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生活保護受給者の家計簿2024②

すっかり遅くなってしまいましたが、家計にまつわるお話2回目です。
今回もわたしがどんなふうに家計を管理しているかを、できる範囲で書いていこうと思います。

①の記事はこちら。


柊さんが実践してる家計管理5つ

ざっくり箇条書きすると、わたしがやっている家計管理はこんな感じ。
1.自分が何にお金を使っているか把握する
2.予算を立てて、細かく分けて管理する
3.使わないお金を手の届かないところにしまう
4.小銭貯金をする
5.無理のないペースで続ける

今回は、
1.自分が何にお金を使っているか把握する
という点について、書いていこうと思います。

自分が何にお金を使っているかを把握する

家計管理のはじめの一歩は、自分が何にお金を使っているか知ることです。
コンビニでコーヒーを買い、お昼ご飯を食べ、PASMOをチャージし、帰りがけに卵とハムとキャベツを買って…
毎日の家計はこういうささやかな支出の連続です。
当たり前ですが、月間何十回と発生するお金の動きすべてを憶えておくことはできません。
忘れるに任せて過ごしてもいいですが、それでは月末になって、なぜかお金が足りない…大した買い物してないはずなのにお金がない…という事態になっても原因が分かりませんし、対処のしようもありません。
ということで、家計を管理するために、まずは「原因が分からない」という状況から脱出する必要があります。
「自分が何にお金を使っているかを知ろう!」というわけです。
そのために役立ってくるのが、家計簿です。

そもそも家計簿って何?なんのためにつけるの?

「家計簿って、なんのためにつけるの?」
わたしは25歳くらいまで、コレが本気で理解できませんでした。
給料日に入ってきたはずのお金がいつのまにかなくなっている。
足りないかも…とヒヤヒヤしていると、次の給料日になってまた給料が入ってくる。
そしてまたいつのまにかなくなり、足りなくなりそうでヒヤヒヤ…
いつもいつも、そのくり返しでした。

もちろん、わたし自身が何かに使っているのです。
しかし、その自覚がない。記憶もない。

ええ?
お金使ってるって言ったって、コーヒー代たった300円だよ?
バイトの昼ゴハンに700円くらいで…あ、帰りにスーパーで1,200円くらい買い物した。たしかに1,000円以上使ってたわ。

実際には2,200円使っていますが、その事実にパッと気づけません。
1,000円未満の散財は足し算する必要を感じてなかったのか、細かい金額の散財なんて足し算するまでもないと本気で思っていたのか…
とにかく、当時のわたしは、そういうぼんやりした感覚で生きていました。

そんな有様ですから、お金に困る事態はしょっちゅう発生していました。
次の給料までギリギリで持ちこたえるものの、お金という生活基盤が不安定であることのストレスはすさまじく、無知なままではその事態に向き合うこともできませんでした。
毎度毎度、なんとかしたほうがいいと思いはするので、ためしに表紙に「家計簿」と書かれたノートを買ってきて、その日使ったお金を書き出してみるのですが、1日分の支出を見ても、
「……で???」
となってしまい、3日ともたずに止めてしまうのでした。

家計簿は、まとまった期間を振り返ってみてはじめて意味がある

家計簿とは、文字通り家計の動きを記す帳簿です。
毎日記入し続けることで、その週、その月、その年に、どれくらいお金を使ったのかが可視化されます。
1日書いただけでは残念ながら意味はなく、少なくとも1か月続けて記入し、それを振り返ってみた時はじめて意味があるのです。

たとえば平日毎日500円のお弁当を買っているとしたら、
500円×22日=11,000円
月間で使うお弁当代は11,000円になります。

また、食費の月間支出が、

1月 20,000円
2月 20,000円
3月 21,000円
4月 22,000円
5月 22,000円
6月 23,000円
7月 25,000円
8月 28,000円

こんな感じに推移しているとします。
1月と8月には8,000円の差がありますが、7月と8月の差は3,000円です。
9月現在、7月の食費だったらかすかに憶えているひとはいるかもしれませんが、1月の食費を正確に記憶しているひとは少ないでしょう。そうなると、1月と8月の差に気づけません。
月々13万の生活保護で暮らしているわたしにとって月3,000円の差はやや大きいですし、月8,000円の増加はもっと大きな負担です。この差が見えないというのは、死活問題となります。

家計簿をつけておけば、1か月間に使ったお弁当代がすぐに確認できます。同じく家計簿をつけてさえいれば、1月から8月の食費推移に気づくことができますし、遡ってその原因を追究することもできます。
もしかしたら買い食いの頻度が上がっているのかもしれませんし、単純に物価が上がったことが原因かもしれません。
お金がない原因が分かれば、なにかしらの対策を考えることも、方針を立てることもできます。
家計簿をつけていないとどうしても、なんとなーくいつの間にかお金がなくなっている…という地点で立ち往生してしまいます。

『家計簿をつけるとお金が貯まる』は本当?

家計簿をつけるとお金が貯まるというのは、間違ってはいませんが、かなり安直で飛躍した発想ともいえます。
しかし、無理なく生活しながらお金を貯めるためにはまず家計を把握する必要があるので、家計簿をつけて定期的に家計を振り返るという習慣は貯金にとって有効であるといえるでしょう。

毎日のお金の動きと、まとまった期間に使ったお金の総額が分かるようになっているのが、家計簿です。
その月の支出合計が予算内に収まっているか?
予算内に収まっていないなら、原因はなにか?
それを振り返って無駄遣いに対する対策を立て、これからのお金の使い方を決める。これが、家計簿の役割です。

家計簿は、記入するとお金が貯まる魔法のノートではありません。
しかし、記入し続ければ自分のお財布事情を把握できるようになる、頼もしい便利ツールなのです。

おわりに

お金ってこの社会で暮らす以上なくてはならない重要なものですが、同時にできればあんまり突き詰めて考えたくないことのひとつでもあるように思います。そもそもの手取り額が少なくて、家計簿をつけた程度ではどうにもならないという場合もあります。
なにより、苦しい状況に立たされているひとほど、もう虫の息だけど…まだ大丈夫…自分なんかまだ大したことない…と頑張りすぎてしまう傾向にあるように感じます。
そういうひとにも、家計簿をつけて自分がどれだけ無理をしているのかを理解し「これはもうムリだな」と、福祉に相談する手がかりにしてほしいとも思うのです。

わたしは、家計簿で「自分が何にお金を使っているか」を把握したことで、生活におけるストレスがひとつ減りました。
お金がないような気がする…今月も足りない気がする…でもまだいけるかも…どれだけ足りないのかも分からない…という、目の前を薄い膜で覆われているような不安からは解放されました。
漫然と続くストレスから解放されたことで、心身の回復も比較的順調に進んでいるというわけです。

とはいえ、生活保護支給額が現在の物価や住宅家賃に見合っていない状況で、家計簿の話をするナンセンスさに、自分でも大いに葛藤しました。

まず、この10年で引き下げられた支給額をもとに戻してくれ!!
支給額の引き上げを実現しなければ、どれだけ受給者が頑張ったって焼け石に水でじゃないか!!
そう大声を上げたい気持ちになり、「家計簿とは~」などと語っている自分がひどくノンキに思えて、モヤモヤし通しでした。

でも、支給額引き上げを今すぐ実現するのが難しいことも事実です。
そして、家計簿の意味を理解できた時、はじめてメガネをかけて世界を見た時のように感じたことも事実です。
この「原因を知ることで目の前がすっきりクリアになって、安心して次の一歩に踏み出せるようになる」という点は、わたしにとってこれ以上ない僥倖でした。
ということで、お金の素人…それどころかほんの3年前に債務整理を終えたばかりのお金オンチが、生活保護費で暮らしている方法や考え方を共有したいと思い、今回も記事を書きました。

またしても長々と言い訳したわけですが、本編がどなたかのお役に立てていたら幸いです。
次回は2.予算を立てて、細かく分けて管理するについて書きます。
今度はもう少し早めにアップできるといいなあ。

では、また。


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