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【詩#40】《てんし、めざめて》

1.てんし、めざめて

おふろをでてからねるまでの
なにもしないじかんは
てんしのわっか

ねむりにおちたとき
わたしはてんしになった

きがした
さえずりはそれをこばんだ

2.こころ

すきになったら
あとはつらくなるだけ

そんなことわかっている
そんなことわかっていたから

どうせなら
すきになんかなりたくなかった

そんなことわかっている
はずだった。

3.夜の雨

静けさの喧騒にまみれた夜の雨のもとで
わたしは語ったのだった
わたしがわたしでいるたのしさを

飲み込まれそうな暗闇の夜の雨を聴いて
あなたは語ったのだった
あなたがあなたでいるつらさを

風の匂いをつれてきた夜の雨に心をゆるし
わたしは幸せだったのだ
あなたの辛いを聞くことができて

時を淡々と
ただたんたんと刻んでいる夜の雨に
あなたは涙していた
わたしの涙を確かに見ていたから

4.アイデンティティ

雨が降ること ただ雨となる
雪が降ること ただ雪となる

雲が流れること ただ雲となる
虹が遠くにかかること ただ虹となる

波が訪れること また波がさってゆくこと
花が咲くこと また花が散ってゆくこと

何度でも 今だけのこと
何度でも いつまでものこと

わたしのことを考えること
わたしだけのこと
わたしのことを愛すること
わたしだけのこと


街にざわめくこと ただ街となる
村にやすらぐこと ただ村となる

暮れて家が灯ること ただ家となる
明けて道が騒ぐこと ただ道となる

恋をすること また恋がやぶれること
いつか出会うこと またわかれること

きょうまでも 今だけのこと
あしたからも 今だけのこと

わたしのことを見つめること
わたしだけのこと
わたしのことを愛すること
わたしだけのこと


いつかわたしがわたしをはなれるとき
はじめてわたしとなる


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