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【詩#20】《——遠いところから》

I.風のやむまで

しずかにすわっている
影のゆらいでいる
こころはかけている
風のやむまで

ここではないどこか遠く
ここにはないなにか遠く
果てしないこころ
風に影があるようだった

II.大きな〈夢〉のはなし

あさやけがむらさきがかって
ここにあるものが、なくなろうとしている

   私には大きな夢がある
   そのことを少しだけ語ろうか

   いつかあの人になりたいと
   願っていた日々があった
   いつかあの人に会いたいと
   笑っていた日々があった

  やがてそれは夢ではなくなった
  いつかは今となって
  私は笑っているし
  私は泣いてもいる

  私にはまだ夢がある
  そのことを少しだけ語ろうか

  どこかで風の影を見たい
  どこかで火の魂を見たい
  どこかで山の命をみたい
  どこかで林の夢を見たい

  そしてここへ戻ってきたい
  遠いところから
  こころは今ここにいない
  あの海にいたらいいな

  と 言うころに

つきあかりがしらんできた
ここにないものが、いまあらわれようとする

III.いま

いま死んでも良いとおもうほど
いまわたしは生きているらしい



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