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「お弁当の本」3選 FIKAのブックトーク#17

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「お弁当」。
料理レシピ本ではなく、お弁当をテーマにした小説や漫画を3冊紹介します。




「お弁当デイズ」 たかぎなおこ

今日のお弁当、なんにしよう?!
夫と娘のお弁当にまつわる、しんどくも楽しいエピソードを描くコミックエッセイです。

何を作っても喜んで食べてくれる夫と違って、幼稚園に入ったばかりの娘は少食で偏食。少しでもおいしく食べてもらおうと、メニューや調理法を工夫したり、ピックなどのお弁当グッズにも気を配ります。でも4歳児のむーちゃんは傍若無人天真爛漫そのもので、食べてくれる日もあればダメ出しの日もあり…
そんなお弁当作りの日々が漫画や写真でコミカルに描かれています。

親が子どものためにお弁当を作る日々は、実はそれほど長くありません。作っている最中は永遠に続くようにも思えるのですが、過ぎてしまえばあっという間です。しんどかった記憶さえ愛おしく思える、私にとってこの本はそんな懐かしさを喚起させる1冊でした。

そしてお弁当作り真っ最中の人にとっては、「お弁当のすき間を埋めるテク」「幼児が喜ぶお弁当グッズ」「人気おかず」など実用ネタも満載の本です。



「ちどり亭にようこそ」 十三湊とさみなと

この小説の舞台の「ちどり亭」は京都の小さな仕出し弁当屋さんです。こんなお弁当屋さんが本当にあったらきっと毎日通うだろうなあ…

それくらい、ちどり亭のお弁当は美味しそうなんです!

ちどり亭の女主人、花柚はなゆさんは24歳。「将来の旦那さま」のために小学4年生の時から料理を習い始め、レシピを書き写したり作る時のコツを書きとめた「お弁当練習帖」は既に96冊目。
そんな花柚さんが作るのは七十二候に合わせた季節感のある和食弁当で、例えば2月の終わり「草木萠動」の頃のお弁当はこんな献立です。

唐揚げのおろしポン酢和え
九条ねぎと桜海老の卵焼き
菊菜のおひたし
ごぼうとれんこんのきんぴら
にんじんのねじり梅
ひじきと大豆の煮物

もうすぐ来る春を感じさせる美味しそうなお弁当だと思いませんか?

「お見合いがライフワークなの」と言ってたびたびお見合いをする花柚さんですが、実はずっと想っている人がいます。花柚さんの料理と恋の行方をぜひ全4巻のシリーズでお楽しみ下さい。



「あした、弁当を作る。」 ひこ・田中

誰かのために作るお弁当は美味しい。
美味しく食べてほしいという気持ちをこめて作られたお弁当は尊い。

………本当に?
そんな思いは、時に相手を縛ってはいませんか?

主人公の中学生・龍樹はある日突然、母親が作ったお弁当を重たく感じます。そして自分で弁当を作りたいと告げるのですが、母親は断固として拒否します。「どうしてそんな悲しいことを言うの?」「龍樹のお弁当を作るのは私の生きがいなのに」父親も母親に加勢しますが龍樹はくじけません。自分で弁当箱やおかずの材料を買って、毎朝弁当を作るようになります。

それを両親は受け入れられず、あの手この手で龍樹の弁当作りを邪魔しようとします。それに対して龍樹は、友達に相談したり自分でいろいろ考えたり、あらゆる方法で自分の気持ちを言語化しながら弁当を作り続けていきます。

龍樹の思いはよく分かります。この母親は重すぎる。「愛」とか「生きがい」とかいう言葉で我が子を小さく閉じ込めて支配しようとしている。その象徴が毎日のお弁当だったからこそ、それを自分で作ることによって龍樹は自立の一歩を踏み出したのです。

愛情という名のもとに、子どもを必要以上に閉じ込めて自立を妨げてはいないだろうか。親として自戒の念を感じた1冊でした。



以上、3冊の本を紹介しました。
いろいろあるけど、やっぱりお弁当は作るのも食べるのも好きです。

読んで下さってありがとうございました。








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