見出し画像

キタダヒロヒコ詩歌集 33


秋    キタダヒロヒコ


年老いたおさない少年よ
降り続く雨のように美しい道がつづく
忘却と経験の昼下がり
いつでも目覚める用意はあるのだ
年老いたわかい少女よ
思い出がきょうも森へ車を走らせる
かつて人の血のぬくみに耳をおしあてた木陰を
ひとときたしかめるためだけに
右手に土手がことしもえんえんと伸びてる
ふいにぎんいろに土手を覆う穂波がみえ
あなたがこれからする経験がかがやいている




コメントやサポートをお待ちしています。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?