「不動産豆知識22 市街化調整区域」FM笹谷部長 Vol.158
FMグループ社内報Vol.158【投稿者:笹谷部長】
皆さんが日頃、取り扱う物件の中で、金額が非常に安くアレッ?と思う物件に出会う事が時々あると思います。
再建築不可だったり、借地権だったり、その理由は色々ありますが、今日は市街化調整区域のお話をしてみようと思います。
調整区域は、金額が安い割に非常に法律関係がややこしく、苦手意識をお持ちの方も多いでしょうから、なるべく分かり易く纏めてみます(それでも結構ややこしいですが)。
お客さまに紹介する上での最大のポイントは、再建築可能であるかと住宅ローンが借りられどうかですよね。
調整区域での建築は基本的に次の手続きが必要です。
・都市計画法第29条の開発許可をとる(これから土地の区画形質の変更を伴う建築行為を行う時)
・都市計画法第43条の建築許可をとる(既に土地利用が図られていた土地に対して建築を認める時)
許可を取ると言っても、調整区域はそもそも「建築物の建築が出来ない」地域なのですから、例えば一般住宅やマンションを普通に申請しても、許可されません。
許可されるのは、ゴルフ場やガソリンスタンド、農林漁業用の建築物など特殊なものだけです。
ここからは、普段我々が取り扱う一般住宅やマンションに話を絞ります。
では、どうするかというと「既存宅地」や「50戸連たん」という制度が出てきます。
これは、線引き前から宅地だった土地や、昔から調整区域に隣接して沢山の住宅が建っていた土地においては、比較的容易に再建築を認めるという制度です。
ところが、実はこの制度は今は無くなってしまいました。
昔は都市計画法の規定の中に「既存宅地」や「50戸連たん」の規定があったのですが(旧都市計画法43条1項6号)、残念な事に今は無くなってしまい、その代わり自治体が定める条例により救済する形になったのです。
調整区域内での開発行為は原則的には許可されませんが、例外的に許可されるものが都市計画法第34条に列挙されていて、その中に上記の「既存宅地」や「50戸連たん」が組み込まれています。
法34条は立地基準と呼ばれ、市街化調整区域における立地の適正性を判断する基準のことをいいます。
この立地基準が法29条の開発許可や、法43条の建築許可を受けるときの判断基準になっている訳です。これから紹介や、委任受けしようという物件が調整区域だった場合、上記の内容を頭の片隅に入れつつ役所に確認をすれば、スムーズに建つ・建たないの判断が出来るはずです。
最後に注意点ですが、調整区域内の建築物の中には属人性が付いたものがあり、これが付いた物件は売り物になりませんので、注意が必要です。
属人性とは特定の人のみが使用したり、居住したりすることができる建築物の属性の事で、例えば農家住宅・分家住宅などがあります。
一般のお客さまが購入しても居住も再建築も出来ませんので、間違って仲介してしまうと大変な事になってしまいますのでご注意を。
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