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「不動産豆知識30 隣地使用権に関する改正」笹谷部長 Vol.209

FMグループ社内報Vol.209【投稿者:笹谷部長】

今回は、民法の相隣関係規定について紹介をしようと思います。この規定は、令和3年4月28日に公布され令和5年4月1日施行されました。

従来から民法209条1項では、土地の所有者が「境界またはその付近において障壁または建物を築造し、または修繕するため」必要な範囲内で、隣地を使用することが認められていましたが、これだと抽象的過ぎて分かりづらいですよね。
これをもっとハッキリと分かり易くする為、改正民法209条1項では、以下の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができるものと定められました。

①境界またはその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去または修繕
②境界標の調査または境界に関する測量
③竹木の枝の切取り(改正民法233条3項)

以前の民法では、「隣地の使用を請求することができる」と定められていましたが、改正民法では、「隣地を使用することができる」となり「請求」という文言が削除されました。
隣地使用権は、土地所有者が隣地所有者等の承諾を得なくても隣地を使用することができる権利であるという考え方が採用されたのです。

その理由は、隣地所有者の承諾が必要だと、所有者不明土地の場合、所有者を探して承諾を得たりするのに相当な時間がかかり、土地の利用が妨げられてしまうからです。
つまり簡単に言うと「上記①~③の目的であれば、隣地の敷地内に立ち入る事が民法上認められた」という事になります。

ここで注意したいのは、立ち入りが許されるのは隣地の”土地所有者”です。物件の現地調査などの時に皆さんが勝手に侵入すると、それは住居不法侵入になってしまうのでご注意を。

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