで過ごしていたらいけないんだろう?
母も友だちも鬱陶しい。友情も恋愛も興味がなく、修学旅行も行きません。ひとりでいるのが好きで、誰かと一緒にいるとしんどくて、できれば一生ひとりで生きていきたいと思っているのです。
そんな蒼がなりたいのは「夜間街光調査官」。日暮れどきから夜明けまで一時間おきに街の灯りを数える仕事です。
・・もちろんそんな仕事は存在しません。小学生の頃、クラスメイトの父親がその仕事をしていると言ったのがずっと心に残っていて、大きくなるにつれそんな仕事が実在しないことは薄々わかっていて、でも自分が人生でやりたいと思えるのは、夜に一人で街の灯りを数えるようなことだけだと高校生の蒼は思っているのです。
そんな夢を心の支えにしている蒼の心のありようが切なく、でもどこかわかる気もします。
やがて蒼にも親友や好きな人ができるのですが、ひとりを好む姿勢は変わりません。でも自分の夢に少しでも近づきたいと模索するうちに、何かが少しずつ変わっていきます。高校を卒業した蒼がどんな道を選んだのか、ぜひ読んでみてください。
以上、3冊の本を紹介しました。
いずれ来るであろう「ひとり」に備えて身も心も健やかでありたいと思います。
読んでくださってありがとうございました。