ラインケア研修、なぜ毎年やるの?根拠6選
こんにちは!メンタルヘルスケアを中心に開業した
産業保健師の会社、メンタルヘルス・サポートファースト
代表の平島です。
人事担当者の皆さん、衛生管理者の皆さん、
管理監督者からこうしたギモンをぶつけられ、答えに困るシーンが
おありかと思います。
そもそも、ラインによるケアについて、下記引用しておきます。
根強い根拠6選
1.仕事による過度なストレスと自殺の予防
2022年の自殺者数の統計が発表されました。
厚生労働省・警察庁『自殺の状況』によると
増加傾向になっています。
被雇用者でみてみたところ、やはり2016年以降、再び増加しています。
(’16年度 6324人 < ’22年度 7341人)
一昨年比では、649人増。
このうち勤務問題が原因と思われるケースは、40%(2968人)でした。
また、20代30代の死因第一位は、’22年度も一昨年同様第一位で
若年者層のメンタルヘルスケアは重要な課題です。
2.「孤立を防ぐ」ラインケア
だれもそうなりたくてなるわけではない。
そうしたくてしたわけでもない。
こころが孤立しがちな人の特徴はというと?
優秀な社員
勤務地が地元(実家や大学)と離れている
相談が苦手な社員(思いこみが強い)
一見、手の焼けない、優秀な社員に期待もしがち。
まさか、こんなことでつまづいているとは・・・。
成功事例の多い優秀な従業員こそ、この「まさか」を
体験していることがよくあります。
本人も初体験であることが多く、独り苦しむことが多いのです。
その「まさか」に早く気付き、声をかけて負担を緩和する
など、柔軟に調整できるのも管理監督者なのです。
3.早く気付けて相談される立場の管理監督者
令和4年版過労死等防止対策白書によると、
令和3年度の「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」人
の割合は53%でした。
「仕事の悩みを誰に相談しますか?」の問いには、
第一位:家族
第二位:上司・同僚
職場に相談する人は 70.2% にもなります。
本当にしたかどうかは、別のようですが「いざ困った時」は相談する。
「人事」でも「産業医」でもなく「管理監督者」なのです。
4.ラインケア研修はメンタルケアを加速させる
冊子も何もない2000年代初め、
うつなどのこころの不調は
「こころの風邪」と呼ばれていました。
しかし、保健師の元に来てくれた若手従業員からの「ある言動」を
聞き逃さなかったことが「その従業員の生命を救うきっかけ」
になった経験がありました。
「この子はわたしに悩む姿を見せたことがないから心配だった」
と親御さんの胸の内にも触れました。
保健師の元に来る前に、管理監督者が
「ある言動」「ある行動」「あるきっかけ」に
アンテナを張り、先回りをして、予測することで
声をかけ、未然予防も可能となるのです。
気付いた時、話題に上がった時の対応で決して遅くはありません。
再発防止策もみえてくるでしょう。
さて、いよいよ5つ目。
やはり、企業内で必要なのは?
5.管理監督者の役割認識
部下にとって、家族の次に「相談される存在」である
深刻な悩みを「打ち明けられる」可能性が(10人中7人)ある
病気を未然に防げる職場環境整備・改善する立場である
ここまでをしっかり押さえていれば、
「じゃあ、なにをすればいい?教えて」
といった行動喚起につながることは間違いなさそうですね。
日頃からの組織的な働きかけ・体制づくりは重要です。
ラインケアを支える人事労務担当者・衛生管理者としては
事業所に応じた研修内容で、且つ次のような内容を
わかりやすくまとめておかれると、いざというとき、
誰も困らず実用的です。
1管理監督者の役割と心の準備(気持ちの切り替え・評価を横に置く)
2聴き方・傾聴をスキルとして身につける
3相談のまとめ方・受け取り方
4リスクに応じた社内・社外対応方法・手段
5内容に応じた社内・社外対応方法・手段
6聴いたあとの従業員への対応
7職場内での調整・改善方法や公平性(周囲への対応)
8管理監督者のセルフケア
9記録媒体(いざという時に部長以上と共有できます)
10保健師や衛生管理者・人事労務などの相談窓口との連携フロー
11産業医不在時の対応・連絡先 会議体で日頃から周知・10に含める
12保健師不在時の対応・連絡先 会議体で日頃から周知・10に含める
フローは、管理監督者の抱え込みを減らすと同時に
次のアクションが決まっていれば、焦らず冷静に対応することができます。
組織が一体となってラインケアをフォローする仕組みは重要、
記録はTop Secretで残し、不在時に引き継ぐ体制も必要ですね。
いよいよ最後の理由は
6.忘却
「忘れてしまうから」です。
どんな印象的な研修でも、
1時間で44%、わずか1日で、その大半(74%)を忘れてしまいます。
ここまででお分かりのように、働くひとが心を病むことを防ぐ
ことにもつながる 心強いラインケア。
毎年また案内がきたか〜っと思う頻度で
ラインケア研修があったほうがよいのです。
管理職の転籍、異動、階層によって内容を効率よく絞ると
毎年1回でも全員に行き渡らないことがあります。
上司によって対応がまばら、理解も一貫性がない、となると
特定の管理監督者の元に移動した途端、体調を崩してしまったり
周囲も疲弊してしまい、職場環境はいつまでたっても不安定なままと
なりかねません。
「知っている」から「やっている」へ
年に一度のラインケア研修の必要性とその根拠について
ご説明してまいりましたがいかがでしたでしょうか。
忘却も、実例・エピソードをもとに、振り返ることで
長期記憶に残すことができます。
受講直後は、いつでもアクションがとれる態勢を
テストして(行動)おかれると自信にもなり良いですね。
学んだ内容を随時行動に移して長期記憶貯蔵庫へ。
是非お試しになられてください。
人付き合いも仕事のうち、とは言いますが、特に注目すべきは
職場でのいじめや嫌がらせ行為の訴訟です。
ここ10年間最高件数を記録しています。
仕事や人間関係での悩みに対して「甘え」「気合い」
「子どもじゃないんなんだから自分で考えて。」
「仕事と直接関係ないから」
などと侮っていては、
社員の孤独を招いてしまい「黙認」にもつながります。
「自分がいなくなればいいんだな」
と疎外感まで感じるようになり、職場環境ストレスはみるみる悪化
してしまいます。
心理的安全性を保つため、
人付き合いもマネジメントのうち。
深刻になる前にポジティブアクションを。
お役に立てましたら幸いです。
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