組織力を最大化させるEXについて
こんにちは、HeaRの半田です。
今回は入社後のEXについて。
たとえCXが良くても、入社後ギャプを感じてしまったり、EXが悪いと人々は離れてしまいます。定着率や組織力を高めるためにはEXが重要となります。
そこで、EXを向上させるために大事なことや必要な考え方をお伝えします。
まずは、EXの概念や必要性についてみていきましょう。
EXとは
EX(Employee Experience=従業員体験)とは、従業員が会社の中で働くことを通して得る全ての経験のことです。
これは、働くことで得られるスキルや経験のみならず、福利厚生や報酬制度などをはじめ、組織内のさまざまな要素から構成されています。
エモーショナルな部分も大いに関係してくるのが、特徴です。
現代は働き方も多様であったり、企業に長年所属しなくてもフリーランスや転職を重ね、一社に留まるケースが少なくなってきました。そのため、企業は従業員に自社で働く意義や価値をこれまで以上に提供しなければ、優秀な人材は集まらなくなってしまいました。
そんなことから、最近では、優秀な人材を獲得し、自社のファンを作るCX(Candidate Experience=候補者体験)と入社後のEXがセットで重要とされています。たとえCXが良くても、入社後ギャプを感じてしまったり、EXが悪いと人々は離れてしまいます。
しかし、EXを意識すると、同時にCXも向上するケースが多いので、今後はCXのみならずEXにも注力していく必要があります。
EXの向上が必要とされている背景
前述でもEXの向上が重要な理由はお伝えしましたが、より具体的にみていきましょう。
現代では以下の4つの現象が、EXの向上が求められる理由となっています。
①雇用の流動性
現代では、企業に所属しないで活躍するフリーランスも増えつつあると同時に、個人の人生プランの中に「転職」が既に選択肢として存在しています。もちろん、ポジティブな理由で転職するケースもありますが、中には「思っていたのと違った」「会社のことを好きになれない」「やりがいを感じられない」といった思いから転職/離職するケースもあるので、いかに従業員を自社に定着させ、優秀な人材を引き止めるかが大きな課題となっています。
「この会社で働きたい」と思ってもらえるEXを企業が作り出せるか否かで、結果は大きく変わってきます。
そういったなかで、EXに注目し働きやすい環境を整備することが、自社に従業員をとどめておくための必要条件であると認識され始めています。
②労働力の減少
労働力の減少に伴い、多くの企業が人手不足に悩んでいます。
少子高齢化が年々進んでいく中で、採用力を向上させることも重要ではあるものの、まずは、従業員1人ひとりのパフォーマンスを上げる必要があります。企業が、いかに従業員のパフォーマンスを高めるEXをに作り出せるかが今後の課題となります。
③エンゲージメントと連動しているEX
EXは従業員体験で、施策を通して、その場面ごとに感じる感情。そして、エンゲージメントはその後の継続的な心理状態のイメージになります。場面ごとにEXが高まれば、従業員満足度が高まる時間が長くなり、心理的に安定し、自社への帰属意識や貢献意識が高まります。よって、定着率や生産性向上につながります。「エンゲージメント」という語が広まって10年程が経過していますが、そもそもエンゲージメントを高めるには?の問いに向き合う必要性がより強まってきていることから、EXというワードが注目されているのです。
④2つのCXを向上させるためには欠かせないEX
なぜ、EXが大事なのか。それは、2つのCXにも関係してきます。
上記でも述べたように、EXが向上することで、CX(候補者体験)も向上するとお伝えしましたが、もうひとつのCXがあります。
それは、Customer Experience(顧客体験)のことです。顧客がその商品やサービスを通じてどのような体験をすることができるのかを示す概念です。
このように、各立ち位置にいる顧客、候補者、従業員は、自社のことを知ったりサービスを受けることで好きになったり、満足度が向上し、リピートが増えます。それと同じで従業員もやりがいやよろこびを感じることで、EXが向上し、結果的に顧客も増え事業成長に繋がるのです。
モノやサービスや飽和する今日、他社と自社の商品の差別化を図って収益を増大させるために、まず自社の働く環境を見直している企業も増えてきています。
よりよい商品やサービスを提供するためには、まずEXを見直す必要があるのです。
⑤情報のオープン化
インターネットの普及により、その企業で働くことについての情報や口コミを簡単に知ることができるようになりました。
EXにおいて先進的なアメリカでは、「Employee Expereince + 企業名」と検索するだけで、従業員が投稿したレビューを簡単に読むことができます。EXが悪いと、内部の雰囲気が悪くなり生産性が落ち業績が悪化するだけでなく、外にいる候補者にも伝わり、結果CXも悪くなり、採用力も組織力も低下するのです。
EX向上方法
①エンプロイージャーニー設計
EXを向上させるために、まず行いたいのが「Employee Journey(エンプロイージャーニー)」の設計です。
Employee Journeyとは、従業員が入社してから退職するまでに企業の中で経験するであろう一連の出来事を、時系列順に可視化したものです。
各フェーズにおいて、従業員の希望することをキャッチし、それに対する向上施策とともに、どのような心理状態になればよいのかを書き出します。そうすることで一貫性のあるEXを提供することができます。
②EX向上に欠かせない2つの施策
■感情施策
EXを向上させるといっても、感じ取る従業員は十人十色。各々様々なバッググラウンドや感情・特性をもっています。
感情の視点では、従業員同士や、上司/部下との関係性に着目します。
・お互いに助け合い、気持ちのよいコミュニケーションが取れるチーム
・尊敬でき、困った時、悩んでいる時は助けてくれる上司の存在
・不満や不安をオープンに伝えることができる経営層との関係性
といった、社内での人間関係から生じる感情を意識する必要があります。
感情は常に変化するため、1on1や日々の対話の中でキャッチアップしていくことが欠かせません。また、業務やフェーズによって従業員が感じるであろう困難と、本来従業員が持っている希望を洗い出すことによって、従業員の感情を予測することは可能です。予測した上で、従業員の声に寄り添うことでEXを改善させるための具体的な施策が明確となり、EXは向上するでしょう。
行なっているEXが独り歩きしないように、従業員の声には定期的に拾い上げていくことで、EXにおけるPDCAを回すことができます。
※どの従業員にも同じ施策で通用するわけではないので、時には個別化も必要となってきます。社内のメンバーを分類化し、それらをペルソナとして施策をいくつかにわけてみるのも良いでしょう。
■業務施策
企業は事業を伸ばすために、従業員が業務をしやすくするための施策を提供しなければなりません。
具体的には、
・従業員が抱える仕事の量や内容
・従業員のメンタルやスキルに応じた業務配分
・仕事を引き継ぐ際の手順やマニュアル
・意思決定するまでの流れの明確化
といった部分を考慮したEXを設計しましょう。
業務の視点を取り入れたEXを行うことで、従業員は円滑に業務を進めることができると同時に、業務に対する責任感や達成感を感じることができEXが向上し、結果的に業績や企業の組織力が向上します。
さいごに
候補者に選ばれるだけでなく、大事なことは従業員にも選ばれ続けることです。
表向きのCXだけでなく、従業員の立場になって考えることで、何を望んでどのような心理状態にすればEXが向上するのかを考えていきましょう。
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