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「不動産豆知識21 持分の無い私道」FM笹谷部長 Vol.152

FMグループ社内報Vol.152【投稿者:笹谷部長】

今回は、持分の無い私道のお話です。

まずは私道の種類ですが、建築基準法の道路種別で分けると、42条1項5号と42条2項道路が代表的です。ごく稀に、42条1項3号もあります。

公道であれば国や都道府県、市区町村が所有・管理しているので誰でも通行利用する事が出来ますが、私道の場合はこれが制限されます。
持分を持っていれば、通行利用も出来ますし、給排水管・ガス管などの工事を施工する際にも、他の共有者の承諾を得られれば可能です。

ところが、我々が普段取り扱う物件の中には、こうした私道持分の無い物件が出てきます。こういう物件に当たった場合の対処の仕方をお話します。

まずは私道持分の調べ方ですが、公図を見て対象物件の全面の道路の筆に地番があるかを調べます。地番が振ってあれば、その謄本を取得すれば、所有者全員の情報が分かります。
その所有者の中に、対象物件の所有者名があれば持分あり、無ければ持分無しという事です。

逆に地番が振ってなければ(無地番)、その土地は官地です。つまり公道という事になります。
持分の無い私道は、物件の担保価値が低くなります。銀行によっては融資しない場合もあります。そこで必要になるのが、通行掘削承諾書です。
これは、私道所有者が非所有者に「通行利用しても掘っても良いですよ」と承諾を与える書面です。これが有れば、この物件を購入しても当面は困ることは無いでしょうし、銀行も融資してくれるでしょう。

もし、委任で預かる物件がこれだった場合には、私道所有者全員から承諾をとって回る必要があります。あるいは、土地家屋調査士に依頼する事も可能です。この場合は有料になるので、売主さんに費用負担の話を先にしなければなりません。
買いのお客さんを付けた物件がこれだった場合には、真っ先に通行掘削の承諾があるかどうかを元付業者に聞きましょう。現に無く取るつもりも無いという回答で有れば、後々非常に困ることになるので、その物件は避けた方が良いかもしれません。

最後に、承諾書を見るときのポイントです。
第三者に譲渡する場合には、権利義務を承継するという内容が盛り込まれているかをよく確認してください。これが無いと承諾書の効力は一代限りとなってしまい、意味のないものになってしまうからです。

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