「不動産豆知識17 筆界特定制度」FM笹谷部長 Vol.124
FMグループ社内報Vol.124【投稿者:笹谷部長】
今日は境界紛争がらみのお話です。
マンションの場合はあまり問題になりませんが、戸建住宅の場合、土地の境界は重大な関心事ですよね。
まず、前提として一口に境界と言っても実は2種類あります。「筆界」と「所有権界」です。
筆界とは、法務局に備え付けられている公図に引かれた線です。つまり登記されてい る ある筆とその隣の筆を分ける線です。
これは公法上の境界になります。 もう一つの所有権界とは、ある人の土地に対する所有権が及ぶ範囲を示す線です。こちら は私法上の境界です。
基本的にはこれら2つの境界は一致しています。
ところが特殊な事情により筆界と所有権界に違いが生じる場合があります。例えば土地の一部を売買や贈与、時効取得などにより取得したが、分筆の登記をせず、そのまま放置し年月が経ってしまったような場合です。
このような時に、AさんとBさんの境界の認識に齟齬が生じ、境界紛争へと発展してしまいます。そして、このような紛争を解決する為の方法の一つが「筆界特定制度」です。
この制度は、土地所有者などの申請に基づいて 筆界特定登記官が現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。比較的短い期間と安価な費用負担で利用できます(10ヵ月程 度)。
裁判をした場合、判決までに2年程度かかり、判決に不服がある場合には高等裁判所に控訴することも可能な為、より長い期間を要します。
これらは筆界ですが、所有権界の紛争になると裁判で判決まで長いもので10年掛かる事もあるようです。
このような境界紛争に巻き込まれないようにする為、中古戸建住宅を委任受けする時には、必ず境界標の有無を現地で確認し、無ければ測量するように売主にアドバイスする事も重要です。
紛争は売買をしたり、建築をしたりするタイミングで顕在化する事が多いので、今まで紛争は無かったら・・・などと安易に考えず、しっかりと確認するようにしましょう。
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