2024年11月前半の読了本+感想
執筆・執筆・執筆・読書・執筆・執筆・読書みたいな毎日です!
12月1日文学フリマ東京で発売開始する本が完成しました!
タイトルは『第一芸人文芸部 俺の推し本。マガジン』!
BSよしもとでMCを担当している番組『俺の推し本。』に連動した一冊です!
番組見たことある人はもちろん、初見の人も楽しめると思います!
書影はこちら↓↓
僕はショートショートと書評を、ピストジャムさんはエッセイと書評を寄稿しています!
完成度高いものになってかなり満足しています!
ぜひゲットしてください!!
値段は1,000円です!
詳しくは↓↓
他にも、12月から始まりそうな企画が一つ。年始から始まりそうな企画が一つ。引き続き書きます!!
「俺の推し本」の方は、12月の収録によしもとばななさんが来てくださることに!今から楽しみ!!
それでは読了本の感想です!
俺の推し本マガジンでは書評も担当しましたが、noteでの修行をかなり活かすことができました!
いつも読んでくださっている皆さん、ありがとうございます!
2024年11月前半に読んだ本
①『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』 新川帆立
いや〜面白い。リーガルSFとの触れ込みだけれど、ショートショートとしても読める。
最近のショートショートは“不思議な話”やアイデアに焦点が当てられることが多いけれど、かつての御三家(星新一・筒井康隆・小松左京)の流れをそのまま汲み、社会問題や皮肉も盛り込みながら、現代にアップデートしたような短編集。
6本収録されているが、どれも面白い!
設定は架空の日本、といっても現代の日本と並行世界で、各話「“ある法律”が設定されただけで世界がこんなに変わる」と見せてくれる。
タイトルのレイワが片仮名になっているが、各話では「礼和」「麗和」「冷和」「隷和」と漢字となっており、新しく成立している法律のニュアンスを残しているのも面白い。
受験期、聞いた話で印象に残っているものがある。「学部の難易度は、一般的にミスをしたら人が死にやすい順番」になっているというもの。理系なら医学・薬学・理学、工学部のなかでも建築、文系ならば法学・経済学……。
法律で世の中を変えるのか、世の中が変わったから法律をそれに合わせるのか、小説内にはどちらのパターンも出てくるけれど、大きく世界のあり方を変えたり確定させたり、法律というものの影響力が大きいことを実感する。
礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」成立は、動物にも人権同等の権利が認められた世界。
人権という言葉は効力を失い「命権」なるものが定められている。いきなり訴状から始まるのも面白い。内容は動画配信をしている猫が、アシスタントを務めるボノボからセクハラを受けたというもの。訴えられたボノボはタブレットを使って喋れる、主人公は彼を擁護する弁護士だ。「爬虫類にも移動の自由を!バスに乗せろ!」などと、権利団体が駅前で叫んでいる描写も面白く読んだ。もちろん肉を食べることは禁止されているので、みんな隠れて食べている。
麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈(通称どぶろく通達)」成立は、自家醸造が認められた世界。
主人公の女性は日本酒教室に通っているがうまく作れない。仕方なく友人が作ったものを姑家族のために持っていくが、やたらと気に入られ、同じものを作り続けないといけないハメになってしまう。
零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称・電子通貨法)」成立の章は、現金の使用が罪になった世界。しかし電子マネーだけで経済が回っているのは都市部だけで、田舎はまだまだ隠れて現金を使っている。ウラジオストクマフィアや香港金融とつるんで悪さをする世界線も面白かった。筒井さんの『最後の喫煙者』オマージュかな。
新川帆立さんをデビュー以来追いかけているけれど、こんな作品も書けるんだと驚いたものも多かった。最近は漫画にも挑戦しているようで、引き続き応援している。
②『方舟』 夕木春央
SNSの読書アカウントをやっている皆様がこぞって絶賛しているミステリー。週刊文春ミステリーベスト10で1位も獲得している。
流れに乗りたい!その思いで手に取り、僕も乗船することに。最高にゾクゾクした一冊でした!
主人公は柊一(しゅういち)。大学時代の友人が所有している別荘に遊びに行く。その辺りの地理に興味があったという従兄弟の翔太郎も連れて。
別荘の持ち主、裕哉は山奥に面白いものがあると案内する。
マンホールの蓋を開けると、そこにあったのは大きな地下建築。
下へ進むと、巨大な岩がありチェーンでぐるぐるに巻かれている。
その先には大きな空間が広がっており、なんと地下三階まで存在する。
地下一階と地下二階はホテルのように個室があり、地下三階は大きなホールの方になっているようだが浸水している。
探検すると、ベッドや食堂だけでなく様々な工具、道具が揃っている。ある部屋に置かれていた拷問器具を発見したとき、ここはかつて新興宗教、もしくは過激派が使用していたアジトではないかと仮説を立てる。巨大な岩は何かあったときに入り口を塞いで証拠を隠滅などするためではないかと。
地下建築の見取り図を発見し、ここは『方舟』と呼ばれていたことがわかる。
道に迷い到着が遅れたせいで夜になり、ここで一泊しないといけなくなる。電波がないのでメールチェックをしに何人か外に出るが、そこできのこ狩りに来た家族3人を連れて帰ってくる。
そして就寝してすぐ、巨大地震が起きて岩が出口を塞ぎ、クローズドサークルの完成。翌朝、地下三階の水が地震のせいで水が増していることがわかる。何もしないと溺死確定。
脱出する方法は一つ。地下一階の岩を地下二階に落とすこと。岩に巻かれたチェーンを引っ張ると落とすことができるけれど、岩が落ちてしまうとそのスペースは閉じ込められてしまう。誰か一人を犠牲にしないと脱出できないことが確定する。
そこでさらに殺人事件が起きる。殺人犯を突き止め、そいつに犠牲になってもらうため全員が全員を疑いながら物語が展開していく。
いや〜面白い。ゾクゾクした。
殺人事件の犯人を特定したところで、そいつが暴れ出す可能性もあるし、うまく解決しないのではないか? そう思いながら読んだけど、とりあえず犯人を見つけることが解決につながると信じて行動するしかない。
水が迫ってくる焦りと、また殺人が起きるかもしれないという疑念。互いが監視しながら昼夜を共にする緊張感。恋愛のもつれ。色々な要素が入っていて、極上の幕の内弁当を食べているような気分だった。
「一人犠牲にしないと他の人たちが助からない、誰を選ぶべきか」
自分が思う最適解と、他の人が考える最適解に差異があった場合、どのように選択するべきか。命の選択を。
6人の友人のうち二人は夫婦で、きのこ狩りで迷った家族もいる。愛する人がいる場合、彼らは優先されるべきか。
家族の父親は、全員溺死より自分の妻と子供だけでも助ける選択肢を取るのではないか。
色々なことを考えながら地下建築で過ごす主人公たちから目が離せず一気読み。
そしてエピローグに度肝を抜かれた。
③『「好き」を言語化する技術』 三宅香帆
ヤバい!マジで面白い!考えさせられる!深い!大好き!
自分の好きなものを観たり、楽しいことをしたり、美味しいものを食べたりしても、そういう感想しか出てこない人に向けた本。
友人に推しの良さを伝えたいのに、うまく説明できない。
ライブに行ったのに最高だった!しか感想が出てこない!
ましてや感想など緊張してSNSにあげられない、といった人に激おすすめ。
推しを語ることができるようになることは、自分が何が好きか知ること、自分への理解につながる。自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」とともに、自分の言葉をつくることの重要性を教えてくれる。
アウトプットの仕方もSNSなどの短文発信、ブログなどの長文発信、そして友達に向けて喋るとき、音声配信で不特定多数に向けてしゃべるとき、といった発信方法ごとに分けられているのも良かった。
ありきたりな言葉を使わずに伝えること、相手との情報格差を理解して埋める努力をすること、大事なのは読解力ではなく妄想力というのが心に残っている。
また推しを語る前の準備の編で、昔の人が使っていた「あはれなり」は現代語で「ヤバい」だと書いていて面白かった。確かにな〜上にも下にも使えるもんな〜感情が動いたら。
神は細部に宿る、じゃないけれど可能な限り細分化して、自分の感情を言語化し続けようと背中を押してもらえた。自分の感情の言語化が終わる前に、人の感想を見ないことも覚えておきたい。
④『ドイツ人のバカ笑い ―ジョークでたどる現代史』 D・トーマほか
戦後50年のドイツで流行ったジョークを集めた一冊。
「世界一薄い本は何ですか?」「『ドイツ、ユーモアの二千年』です」というジョークが有名らしく、その生真面目さや理屈っぽさゆえ、周りの欧州諸国に“おもんない奴ら”扱いされていたドイツ人。しかしこんなに面白いジョークもあるんだぞ!と矜持を示している。
1945年から1990年代まで時代ごとに紹介。特にドイツ特有の事情を反映した東西分断ネタは面白かった。
ネタやギャグ、エピソードトークというより、落語とか小噺みたいなのが多い。スタンドアップコメディーで喋ってるような。ショートショートみたいなのもあった。
自分が欧米人なら区別できたのかもしれないが、アメリカンジョークとドイツのジョークを区別するの難しいだろうな。落とし方は似ている。
二階から冷蔵庫なげるネタが一番面白かった。
というか、今もまだドイツ人=堅物で面白くないみたいなイメージあるんかな。ミュラーとかクロップとかめっちゃ面白いと思うんだけど。ハンジフリックのリアクションにも笑ったし。ブンデスリーガ見に行った時も、観客、発煙筒を焚いて、至近距離で自分の顔に当てて爆笑してたけど。バカバカしい笑いはよく見る。知的な笑いが少ないっていうイメージなんかな。
今後の予定
①12/1 文学フリマ東京
12〜17時 東京ビッグサイト。第一芸人文芸部のブースは【はー17,18】に決定!
新刊『俺の推し本マガジン』を発売します!
僕はショートショートと、書評を寄稿しています!
https://bunfree.net/event/tokyo39/
②『文芸ムックあたらよ 第二号 特集:青』
こちらテーマ『青』で作られた新進気鋭の文芸ムック。
僕は『 #00a0e9 』というタイトルの短編小説を寄稿しています! “怪作”とのお言葉いただきました。
文学フリマ東京で先行販売されます!
ネット予約も始まっています!
第一芸人文芸部のレギュラー
①毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
今週の本紹介、文学ニュース、活動報告などを行なっています。
お便りコーナーもあるので、質問お待ちしております。
第一芸人文芸部の活動のベースです!
②毎週日曜16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
毎週レギュラー放送中。本について語り、推し本を紹介する番組です。
アーカイブはBSよしもとのサイトとYouTubeからどうぞ!ピストジャムさんと僕がレギュラーMCです。
放送予定
11月17日 しずる・村上、エレガント人生・山井
11月24日 しずる・村上、グランジ五明
12月1日 しずる・村上、銀シャリ・橋本
12月8日 BKB(バイク川崎バイク)、3時のヒロイン・福田
12月15日 放送お休み
12月22日 BKB(バイク川崎バイク)、ダイタク・大
12月29日 BKB(バイク川崎バイク)、ヒューマン中村
拙著について
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』。めちゃめちゃ自信作です!!
Amazon、読書メーター、ブクログなどで感想書いていただけたらめちゃくちゃ喜びます!!
こちらに発刊への想いは、以下に綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房 『本屋夜話』 (「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の「小鳥書房文学賞」を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
③『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』
ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。自信作です! ぜひゲットしてください!
アーカイブ
① (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
東野圭吾さん初のAudible作品『誰かが私を殺した』の配信を記念して、2024年7月24日~28日までの5日間に渡って実施されたイベント「真夏のミステリーライブラリー」で公開収録した特別編も配信中!
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