見出し画像

現在地のまなざし 金川晋吾 東京都写真美術館〜千葉市美術館

東京都写真美術館で「アレックス・ソス」の後に「現在地のまなざし」も見てまいりました。

事前に気になっていた写真がこちら。

金川晋吾さんが、自分のお父さんを撮った作品なのですが、タバコをふかす姿がカッコイイしシブい。最初見たときは俳優さんかな?と思ってしまいました。

自分の父親を撮影した作品シリーズ〈father〉の中の1枚。このお父さん、ある日突然いなくなり、しばらくの間姿が見えなくなる。いわゆる蒸発する事があったと。

たぶん、そんな不可解な存在である父親を知リたくて、金川氏は父親を撮り続けていたのでしょうか。被写体としても、とても魅力的だし。

それ以外にも、友人と、友人の元カノであり、自分のいまカノでもある女性との3人の共同生活の作品も展示されていて、極私的な作家さんだなー、と思いながら写真美術館をあとにしました。

その後、田中一村の作品が出ているということで千葉市美術館のコレクション展を訪ねたら、そこでも金川氏の作品が展示されていました。

「特集ポートレイト」と題して、少し前まで企画展をしていたNerholと蔵真墨氏の作品も一緒。

キャプションでは金川氏について「心身ともに被写体と向き合いシャッターを切る」と紹介。

そして、
「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、視線の強弱や表情の剛柔など、相貌は言葉以上に多くのことを語ると言われます。

さらに、
ポートレートが伝える「その人 らしさ」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。3組の作品は、その本質をあらためて考えるための多様な示唆を与えます。

なんだかとても考えさせられるキャプション。
最近身近な人に「目を見れば相手の本当の気持ちはだいたい分かる」と言われていた事もあり、ドキリとしました。

で、展示されていたのは金川氏のセルフポートレイト。撮影者はそれぞれ別々の人。

満面の笑みや、眼鏡姿の少しトボケた感じ、ベッドてタバコをふかす姿に、半裸で正面を見据えた表情と金川氏の多様な姿が写真に納められていました。

そもそも固有の「その人らしさ」なんてものはなくて、他人が一側面を見て勝手に作り出したもの。同じ人の中に多様な「らしさ」があるの当たり前でしょ。金川氏のポートレイトから、そんなことを感じました。

さらに別フロアの「つくりかけラボ」のコーナーも金川氏プロデュース。幼少期からの家族のスナップ写真にコメントを添えて展示。

そこには幼き金川氏と父親が一緒に写っている写真もありました。その若き日の父親が現在の金川氏とめちゃくちゃ似ていてビックリ。親子とはいえまるで同一人物。

「その人らしさ」の中には、親から引き継がれたものも含まれている、そんな当たり前だけど忘れがちなことを思い出させられました。

自分の中にある、父親から引き継いだものに気付いていて、不可解な父親を知る為に、それ以上に自分自身を知る為に金川氏は父親を撮り続けていたのかなーと。恵比寿から千葉まで行くことで感じた次第です。これもまた勝手な解釈ではありますが…。

最近我が家の息子が理系を志向し始めて、文系で数学が大の苦手であった妻と私からすると何故?なのですが、一人だけ理系が身内にいました。私の父で息子の祖父。

親だけでなく祖父母やご先祖様のおかげで今の自分がある。何だか遠いとこまで思考が飛んでしまいましたが、金川さんの作品とても良かったです。

Nerholの作品も映えてました
やっぱセンスよいです


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集