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ギリシャ神話を指にからめて。不滅の愛を彫り込んだ蛇のリング

調和の女神・ハルモニアと、テーバイの建国者・カドモス。時代を超え語り継がれる神話時代の夫婦愛を、指輪という形でお手もとに。

みなさま、こんにちは! 歴史と読書が好きなミュージアム部プランナー・ささのはです。
読者のみなさまは、ギリシャ神話(ギリシア神話)ってお好きですか?

ギリシャ神話とは、ギリシャ周辺地域で古代より信仰されてきた神々の物語のことです。まるで人間のように感情豊か&個性にあふれる神々が登場するのが特徴のこちらの物語、はじまりは非常に古く、紀元前15 世紀ごろから発生したと伝わっているのだとか!
神々と人間が織りなす壮大な物語は、数千年の時を経てもなお世界中の人々に愛されています。西洋美術においても、神話や古代史を主題とする「歴史画」は最高位の作品として数多く描かれてきました。
そのため、ミュージアムでギリシャ神話を主題にした作品に親しんだ、という方も多いかもしれません。

こちらは愛と美の女神・アフロディーテ(ローマ神話での名前はウェヌス⦅ヴィーナス⦆)の誕生シーンを描いた絵画
出典:メトロポリタン美術館 公式Webサイト The Collection「The Birth of Venus 」より

私もアートや歴史を愛するミュージアム部の一員として、いつかギリシャ神話をテーマに取り上げてみたい!
そう思い、ちょこちょこと神話について調べる日々を送っていたところ……私はついに「ギリシャ神話のとある女神と、その夫である人間にまつわる美しい伝説」にたどり着きました。

それが、調和の女神・ハルモニアと、数々の神話の舞台にもなった都・テーバイを建国した人間・カドモスの夫婦にまつわる物語です。

~ハルモニアとカドモスの伝説~

出典:アムステルダム国立美術館 公式Webサイト「Harmonia en Cadmus」より

ハルモニアの夫・カドモスには、テーバイ建国の際、殺された部下の敵討かたきうちとして軍神・アレスの使いの大蛇を討った過去がありました。その償いのために8年かけてアレスに奉公したカドモスでしたが、女神・ハルモニアと結ばれ生まれた子孫たちには、神々の呪いのせいなのか、多くの災いが降りかかりました。
これ以上子供たち、そして国を呪いに巻き込むまいと、夫婦はテーバイを離れて新天地を目指し、イリュリアという国にたどり着きます。そしてカドモスはその地で、身の上話のさなか「神が蛇一匹の命をこれほどまでに惜しむのであれば、自分も蛇になりたい」となげき、言い終わるや否や、本当に蛇へと姿を変えてしまいました。そして蛇になった夫を見たハルモニアは「私も彼と運命を共にしたい」と祈り、その姿を変え、蛇となった二人は近隣の森で暮らしたそうです。
今も神話が残る地方の森には、人から逃げることなく、また人を害することもない心優しい蛇が生息しているのだとか……。

※諸説あります
※テーバイ建国伝説、ハルモニア・カドモスについて、もう少し詳しい紹介を、記事の最後に用意しています

自分の大切な人が、突然蛇に変わってしまう。同じ立場に立たされたら、あまりの出来事に恐れおののき、その人を見捨てて逃げだしてしまってもおかしくはないほどに過酷な状況です。

それなのに、まさかギリシャ神話に、文字通り人間と運命を共にした女神がいたなんて……まさしく、愛!!!

個人的には、全能神・ゼウスが人口削減のために引き起こしたとも伝わる「トロイア戦争」の印象が強かったので、ギリシャの神さま=人間をそこまで大事にしないイメージでした……!
出典:メトロポリタン美術館 公式Webサイト The Collection「The Judgment of Paris 」より

ちなみに、自分の尾を噛んで輪っか状になった蛇 “ウロボロス” などをはじめ、蛇はヨーロッパにおいて、古来より「永遠」「不老不死」などを象徴するモチーフなのだそう。
そして何より、「不滅の愛」の象徴として、大切な人に贈るアクセサリーのデザインにも用いられることもあるようで、イギリスのヴィクトリア女王が夫・アルバート公から贈られた婚約指輪も、エメラルドやルビーで飾られた蛇デザインのものでした。

彼女が蛇モチーフのリングを身に着けたことがきっかけで、蛇デザインのアクセサリーが流行した時期があったのだとか……(※諸説あります)

つまり、元々「不滅の愛」を意味する蛇のアクセサリーに、ハルモニアとカドモスの夫婦愛エピソードをのせることが出来たら、もうそれは最強なのでは!?
今こそ、ギリシャ神話をテーマに素敵な商品を生み出す時!!

という訳で、ハルモニア&カドモス夫婦の美しい愛情を感じる、蛇モチーフのリングを作ってみました!

ミュージアム部
ギリシャ神話の伝説を身にまとう ハルモニアとカドモスの蛇のリング

1個 ¥4,500(+10% ¥4,950)

リングの正面では、ハルモニアとカドモスをイメージした蛇が二匹、そっと顔を寄せ合っています。

うろこの表現を槌目つちめ風にしたことで、やわらかくナチュラルな印象に。普段着のアクセントとしても取り入れやすいアクセサリーに仕上がりました。

日常のふとした瞬間に、遠い異国の神さまと人間の愛の物語に思い巡らせて……

ハルモニアとカドモスを囲むモチーフは、蛇になった二人が暮らした森をイメージしています。森部分の花と葉のモチーフには、カドモスにテーバイを建国するきっかけとなる神託を与えた、芸術や医術の神・アポロンにゆかり深い「月桂樹げっけいじゅ(ダフネ)」を選んでみました。

リングは13号に対応していますが、後ろがオープンタイプになっているのでサイズの微調整が可能です◎

まるで古代のレリーフのような、精巧せいこうな造りの指輪。
森の木々に隠れ寄り添う蛇のモチーフは、日本の職人さんの手でていねいに彫り上げられたものです。

神話時代の夫婦愛が刻み込まれた指輪は、ずっと眺めていたくなる美しさ。
愛用するほどに味のある表情を見せてくれる真ちゅう製のリングを、ぜひ、お手もとにお迎えください。

ミュージアム部
ギリシャ神話の伝説を身にまとう ハルモニアとカドモスの蛇のリング
1個 ¥4,500(+10% ¥4,950)


〈ハルモニアとカドモスにまつわる伝説について、もっと詳しく知りたい方へ〉

~テーバイ建国の伝説~

すべてのきっかけとなった、ゼウスによる「エウロペ誘拐事件」を題材にした絵画
出典:J・ポール・ゲティ美術館 公式Webサイト「The Abduction of Europa」より

カドモスには、エウロペという美しい妹( “ヨーロッパ” の語源になったとされる女性)がいた。その美貌びぼうから、彼女は白い牡牛に姿を変えた全能神・ゼウスに連れ去られてしまい、カドモスは父親の命令で妹を探す旅に出る。しかしその途中で、カドモスは芸術や医術の神・アポロンのお告げによって「エウロペを探すのをあきらめて、通りがかった牝牛の後をついていき、たどり着いた土地に新たな国を作る」ことになった。
都を築く場所を定めようと、神託通りに牝牛を追ったカドモス。たどり着いた先で、全能神・ゼウス(あるいは戦いと知恵の女神・アテナ)に捧げる生贄いけにえの儀式を執り行うべく、彼は家来たちに水をくみに行かせる。しかし泉には大蛇(蛇は軍神・アレスの使いもしくは息子で、竜であったとも言われる)がおり、彼らは殺されてしまった。
事態を把握したカドモスは怒り、部下のかたきとして大蛇を討ち取ったのち、女神・アテナの言葉に従って大蛇の牙を地面にまく。すると地面から戦士たちが生まれて、ふとしたきっかけで戦いを始めてしまう。そして最後には五人の戦士たち(スパルトイ⦅まかれた者という意味⦆)が生き残ったので、カドモスは彼らと協力してテーバイを建国した。

※諸説あります

~ハルモニアとカドモス~

〈ハルモニアについて〉

蛇に変わりゆくカドモスの手をとるハルモニア
出典:アムステルダム国立美術館 公式Webサイト「Harmonia en Cadmus」より

ハルモニアは、美の女神・アフロディーテと、軍神・アレス(彼女の浮気相手と伝わる)の間に生まれた、調和を司る女神。彼女の名前はそのまま、英単語“ Harmony (ハーモニー)” の語源になったとされる。
カドモスとの結婚式で神々から贈られたプレゼントの一部(首飾りと婚礼衣装)には、アフロディーテの本来の夫である火と鍛冶かじの神・ヘパイストスをはじめとする神々の呪いがこめられていたという。
これらの呪いの贈りものは、カドモスとハルモニアを始祖とするテーバイ王家に降りかかった、数々の災いのきっかけとなったとも言われている。

※諸説あります

〈カドモスについて〉

大蛇に殺された部下の仇を討つカドモス
出典:メトロポリタン美術館 公式Webサイト The Collection「Cadmus Killing the Serpent」より

カドモスは、フェニキアの王子として誕生した。出身国で発明されたアルファベットを、はじめてギリシャ(あるいはテーバイ)にもたらした人物とも言われている。
軍神・アレスに奉公した後、カドモスは全能神・ゼウスのはからいで女神ハルモニアを妻に迎える。しかし幸せな時間は長続きせず、彼らの子孫の多くが、神々の呪いを受けて無惨な最期を迎えることとなった。
特に有名な子孫に、オイディプス(古代ギリシャ三大悲劇詩人の一人であるソポクレスが執筆した戯曲「オイディプス王」のもととなった)がいる。

※諸説あります

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