【子育てと食育】36話 ココちゃんと蛍の光
今度、芦屋にできるフレンチのお店の内装の打ち合わせ。シェフはパリのミシュラン一つ星のお店で修行してた野村さん。オーナーは布施オーナーだ。
野村さんはこの店でミシュランを狙いたいって言ってた。食材は兵庫県のものだけを使うみたい。地産地消にこだわって、農家さんとも信頼関係を築いていくって。
この素晴らしい素材を使った、洗練された技術の料理をお客様にどのような空間で楽しんでいただけるかは、店内の雰囲気、いわゆる「空間デザイン」で大きく変わる。
ミシュランの店なんて一回しか行ったことない。ココちゃんの生まれる前。カカさんの誕生日に一回行った。あの時は二人ともおしゃれして、背伸びして行ったなあ。行ったのは寿司やったけども。
今回はどのような照明の配置をすることが効果的かっていう答えが見出せなくて、ちょっと悩んでいる。何個も案を作っては捨て、の繰り返し。
下品ではないか、料理がおいしそうに見えるか、一緒に来るパートナーと過ごす非日常な空間を演出できているか、達成させたい事が結構あって、全然アイディアが浮かばない。
「トトくんの仕事が好きだからね。今回の店もよろしく頼むよ」
布施オーナーからありがた~い一言を頂いたので「ぜんぜん思い浮かびません」は言えないな(笑)
そんな事があった週末。カカさんが小声で言った。
「蛍見に行かない?」
「ん?いいけど。いつ?」
「ふふ。今夜」
「え?」
そういえばココちゃんはまだ蛍の光を知らない。急に見せてあげたい思いが込み上げてきた。
でも今夜?
「ご飯はどうする?外食?」
「ううん。おにぎり作るから、おかずを作ってくれる?」
了解、という事でドライブして蛍を見に行く前におかずを作った。
もちろん、前回から意識しているカカさんの腸活サポートとココちゃんの免疫力UPをこの弁当にも取り入れるよ。
よーし。クミンとターメリックを使った、スパイシー唐揚げと、ほうれん草とエリンギにちょっと塩こうじ入れて炒めたものを作った。
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「ココちゃん、そーっとね。」
小声でカカさんがココちゃんを車から降ろして蛍の見えるスポットまで連れていく。
オレも一緒に、反対側のココちゃんの手をつないだ。
「うわあ」
ココちゃんが、蛍の光が作る幻想的な景色を見て、目をキラキラさせている。
カカさんも「きれいね。。」と感動してつぶやいた。
オレは、蛍の現物がこっちに飛んでこないかが心配だったけど、それでも、この何とも言えない幻想的というか日本の自然の美しさに
いつの間にか心を奪われていた。
瞬間、蛍の光が店内の照明のデザインと重なった。
「これだ」
各テーブルの目線を邪魔しない箇所に、ぼんやりとした照明で演出して、ダウンライトで陰影をつけてみよう。
しばらくの間、散歩して初夏の夜を楽しんだ後、車に戻った。
なんて素敵な夜。ココちゃんも帰りの車でぐっすり。カカさんもぐっすり。あ、カカさんも寝るんだ(笑)
デザインのアイディアも決まったし、すっきりした気持ちで家路についた、6月のある日のお話し。
カカさん最近忙しくて更新できてません!ごめんなさい!
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