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『痩せたら速くなるのか?』ランナーの身体組成とパフォーマンスとの関係を調べたエビデンスを整理

はじめに


『痩せたら速くなるのか?』という問いは、持久系スポーツの中でも特にランナーで関心の高い話題です。
この理由を推測すると、自らの力で速く体を移動させるという点において、長距離走は自転車やボートとは異なる競技特性を持っているため、体重が軽いことがアドバンテージになり得ることが想像しやすいからだと考えます。

最近では、特に女性の競技ランナー(育成年代のランナーを含む)を対象に、過度な食事制限や厳格な体重管理がパフォーマンスや健康に及ぼす悪影響がメディアでよく報道されています。
文脈なしにランナーに対して「痩せた方が良い」と発言すること自体がネガティブに捉えられる可能性もあり、保護者や指導者をはじめとする選手のサポートスタッフには慎重な対応が求められています。

他方、真偽はさておき「1kg痩せると3分速くなる」という説が広まっているなど、体重や身体組成に関する話題はライトに扱われることもあります。
ランナー界隈では「太ったから以前のように速く走れないんだよ」と自虐的に表現する人もいます。

個人的には、体重や身体組成の話題をタブー視し過ぎることも弊害があると思っています。
なぜなら、ランナーの中には自分の身体に対する理解を深めようとする過程で、こうした情報を求める性質がある人もいるからです。

本記事では、「〇」か「×」かでは言いにくいこの話題について、学術情報をもとに考察していきます。


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