HAPPYな日本美術ー伊藤若冲から横山大観、川端龍子へー 山種美術館
年始最初の展覧会は山種美術館に行って参りました。「HAPPYな日本美術ー伊藤若冲から横山大観、川端龍子へー」と題して、正に新年を寿ぐ内容。
今回のメインビジュアルは川端龍子の《百子図》(ひゃくしず)。
《百子図》とは文字通り「百人の子供の絵」のことで子孫繁栄や幸福を願う中国古来のテーマ。
とはいえ、何故ゾウさん?と思いますが、本作は実際にあった話を元に描かれたようです。
戦中の猛獣処分で象がいなくなった上野動物園で、もういちど象が見たいという子供達の願いに応えたのがインドのネール首相。
インディラと名付けられた象が贈られ、芝浦に到着。インディラはお披露目のため動物園まで歩いて行くことに。首に鈴をつけたインディラと一緒に子供達も行進。龍子はその楽しげな風景を描いたようなのです。
※「インディラさん入京」として、当時の映像がNHKのアーカイブで見れました。
ゾウさんと子供達の絵に幸福や平和の願いが込めらているのかと思うと、思わずグッときて絵の前で佇んでしまいました。早く戦争が終わって欲しい。
その他、吉祥をモチーフにした作品が多数展示。特に鶴の絵は、これでもかってほど並んでました。(せっかくなので何羽いたか数えておけば良かったです)
中でも抜群に素晴らしかったのが、下村観山の《老松白藤》。
山種美術館の鑑賞ルートが入場して左側面から見て、途中でUターンする流れなのですが、今回Uターンした瞬間に絢爛豪華な《老松白藤》が目に飛び込んできます。
豪華な金地に太い松の幹を中心にドンと据え、青い枝から垂れる純白の藤。左隻にはひっそりと蜂の姿が描かれている。個人的には円山応挙の《雪松図屏風》や橋本雅邦の《龍虎図屏風》よりもインパクトありました。いやー美しい。
あと、岸連山の《花鳥図》も良かったです。
左隻の半分以上を使って孔雀が描かれていて、優雅さ満点。孔雀って掛け軸用に描かれているものが多い気がして窮屈に見えがちだったのですが、本作品ではとってもおおらかな感じを受けました。
その他、菱田春草の《白牡丹》、渡辺省亭の《葡萄》、下村観山《寿老人》など、今回は特に良い作品が出ている感じがしました。
第二展示室では、山口華楊の《生》も展示。生まれたての子牛が小窓から指す光を浴びて休んでいる姿を描いていて正に神々しい。
山種美術館に来るようになってまだ2年ほどですが、山種が収蔵している日本画って凄いんだなー、という事を改めて感じ入った次第です。種二さん見せてくれてありがとう。
《百子図》が良かったのと、まだ体力もあったのでこのあと川端龍子記念館に行ってみました。こちらも違った意味でとても良かったので別noteします。