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第16話 華麗なるカレイの煮付け 本番編

12月29日。
オレは昨日が仕事納めで、カカさんは年内最後のミーティングと大掃除もしたいから、と今日仕事に行った。

昼間に家の中の掃除をココちゃんと楽しくして、明日カカさんも参加して隅々までやるけど、ココちゃんも床の拭き掃除したり、おままごとセットを拭いたり、拭きながら急遽、おままごとが始まったりと充実した日を過ごしていたわけ。

一昨日だったかな?カカさんがカレイの煮付けを食べたいと言い出して、今朝、友達連れてくるかもしれないから、もう1人分多く作っててね、と言って出て行った。
友達って、えみりかな〜、楽しい夕飯になるんだろうなと思ってワクワクしながら魚屋に来た。

「お!ココちゃん!今日はトトさんと買い物かー!えらいねー!」モジモジするココちゃん。褒められてなんかうれしそう。

いつも通っている魚屋さん「魚まさ」のシンイチさんは年末年始は大忙しで、三が日も休まず営業するらしい。めっちゃエネルギッシュでフレンドリー。オレも友人のように話しやすい。
「トトちゃん!今日は何にする?鍋やったらこっちにある鰤しゃぶがオススメやでー!」
「うわ。美味そうやなー。でも今日は、カレイの煮付けにしようと思ってさ。いいのある?」
「お!冬のカレイは美味いからなっ!こっちにええのあるわ!いつもと同じで三枚でええんか?!」
「いや、今日はカカさんが友達連れてくるみたいやから四枚ちょうだい」
「ええなー、カカさんの友達やったら別嬪さんやろうなー!美人に囲まれて楽しいやんかー!」
シンイチさんはココちゃんをチラッと見ると
「ここにも美人さんがおるしなー!なーココちゃん!」
と笑顔でココちゃんに声を掛けた。
にや〜っとして照れるココちゃん。シンイチさんの店に来たらいつも照れっぱなしだ。
「ありがと!またくるわ!明日も来るかもやからまだ年内の挨拶はせえへんでー!」
あれ?喋り方がうつって、変に勢いのある形で店を出てしまった。なんか恥ずかしい笑

今晩は、カカさんのリクエスト通りに豚汁とカレイの煮付け。なんか地味だな。小松菜と油揚げで簡単に副菜作ろっか。サラダもいるね。

準備をしようとしていたら、カカさんが帰ってきた。
「おかえりー!今日は華麗なるカレイの煮付けやでー!…え?!」
エプロンのまま玄関に行くと、カカさんの前に母親が立っていた。
「え?!母さん?!なんで?!えみりの分しかカレイ買ってないよ??」
「ただいまー!だーかーらー、今日はね、お義母さんに来てもらう日にしたの。えみりは来ないよー」
「あ、そうなん。ま、母さん上がって上がって。そっかーえみり来ないのかー」
「もー、そんなにえみりに来て欲しかったんかいっ!」
カカさんが漫才のツッコミのように手の甲で軽く突いてきた。
「あなたたちは本当にいつまでも仲が良くていいねー」
夫婦漫才を見て満足の母。
「ねー、仲良しやもんねー」と戯けながらカカさんが母のコートを預かって2人で何やらヒソヒソ話しながらリビングに行った。

ちょっとしたサプライズ。気を取り直して、よし!作るぞー。煮付けは簡単やけど、色んなタイミングが肝心だ。

①  まず、醤油に水、酒、砂糖を入れて沸騰させる。うちのカレイの煮付けは生姜は少しだけ。
②  カレイの切り身を入れて落とし蓋をする。
③  10分くらい煮たら、最後にみりんを入れて照りを出す。みりんでキラキラになって「華麗なるカレイの煮付け」の出来上がり!

この料理は母が教えてくれた料理でオレも子どもの頃、大好きで良く食べていたので、本人に出すのはなんか緊張する。気に入ってもらえるとうれしいな。

実はさ、2022年の初めの方の仕事で、うちの会社が手掛けた車のショールームのデザインが「KUKAN of the year」のlonglist(入選)に選ばれて、チームリーダーとして主なデザインをしたオレが表彰されたんやけどね、それをこの前、カカさんに話したら「すごーい!おめでとー!」とは言ってくれたけど、なんかすんなり違う会話になって、ちょっと寂しさを感じてたんだ笑

そしたら、今、急にサプライズで母も含めておめでとう!って言ってくれて。
サプライズされたら、びっくりするし、嬉しいし、でちょっと涙目になるのってオレだけ?笑

みんなに祝福されて最高に嬉しかった!カカさんもココちゃんも母も、みんな笑顔。今年の楽しかった一年を象徴するかのような年末の一日。

こんな感じの楽しい年末年始を過ごした我が家。年も明けて、今年はどんな一年になることやら。

今年もココちゃんとカカさんとトトさん。ほのぼの家族をどうぞ宜しくお願いします。


サプライズを企てた主犯、カカさんから見た「華麗なるカレイの煮付け」はこちらから↓

ココちゃんとトトとカカは毎週水曜更新です。
今年もどうぞ宜しくお願いします!

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