『九龍ジェネリックロマンス』92話感想
■明かされるジェネリック地球の真実
あらすじ
気がつけば闇の中にいた鯨井Aは
ポツンと置かれていた机を見つける。
机に置かれていたパソコンを通じ
ユウロンが再び鯨井Aに接触してきた。
ユウロンは彼女に
「G九龍の正体は工藤の精神世界だ」
と告げるが…
感想
①闇の中の鯨井A
鯨井はいつの間にか
一人闇の中に倒れていました。
鯨井は闇の中で
同じく倒れていた令子さんを見つけますが
もちろん令子さんは
既に死んでいる状態になっており
鯨井の目の前で朽ちていきます。
令子さんの死体が朽ちていく姿に
鯨井は怯えてしまい
その場から逃げ出します。
②ユウロンとの再会
闇の中を逃げる中
鯨井は仕事で使っている机を見つけます。
机に置かれているパソコンには
電源が入っており
恐る恐る鯨井が
パソコンにアクセスすると
なんとユウロンさんが現れました。
ユウロンさん一体どうやって
鯨井に接触しているのでしょう?
この時のユウロンさんは
失踪する前なのかそれとも後なのか
気になりますね。
③ジェネリック地球(テラ)の真実
ユウロンさんは
ジェネリック地球が
実はただのハリボテでしか無いことを
鯨井に明かします。
今回のエピソードは
ジェネリック地球関連について
76話に通じる真相がちらつきますね。
ジェネリック地球は表向き
「記憶をバックアップする場所」ですが
本当の正体は
「亡くなった人に会いたいという
夢を見せる場所」。
ユウロンさんはここで
<共通意識>の話をします。
人類全体に共通している願望…
「亡くなった人にもう一度会いたい」。
ジェネリック地球は
人類の持つ顕在意識と潜在意識が融合した
共通意識が実体となって存在していると
いうことでしょうか?
G九龍の場合
ジェネリック地球に集まった共通意識を
利用してある人物の想いを元に誕生した世界
それがG九龍の正体だということが
判明しました。
④G九龍は工藤の精神世界?
ユウロンさんは鯨井に
「G九龍は工藤の精神世界」
と告げます。
確かに工藤も
G九龍に何らかの形で関わっているのは
間違いないでしょう。
しかしG九龍そのものを
工藤の精神世界と断言するには
色々矛盾する点が出てくるんですよね。
まず、工藤には自身がG九龍とリンクしている自覚が無いこと(洗脳されて記憶を無くしている可能性も考えられますが)
「工藤の精神世界なら御札は存在しないはずだ」というグエンの言葉(工藤にとってトラウマだから?)
87話での死ぬ直前の令子さんの様子(これが一番矛盾している)
特に死ぬ直前の令子さんの様子が
一番矛盾しています。
(↓87話参照)
87話で令子さんは
工藤のプロポーズを受ける決心を
固めていたことが明かされています。
令子さんの死ぬ前の出来事を
工藤は恐らく知らないでしょう。
だから「令子さんは自分が殺した」と
今でも自分を責めているのだと思います。
ユウロンさんは
G九龍に工藤が関係している証拠として
鯨井の存在そのものを告げます。
G九龍で
死んだ人間が再現されているのは
鯨井ただ1人だけ。
他の人間の
「亡くなった人に会いたい」という想いが
どれだけ強くても
G九龍では反映されていないこと。
それこそ工藤の想いが
G九龍に反映されている何よりの証拠です。
⑤工藤を救う条件は…
ユウロンさんは鯨井に
工藤を救う条件として以下の言葉を告げます。
ユウロンさんの
「鯨井Aを殺してほしい」
という言葉の意味がここにきて分かりました。
G九龍の正体が工藤の精神世界なら
鯨井Aの存在を消すことで
工藤が鯨井令子を諦めて、G九龍も消える
という考えなのでしょうか?
ある意味鯨井にとっては残酷な選択ですね…
なぜなら
工藤と共存できない
ということなんですから。
確かに鯨井もG九龍も
幽霊に近い存在なんですよね。
鯨井の元になった令子さんも
そして第二九龍も
3年前に失われて
もうこの世に存在しない存在です。
鯨井は
「工藤のそばにいたい」と願っていますが
自分の存在の残酷さを改めて
突きつけられることになりそうです。
余談:ジェネリック地球のナゾ
『九龍ジェネリックロマンス』に登場する
SFガジェット<ジェネリック地球>。
見た目は多角形のコロニーで
作中では
「人類の新天地」と紹介されています。
初めはガンダムシリーズに出てくる
スペースコロニーのような場所かなと
思っていました。
しかし、スペースコロニーにしては
人が住めるような形じゃないので
違和感はありました。
話が進むにつれて
「記憶をバックアップする場所」
という説明がありましたが
それは表向きの説明で
真の正体は
『人類の共通意識を反映する装置』
のようなものだと判明しました。
だとするなら
そんなものを空中に浮かべて
人類の共通意識を集めて
一体何に利用しようとしているのか?
ジェネリック地球を運用する目的は
一体何なのか?
ますます謎ですね…