《行く春》川合玉堂 MOMATコレクション 東京国立近代美術館
土曜日は20時まで開館しているのを知り、東京国立近代美術館のMOMATコレクションだけ観に行きました。
遅めの時間ということもあり、川合玉堂の《行く春》を独り占めできる幸運に。じっくり見てると色んな思いが湧いてきました。
《行く春》川合玉堂
1916年の第10回文展出品作。1971年に重要文化財に指定。
秩父の長瀞の桜吹雪が舞い散る晩春を描いた作品。
水車船が右から左にゆっくり進んでます。散りゆく桜を浴びながら。
「行く春」は「過ぎ行く春」でもあるわけですが、当時の玉堂は43歳。
壮年期に入り若き日に別れを告げ、これから年を経ていく自分に水車船を重ね合わせていたのかなーとか、もしくは本作を観る人に何時からでも前に進めるし、前に進む人へ桜吹雪で祝福したいという意図があったのかなーという思いに。
そう思うと共に前に進んでいる二艘は常に支えがあるという事かなとか、もう一艘の停泊してる水車船からは休むことも必要という人生についての玉堂からのメッセージかなと感じた次第。勝手な解釈ですが…
桜舞い散るなかを、ゆっくりと一緒に進む二艘の船。少し先にはひと休みしている船頭。
この先何があるか分からないけど、綺麗な桜吹雪を浴びながら前に進める。
東近美の作品が最も綺麗に見える展示で、ソファーに座りながらじっくり見ていると、特別な感情に浸れた夜でございました。
あと、木島櫻谷の《しぐれ》も鹿の親子がとっても可愛らしかったです。
そして岡倉天心登場。何故かクスッとしてしまう…誰かに似てる気が…
今回もさすがの充実した所蔵作品展でした。