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【読書感想文】母を捨てるということ


医師としてご活躍のおおたわ史絵さんの
ご自身の家族のお話。

異常な程に娘に執着し、
今なら虐待と認定される程の日常で
医師になるまでと医師になってからの日々。
そしてその母が薬物依存症になって
崩壊していく家庭内を書いたお話。

私はおおたわ史絵さんは色んなメディアに
出る女医さんで特にファンという事でもないし
ネガティブな印象を持ってもいない。

女医という肩書きを持ちながらメディアにも
出てる煌びやかな印象とは真逆の本のタイトルに
目が止まった。
ちょっと人様の人生を覗く様な感覚で
読み始めた。1日で一気に読み終えた。

とてもとても苦しくなる切なくなる
心が痛い本でした。
依存症を抱えてる家族を持つ大変さ。
そして現在、依存症の家族を持ってる
家族の方にぜひ読んで貰いたい。
きっと何か光や道筋が見える内容に
なってると私は思った。

私も10年間家族に依存症、
精神病を患っていた家族を持っていたので
本を読み進めるうちに何度も涙が出た。
それと同時にあの時この本が出ていて
読んでいたらもっと依存症の自分の家族に対して
もっと違う対処や対応が出来ていたかも
しれない。そしたら10年もかからずに
済んだかもしれないと思ったりもした。

でも私の家族は依存症からは抜け出す事が
出来たし(現在でもストレスがかかると
不安定になってると感じる事はあるが。)
現在はとりあえずは普通に生活出来てるのだから
それは幸せな事なんだと本を読んで
また改めて実感した。

胸が締め付けられたのは
家庭内とは子供にとって
安心出来る場所であるべき場所なのに、
小さい頃から母親のコロコロ変わる気分の中で
育てられ機嫌が悪ければ叩かれ、
罵倒され異常な程に凄い勢いで執着される。
そんな不安定な中で育ち母親に怒られないように
機嫌を損ねないようにする生活。
そしてだんだんと薬物依存症に陥って
さらに不安定になって行く母親。
著書の中こんな文章がある。

「いっそ死んでくれ」と願う娘と
「産むんじゃなかった」と悔やむ母。

母を捨てるということ

こんな風な気持ちになるには
長年の壮絶な蓄積があるからだ。
簡単に言葉に出来る事ではない。
おおたわさんの気持ちは私も経験した事があるのでこの気持ちを想像するのは難しくは
なかったが母親が最後亡くなる時にとっさに
心臓マッサージをしたおおたわさんの
行動に涙がでた。

あんなに死んでくれたら、居なくなってくれと
心から思っていてもとっさに心臓マッサージを
し始めたのは医師という職業もあると
言う人もいるだろうが私が思ったのは
どんなに酷い母親でも死んでくれと日々思っていても、やっぱり世界でたった1人の母親なのだ。
だからやっぱり助ける行動に
出てしまうのだと思う。

「母親」と言うだけで。

それは悲しいくらい残酷なほど
どうしようもなく切っても切れない。
簡単に切れたならどんな楽か。
「母親」と言う存在は
本当に1番必要で1番厄介だ。

でもどうしたって世界でたった1人の
母親から温かい愛情が欲しいのだ。
それは人間が成長する上で必要不可欠な
モノなのだと思う。
だから人はなかなかその愛情を
諦められないのだ思う。

依存症とはよく言われるのは
意志の弱さとか甘えと言われる事が
多いが実際はそんなに
簡単なものではない事、これからの
子供達の為にも大人が今から認識を
変える必要があると思う。
社会全体で考えていった方がいい事だと
思うので1人でも多くの人がこの本を
手に取って欲しいと思う。

そして家族に依存症が居る方には
きっと何かしら道標になるはず。
なって欲しいと願わずにはいられない。


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#母を捨てるということ

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