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美大卒でもない私がCIやBI、ロゴやブランディングが得意なデザイナーになれたのかという話

これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2018 17日目の記事です。

このアドベントカレンダーを書くにあたって、ロゴの話を聞きたいという声を複数いただいたこともあり、漠然とロゴのカーニングのことでも書くかなぁと思ってぼちぼち準備していたのだが、コリスさんで デザインの基本: フォントのカーニングとは、カーニングの基本的なやり方 という私が書きたかったことの300倍ぐらい分かりやすい記事が同日にでてしまったので、バサッと趣旨がえして、いつの間にか私がCIやブランディングに強くロゴを作ったりするのが上手くなったのかという話を書くことにした。

早いものでフェンリルに入社して次の2月で一年になる。忘れもしない去年のちょうど今頃、リファラル採用のお話をいただき、フェンリル五反田オフィスの見学をさせていただいたのを、本当に昨日のことのように思い出せる。

現在はアプリのデザインをメインの仕事としているが、フェンリルに入る前は体調を壊していたこともあり、フリーランスとして主にベンチャーキャピタル(以下VC)から紹介していただくベンチャー企業のブランディングをお手伝いしていた。
VCからの紹介なのでだいたいはすでにプロダクトがある、またはプロダクトリリース準備中だったり会社設立を準備していたりと資金調達済。何千万かの潤沢な融資でエンジニアの採用は強化できたけれどもプロダクトのデザインや自社のブランディングは何をやっていいかわからないというベンチャーがほとんどで、フリーランスでやっていた約1年間で大小含め7件ほどサポートをさせていただいた。

どうやってCIやロゴ、ブランディングを学んだのか

今思い返してみても、1年間で7つは結構なスピード感だと思う。ほとんどが2ヶ月程度、最大で4ヶ月かかったものもあるが、それはVIからWebサイトデザインまでお手伝いしたり、BIのすべてを一人で作った上で名刺などの外に露出する印刷物の手配まで全部やらせていただいた。

なぜこんなことが一人でできるようになったかと言うと、とある印刷会社に在籍中、シスコシステムズの日本法人 さまからの依頼で、ブランドアイデンティティの日本語版の制作に携わった経験が大きい。小さな印刷会社だったがシスコをはじめ国内外の有名SIer向けのパンフレットを軒並み手がけていたこともあり、Interopという1日5万人以上もの人が来場する日本最大級のインフラやクラウドなんかのイベントで、冗談じゃなく出展企業の3割近い会社のパンフレットやチラシを作ったことはプチ自慢だ。

では何もせず最初からCIやBI、ロゴデザイン、もしくは各企業のBIに沿ったパンフレットを制作できたかというととんでもない。タイトルにも書いたが、私は美大なんか一ミリもかすっていないだけでなく、高卒な上デザインの学校に行ったのなんて22歳の頃に働きながら夜間のデザイン教室に3ヶ月程度通ったのがせいぜいなのである。そんな私でも20年近くデザイナーとして食べていけるようになった方法がある。

それは何かと言うと、実に簡単。自分がやりたいデザインをIllustratorなんかでトレスしまくる… という本当に地味なやり方である(なにかウルトラCを期待した方ごめんなさい)

どうやってトレスしたか、というとほとんどBIを全部そのまま作るというやり方である。
CIやBIをトレスしたことがある、または参考にしたことがあるデザインガイドラインを羅列しておくので、CIやBIの勉強をしたい方だけでなく、デザインとはなんぞやからを学びたい方もぜひトレスを試してみて欲しい。

Facebook brand Assets Guide
https://ja.facebookbrand.com/
https://facebookbrand.com/wp-content/uploads/2018/09/Facebook-Brand-Assets-Guide_09_05_2018-2.pdf


Twitter brand guideline
https://about.twitter.com/ja/company/brand-resources.html
https://about.twitter.com/content/dam/about-twitter/company/brand-resources/en_us/Twitter_Brand_Guidelines_V2_0.pdf


dropbox brand guideline
https://www.dropbox.com/ja/branding
https://www.dropbox.com/sh/td1pp49o3wi7a3r/AABiiQdQA8jcn9A0aTtvAZvpa?dl=0


Pinterest
https://business.pinterest.com/ja/pinterest-brand-guidelines
https://s.pinimg.com/sub/business/guides/pinterest-brand-guidelines-en-02.pdf


Adobe
https://www.adobe.com/jp/legal/permissions/icons-web-logos.html
https://issuu.com/logobr/docs/adobe_brand_guidelines


Google
https://design.google/library/evolving-google-identity/
https://design.google/library/expressing-brand-material/


Google Ad
https://designguidelines.withgoogle.com/ads-branding/assets/1McJDbBKmuQAv35pVV9vY3A5CQiRY5hRv/visual-guidelines-google-ads.pdf

Slack
https://slack.com/intl/ja-jp/brand-guidelines

Starbucks
https://static1.squarespace.com/static/5a7374e7a803bb4bca723971/t/5aac1c9170a6ad886ba5451c/1521228951348/Starbucks-WPS-Logo-Guidelines-5-20-16.pdf
https://news.starbucks.com/uploads/documents/Dress_Code_Look_Book_-_US_English.pdf

Apple
http://images.apple.com/legal/sales-support/certification/docs/logo_guidelines.pdf

UNIQLO
http://kashiwasato.com/project/6821


Cisco
http://tolleson.com/work/cisco/brand-evolution/


https://imjustcreative.com/the-cisco-brand-identity-book-and-guidelines/2011/09/28


コツというかポイントのようなもの

順不同で自分が拾ってきたものを貼っただけになってしまった上、CIとBIが混在しているが許していただきたい。また完全に私自身の趣味というか好きなコンセプトのものばかりになっているので、例えばInstagramに興味があるという人は、まずは自分でCIやVIをさがすところから初めてみて欲しい。

経験から、3つぐらいトレスとしていくと、

なぜこのロゴになったのか
どういうコンセプトでデザインが成り立っているのか
ブランドイメージを伝えるためのフォントや文字の組み方
色やグラデーションの混ぜ方
写真の置き方
ブランドの方向性 などなど…

こういったものが浮き彫りになってくるだけでなく、自分がやるならこうするなぁという気持ちがどんどん湧いてくる。そうなったらしめたものだ、さらにトレスしまくろう。

だいたい海外の有名企業は莫大な資金を元に、大手デザインコンサルや著名なデザイナーに入ってもらってCI/VIを作っている。ということは、CIやVIをトレスしていけば行くほどそういうエッセンスを身につけることができると言うことに他ならない。ブランドによってはコンセプトの中身をわざわざ字で書いてくれているというありがたいところもある。過去のロゴから現在のロゴに至るまでの変遷をトレスしていくのも、ロゴが新しくなった時代背景や流行が知れたり、ベンチャーだった企業が上場するようなタイミングで新しいステージにふさわしいロゴに刷新したりタグラインを制定したり…ロゴに歴史ありというわけではないが、デザイナーにとってクライアントにあたる側の企業の思惑が見えたり学べたりする。

時間がある大学生なんかはいろんな視点でトレスを試すことをおすすめする。例えばロゴタイプのところだけなど、自分が知りたいところをピンポイントにピックアップして5つぐらいを1日でガッと勢いでトレスしてみると各ブランドの伝えたいことが比較できたりするだろう。同じように色ならメインカラーとサブカラーの配色とCMYKのブレンド比率やブランドカラーの名前の付け方なんかもブランドごとに個性があって面白いことが発見できる。

あと、トレスの利点としては、同じような線を引きまくったり整えたり丸かいたりベジェ曲線をいじり倒したり…という感じで、トレスに使うソフトの操作方法も同時に学べる。サービスアイコンを大量に作りはじめたらわかるが、どうやったらイラレで簡単に長方形ツールとパスファインダを駆使してステップ数を減らした作り方ができるかとかを考えるのが楽しくなってきたらこっちのものだ。

トレスするソフトは正直IllustratorだろうがPhotoshopだろうがSketchだろうがFigmaやInVisionでもなんでもいい。ツールは所詮道具である。自分が使いやすいと思えるものを選ぶのがよいが、一度トレスしたBIを別のツールでやってみると制作のアプローチが違ったりするので、ソフトの習得にも役に立つかも知れない。

最後に

私自身、完全に独学でデザインをはじめ、はっきり言ってあまり近道をしてきたタイプではないこともあるので、本当に泥臭いやり方のエントリになってしまったなという点は少し後悔している。(あとなんかやたら自分語りみたいになったとことかも)

とはいえ、学び方は工夫次第で無限にあるが、このエントリがCIやVI/BI、ロゴやブランディングに携わりたい、または携わっているデザイナーの助けになれば嬉しいと思う。

あと、恥ずかしながら私の過去のポートフォリオもさらしておく。正直、今見るとスピード重視で作った感ありありで、ものすごくアラがあって恥ずかしいものがあるが、ありがたいことに私が作ったCIを元に制作されたプロダクトがグッドデザイン賞を受賞したという話もありデザイナー冥利に尽きる。

また、クライアント側には新しいステージになる時にリブランディングするときには違うアプローチもあるからまたやらせてくれ!と伝えてある。もしかしたらスピード感を保ちつつ短期間でリリースできたのには、制作よりもヒアリングに十分な時間をかけたことと、クライアントと私のお互いに十全なリスペクトがあったからかもと今になって思う。ここらへんの話は長くなるので、また違うエントリで書ければと考えている。

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