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テルグ映画あるあるが満載【インド映画】Meelo Evaru Koteeswarudu

"Meelo Evaru Koteeswarudu" (2016) Simply Southにて。
タイトルの英訳は"Who is the millionaire among you all?"で、これはクイズ番組「クイズ・ミリオネア」のテルグ語版タイトルと同じなんだそう。ただしクイズ・ミリオネアとは内容は全く関係ない。
映画のタイトルで検索すると上にあるようなスチールが出てきて、アッこれはもしかしてナヴさん主演のラブストーリー?と一瞬期待したし映画見始めて15分くらいはそう思っていたのだ。

だってこれ見たらふつうそう思うやん…

父親が大企業のCEOという裕福な家庭に育ったプリヤ(シュルティ・ソディ)は、夜遊びで泥酔したときに家に送ってくれたプラシャント(ナヴィーン・チャンドラ)に恋をする。プラシャントはプリヤと同じ大学に通う大学生だったが、プリヤの熱烈なアプローチを全く相手にしない。(強引なヒロインに押されまくって時にタジタジとなるナヴさんは実に新鮮でよい)プリヤはどうにか彼に1週間だけ、農村にある彼の実家に同行することに同意してもらう。プラシャントの実家では歓迎を受け、だれもが彼女を未来の家族として受け入れた。二人の距離も縮まり一週間が経った時、プラシャントは打ち明ける。自分は生まれも育ちと君と違い過ぎる。だから距離を置こうとしたのに、今では君を愛してしまった。
晴れて両思いとなった二人はプリヤの父親A.B.R.(お父さんといえばムラリ・シャルマ)に挨拶に行くが、A.B.R.は家庭の格の違いを引き合いにだし、プラシャントを娘の相手には相応しくないとはねつける。プラシャントは言う。「あなたは娘に金で買える享楽を与えているかもしれない。だが僕は彼女に真の幸せを与えることができる」「何も失敗したことがない人は、幸せが何かを知らない」
プラシャントの言葉が引っ掛かったA.B.R.は、ならば実際に「失敗」を試してみようと考える。失敗間違いなしのビジネスを探した彼が行き当たったのは、映画がコケて文無しになったプロデューサー(ポサニ・クリシュナ・ムラリ)と、彼が引っ張ってきた、作る映画すべて駄作という映画監督(ラグー・バーブ)。二人が満を持して打ち出したのは、出る映画がコケ続けている映画スター”Variation Star”ことヴィーラ・バーブ(プラージ・ラジ)推定年齢50歳を主演に据えた、10代の男女の青春ロマンス映画だった…。(ここまでで1時間10分)

テルグ映画でおなじみのメンツがそろっていてラブロマンスどころでない
「チランジーヴィの140作目の公開初日にぶつければ(こっちは)間違いなくコケる」
とかセリフがイケている

以降は劇中劇ならぬ映画中映画の形で、「農村から出て来たピュアな男の子(演者は50代)と、町に住む女の子が恋に落ち、反対する彼女の父親の手先に襲われたりとか女の子の急病とかなんやかんやあるけど最後は父親の許しを得てハッピーエンド」という映画が描かれるのだけど、これが「通俗的な南インド映画のテンプレをなぞったテルグ映画」「テルグ映画あるある」という形になっていて非常に面白い。実際のインド映画のパロディが仕込まれているので(「ムトゥ 踊るマハラジャ」の楽曲が流れたりする)おそらく私なんかよりいっぱい映画を観ている人達にはもっと笑えたかもしれない。(私には全然わかんなかったけどマヘーシュ・バーブ、プラバース、バラクリシュナ、NTR Jr. etc、とにかくパロディてんこ盛りらしい)
ただ、「私いま何みせられてるんだっけ?」という気分にもなるのだった。ナヴさんどこいった…?

ところでこの「コケること間違いなしの映画」、思わぬ大ヒットになってしまい、結局「失敗という経験」をできなかったA.B.R.なのだが、このテンプレ通りの通俗的な映画に感動して涙をながしてしまう。そして映画のストーリーの中に自分の娘とプラシャントを重ね合わせ、二人の結婚を許すのだった…。(ようやくナヴさん再登場である)
ここで、アレ、これも結局のところテルグ映画あるあるのご都合主義の大団円では?と気づいたところで、ああなるほど、と思う。通俗的な映画とそういった映画を量産する作り手、飽きもせず喜んで見に行く大衆を笑っているようでいて、もしかしたらこの映画は「大事なことは何を伝えたいかってことだよね」と言いたかったのかもしれない。「それにやっぱり、みんなこういう映画が好きなんでしょ?」とも言いたかったのかもしれない。うん、私も好きだ。でも、ナヴィーン・チャンドラの出番はもう少し多くても良かったんだぜ…?

見終わってみれば真ん中の二人より両端の二人のほうが記憶に残る


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