「不動産豆知識23 付帯設備の取扱い」FM笹谷部長 Vol.164
FMグループ社内報Vol.164【投稿者:笹谷部長】
今回は付帯設備はどこまで売買対象に含まれるのかというお話です。
特に中古戸建や中古マンションを売買する時にエアコン、照明器具、畳、襖、庭石などの建物の一部なのかどうかの判別が難しいものってありますよね。難しいゆえに、トラブルになり易い部分です。
普段我々が、売買契約を締結する際に、売買契約書に売買の目的物として記載するのは建物とその敷地だけであり、それ以外の物は売買の目的物としては記載しません。
そこで問題となるのが、土地付建物を売買した場合に、建物の居室内に存する建具、照明器具、敷地内の物置や石灯籠などが、土地や建物と一緒に売買されたのか否かということです。
実際のところ、売買契約締結後、売主は、売買契約書には売買対象として記載されていない上記の物などを持って行ってしまっても良いのかという疑問が残ります。
この問題について、民法に規定があります。
(主物及び従物)
第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。
2 従物は、主物の処分に従う。
このように、売買契約書には特に売買の対象物として記載されていない場合でも、従物は主物の処分に従うとの規定により、建物の売買に付随して、畳、障子や襖などの建具も買主が買い取ったことになりますので、原則として、売主はこれらを持っていく事はできません。
じゃあ、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、ソファーなんかはどうなの?という疑問が浮かびます。実は、上記の民法規定の従物には4つの要件があります。
[従物の4要件]
1.主物の常用に供せられるものであること(継続的に主物の効用を助けるもの)
2.特定の主物に附属すると認められる程度の場所的関係にあること
3.独立した物であること
4.主物と同一の所有者に属すること
この要件からすると、テレビや洗濯機、冷蔵庫、ソファーなどは当該建物だけではなく、転居先でも利用可能ですが、障子や襖などの建具や畳、備え付けのエアコン、造り付けの家具などは転居先では利用できません。
わかりやすくいうと、転居先で利用できないようなものは従物と考えてよいと思われます。
それでもまだ判断が微妙となるものとして、後付けのエアコンや照明器具などがあります。中古戸建等の売買契約の場合には、こうした付帯設備の扱いについて付帯設備表に明記することでトラブルを防ぐことが可能です。
契約の際には、実際に売却される物が何であるかを売主に確認し、後日にトラブルを生じないよう、付帯設備表をしっかりと記載し、売買契約書に添付して、売買の対象範囲に疑義を残さないようにすることが必要です。
ちなみに上記の主物・従物の考え方は契約不適合責任(瑕疵担保責任)にも適用されます。話が長くなるので、その辺のお話はまた次の機会にでも。
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