肉眼では観られないアートの世界へ 美術鑑賞用単眼鏡はじめました。#ミュージアムへ行こう
美術館で活躍する“片目で見る望遠鏡=単眼鏡”はお使いですか? 使うと鑑賞が楽しくなる! 単眼鏡の初心者さんに向けておすすめを考えました。
みなさまこんにちは、フェリシモミュージアム部のmitu.です。美術館や博物館へ行くと、単眼鏡で作品をご覧の方、いらっしゃいますよね。私、繊細なタッチの絵画や、超絶技巧の工芸品鑑賞中に、隣の方がご使用になっていたりすると、“いいな~今の私より見えるんだろうな~”なんて、気になっていました。
ミュージアムショップで見かけることもあるのですが、決して安いとはいえない金額に、毎度躊躇し、結局、それ以外のグッズを買い求めてしまっていました。しかし!今回、ミュージアム好きとしてレベルアップするためには必須!と考え、真剣に向き合って「はじめての美術観賞用単眼鏡」を用意しました。気になるけれど、どれを選んだらいいのかわからない……そんな単眼鏡初心者の方は、私たちと一緒に美術鑑賞用の単眼鏡をはじめてみませんか?
美術鑑賞用単眼鏡を選ぶポイントとは?
単眼鏡といっても、世の中には様々な価格とスペックのものが販売されています。スポーツ観戦や観劇、バードウォッチングなどで使われることも……果たして兼用できるのでしょうか? 美術鑑賞用としておさえるべきポイントをまとめてみました!
1.最短焦点距離
最短焦点距離とは、最も近づいてピントが合う対象物との距離のこと。スポーツ観戦や観劇など、遠くのものを見る場合は気にする必要はありませんが、作品の前に立ったり、ショーケースをのぞき込んだり……距離の近い美術鑑賞の場合には、最短焦点距離が長くては使えません。
焦点を合わせるために距離が必要となっては、せっかく単眼鏡をのぞいても、作品から遠い場所でしかピントが合わないのです!(なんてこった! )
「あやしい絵展」展示ケースにくぎ付けの私。
自分の鑑賞シーンを思い出してみると、ケースの中の作品を観るときなど、最短焦点距離は30cm以下であってほしいところです。みなさまもご自身の鑑賞シーンを思い出して、作品とのおおよその距離を測ってみましょう。
2.倍率
最短焦点距離は近いに越したことないのですが、倍率についてはどうでしょう? できるだけ拡大したい!ついつい、そう思ってしまいそうになりますが、そこは一旦落ち落ち着いて。高すぎる倍率は手振れしやすく、扱いにくいのです。調べたところ、4倍もしくは6倍が美術鑑賞に適しているとのことですが、この2つの中でもやはり扱いやすいのは4倍。
狩野信孝《北野社頭遊楽図屏風》個人蔵
人ごみの後ろからの鑑賞など、少し作品から離れた場所からの場合は、6倍の方がいいようですが、そもそも人ごみごしは避けたい……。また、初心者のうちこそどんどん使って慣れていきたいので、扱いやすさを優先した4倍を選びたいと思います。
3.明るさ
「倍率」と「レンズの口径」で決まる「明るさ(=ひとみ径(レンズ口径÷倍率)の2乗)」。同じレンズ口径の場合、倍率が上がるほどに視界は暗く、倍率が低いほどより明るく鮮明に見えます。
明るい屋外で使用する場合、明るさは問題になりませんが、作品保護のため館内の明かりを落としていることもある美術館や博物館では、明るさ9以上のレンズが推奨されています。
4.サイズと重さ
館への行き帰りカバンの中ではもちろん、鑑賞中の持ち歩きやすさも重要。サッと取り出してパッと見れる、使わない時も邪魔にならない。そんなサイズと重さでないと困ります。
お洋服のポケットにも入る、手のひらサイズが理想的♪
最後に価格!
そして最後に忘れちゃならない価格。もちろん、高額になれば性能の良いものがたくさんあります。しかし、初心者さんが持て余してしまうような性能に、お金をかけてしまうのはもったいない! 一方で、価格が安いからといって、美術鑑賞にたえられないような、性能ならば意味がない……。
ここまでおさえてきた性能のポイントと価格のバランスに注意しながら、単眼鏡初心者さんにおすすめの、はじめての美術鑑賞用単眼鏡を探しました!
Selected by フェリシモミュージアム部
そして、フェリシモミュージアム部がご提案するのがこちら「BESPIN ARTS MONOCULAR 4x12mm」。
☑ 最短焦点距離16cm(ショーケースかぶりつきでもOK!)
☑ 倍率4倍(手振れしにくく扱いやすい!)
☑ 明るさ9(薄暗い館内でも安心!)
☑ 高さ3cm、幅3cm、奥行き6cm、重さ67g(手のひらサイズ!)
さらに使いやすい、追加スペックもご紹介。
☑高級輸入ガラスにブルーレンズコーティング
「ブルーレンズコーティング」をほどこしているので、ケラレ(画面の一部もしくは四隅が黒っぽくなってしまうこと)や歪みを抑え、明るく、はっきり、ブレずに鑑賞を楽しめます。
☑ アイレリーフ15mmというハイアポイント設計
「アイレリーフ」とは、のぞきこんだときの「肉眼」の位置と、目に近い「接眼レンズ」までの距離を表した数値。この距離が長いほど、のぞきやすく、また長時間使用しても疲れにくいとされています。アイレリーフが15mm以上のモデルのことを「ハイアポイント」と呼び、眼鏡を掛けたままでも使いやすくなります。ミュージアム部では、部長を代表とし、眼鏡組もいるので、こちらも重要なスペックでした。
☑充実のセット内容
■セット内容 / 単眼鏡1個、収納ケース1個、レンズカバー2個、ストラップ1本、レンズクロス1枚、取り扱い説明書・保証書(2年)
収納ケースやストラップなど、届いたその日から美術館・博物館へ持っていける充実のセット内容。
収納ケースは、フェリシモミュージアム部のロゴを、高級感のあるゴールドでプリントしました。
プレゼントにもぴったりな、スペシャルボックスでお届けします。
単眼鏡があるとアートの世界はもっと楽しい!
工芸展や刀剣展でお持ちの方をよく見かける単眼鏡ですが、実は、幅広いアートのジャンルで楽しめます。
浮世絵の摺技法、日本画の裏金、西洋画の筆のタッチ、刀剣の刃文……などなど!
新しい作品と向き合うのも素敵ですが、これまで観たことのある作品と再会した際にもおすすめです。「え?!こんなところに、こんなものが描かれていた?」「この場所はこんな筆のタッチだった?」「ここに、こんな細工が!!」など、新たな発見があること間違いなし。
今回、一番にお伝えしたいことがあります。それは、単眼鏡を通して意識的に「見る」ことで、気づく「発見の喜び」です! 物理的に拡大して見やすくなるだけではありません。ひとつの作品と向き合い、じっくり細部まで味わいつくす……そこに生まれる「発見の喜び」をお届けしたいと思っています。
今回、単眼鏡と向き合うことで、私たちは学びました。人間の眼って意識して使わないと、意外と見えていない、見逃しているものがたくさんあります。単眼鏡を使うことで、肉眼だけでは観られなかった、新たなアートの世界を一緒に楽しみませんか?
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特別コラム:アートナビゲーターに聞く!
単眼鏡を通して見えてくる発見
~鑑賞におすすめ西洋絵画作品~
美術検定1級合格者・アートナビゲーターの資格をもつミュージアム部なりちゃんに、「単眼鏡を通して見えてくる発見」というテーマで鑑賞のおもしろさを聞いてみました。比較的親しまれている方の多い西洋絵画をベースにご紹介します。
1.【画家の筆運びを追う】
速筆で有名だったゴッホ、モネ、ベラスケス
印象派の巨匠・モネは速筆で知られます。1870年代にチューブ入り絵の具が発明され、アトリエから飛び出し、光の中で戸外制作をはじめた画家たち。「まさに今・ここの光を、キャンバスに描き留める!」という印象派の熱いエッセンスを、単眼鏡を通してすばやい筆致から感じ取れるのではないでしょうか。
マチエール(絵肌)が特徴的な画家と言えば、ゴッホ。ゴッホは約10年の画業で、2,000点以上の作品と、制作状況も仔細な800通以上の手紙を残していて、毎日すさまじいスピードで描き続けていたことがわかります。
その激しい性格を反映したかのように、平たい絵筆で重ねられた油絵の具。お金もないのに惜しみなく盛り上げられた凸凹の絵肌からは、画家のひたむきさが感じられるようです。でもしばらく観察すれば、空に輝く光のストロークと、水面に伸びる光のストロークの描き分けが見えてきて……。筆致から、ゴッホの情熱と冷静、両方を感じることができるのではないでしょうか。
宮廷画家・ベラスケスも特筆すべき筆致の画家。離れてみれば、髪の毛1本1本まで描かれているかのような迫真の写実。近づいてみれば、絵の具の塊にも見えるほどの大胆ですばやい筆致。柄の長い筆で、距離を取って見え方を確認しながら制作していたとか。天才の筆運びの躍動感を感じられるのではないでしょうか。
モネ、ゴッホ、ベラスケス。同じ速筆とはいえ、その特性は三者三様。拡大して見ることで、作品の観察だけでなく画家の特性がより理解できます。
【2.地域の特徴を知る】
超絶技巧の描きこみ! 初期フランドル・ネーデルラント
じっくり観察したい作品と言えば、初期フランドル派の絵画。15世紀前半頃まではすぐに乾いてしまうテンペラ画が主流でしたが、初期フランドル派が油彩画の技術を確立したことで、詳細な描写やみごとな質感表現ができるようになりました。
美しい絵肌や、木や布や金属の質感、夫妻の肌質の描き分け、アクセサリーの透明感といった細密描写もさることながら、中央奥の凸面鏡に描きこまれた謎をぜひ単眼鏡で見てみたいものです。
描く対象それぞれに意味を込めた「寓意表現」も北方の特徴。それを突き詰めたのが、ネーデルラントの画家・ボスの三連祭壇画《快楽の園》。パネルに描きこまれた、シュールでグロテスクでユニークな寓意は今でも謎に包まれています。単眼鏡があれば、その奇怪な世界にますます惹きこまれてしまいそう。
【3.技法を知る】
視覚の不思議 点描法
新印象派の「点描法」も、単眼鏡で見ればそのすごさを体感することができます。絵の具は混ぜれば混ぜるほど濁ってしまう……色と光を最大限に輝かせるためには?そこで、科学的理論から生まれたのが、パレット上ではなく、鑑賞者の視覚上で混色させてみせる点描でした。
スーラが2年かけて描いた究極の点描作品《グランド・ジャット島の日曜日の午後》。拡大してみれば、肌色に見えたのは、ピンクとオレンジとブルーの点のあつまり。横幅3メートルもの気の遠くなるような大画面の、それぞれの点の色の鮮やかさに驚かされます。
単眼鏡があれば、筆致、描き込み、技法など、さらに作品の魅力に迫ることができますよ。ぜひ単眼鏡を通して、さらなるアートの世界を体感してみてください。
※各作品の拡大画像は「はじめての美術鑑賞用単眼鏡」での実際の画像ではなく、あくまでイメージです。
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