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【詩#18】《うたうひと》
—夏合宿'24によせる四つの定型詩
1秋茜
秋はもうすぐ
道をあるけば
みえない糸の秋茜
すずしい風の
空にたぐられ
みえない糸の秋茜
まぶしい昼の
山をあおげば
みえない糸の秋茜
しずかな夜の
月によばれて
みえない糸の秋茜
2.うたうひと
うたうひと
うたにあいをこめて
うたうひと
うたにゆめをかなえて
うたうひと
うたにえがおをたくし
うたうひと
うたにあしたをきたいする
うたうひと
うたになやみつづけて
うたうひと
うたにぜつぼつをしって
うたうひと
うたになみだをそそぎ
うたうひと
うたにきのうをふりかえる
うたうひと
それでもうたいつづけて
うたうひと
うたにいのちをもやして
うたうひと
きょうをうたにいかされ
うたうひと
うたにうたをかさねる
3.いつか今日も
いつか今日の歌も
いつか今日の花も
いつか今日の文字も
わたしをはなれて
いつか今日も
いつか今日も
いつか今日も
わたしにかえってくる
4.真夜中の音楽
真夜中の音楽に耳を
月光のフェルマータ
驟雨のクレッシェンド
足音のスタッカート
鈴虫のロングトーン
真夜中の音楽に歌を
乾杯の三連符
談笑の和音
夢幻の転調
人々の変拍子
真夜中の音楽をかなでるもの
世界中のすべてにある音楽
真夜中の音楽をうたうもの
世界中のすべてをいきる人