空間デザインみたいなことがやりたくて就職活動した話
なんとなく「デザイン」みたいなことがやりたいなと思っている若い人に、もしかしたら何か参考になることがあるかもしれないと思ったので、自分の体験談として書きます。
ちょっと古い話なので、ツールなど、情報の古い部分は新しいものに置き換えて考えてください。
2002〜2003年頃に「空間デザイン」みたいなことがやりたくなって、勉強と就職活動をしました。
全く初めての世界なので、どんな職種があるとか分からず、いろいろな勘違いをしながら活動していました。
1. アバウトな動機
それまでは情報機器メーカーで設計・開発・企画などをしてきたのですが、そういう仕事がちょっと飽きてきたのと、管理職に回っていくような状況に抵抗感があったのですね。
機器メーカーで設計をしていると、デザイナーとの関わりがあるのです。それ以前には時計メーカーで量産設計をしていたのですが、その時はデザイナーがすごく華やかで自由に楽しそうに仕事していたので、ちょっと憧れてましたね。
そんなことで、一旦、会社を辞めてから転職活動をしようと、退職しました。その後、約1年間はみっちり、情報収集と学習、就職のための活動をしました。
2. 求人情報は全くあてにならなかった
当時は不景気の真っ只中で、そうでなくてもデザイン関係の仕事って経験とかスキルが必要だから、普通に考えて未経験の自分に仕事なんてあるはずはありません。
インテリアのスクールに通っていたのですが、修了してもとくに就職先が保証されているわけじゃないのです。みんな自分で探すだけです。
スクールに掲示板はあるけど、求人数も知れてるし、ほとんど引っかかりませんでした。
というわけで、自分の足で探そうと思いました。
3. 就職のためにしたことリスト
前職を辞めてから、まっさらな気持ちで取り組んだことを列挙します。
インテリアスクールに通う
a. バンタンキャリアスクール・インテリアコーディネーター講座/カラーコーディネート講座
b. ヒューマンアカデミー・インテリアコーディネーター講座通信教育を受ける
・カラーコーディネート3級・2級ワークショップに参加する
・ランドスケープデザイン講座(数日間)ツールを習得する
・Jw_cad / Vectorworks / Google SketchUp
・3Dインテリアデザイナー
・PowerSketch空間デザイン関連のものを見に行く
a. インテリア・建築イベント
・インテリア産業協会その他の開催イベント
・世界のデザイナー椅子に座れるイベント
・建築物の見学会
b. インテリア・ライフスタイルショップ
c. 近所の住宅・店舗を見てまわる
d. 安藤忠雄建築
e. 美術館資格を取得する
a. カラーコーディネーター2級 / 3級
b. インテリアコーディネーターWebサイト・ブログで発信している人と相互につながる
・インテリアコーディネーターやインテリア情報を発信している人人に会う・人と何かする
a. 近くの建築家の事務所を尋ねて話を聞く
b. リフォーム店に自分のプランを評価してもらいに行く(笑)
b. 近くのインテリアコーディネーターやデザイナーの活動に参加させてもらう団体に所属する
・インテリアコーディネーター協会
ざっと挙げましたが、インテリアコーディネーターというのは基本は「販売職・営業職」なので、そこに気づくのに少し、時間がかかりました。
自分のイメージだと、インテリアデザイナーやランドスケープデザイナーみたいなものですが、それらの対象の基本は「商業空間」です。(ちなみにインテリアプランナーも商業施設や集合住宅になります)
肌感覚的に、住宅の方が好きな感じだったので、なかなか素直に「インテリアデザイナー」としての勉強ができなかったというのはあります。
設計だったら「建築士」を目指せばいいわけですが、ガチの建築に向かうのも抵抗があったんですよね(笑)
でも、構造としてのインテリア空間を創るには建築士の免許が必要で、実際、構造物にタッチする人は少なくとも二級建築士は持っていました。
ちなみにスクールは二つも通ってしまいましたが、職業訓練みたいな意味合いで国から(?)補助金が出たので、自分が払う受講費用は半分ぐらいで済みました。
4. 就職先
ホームセンター:インテリアコーナー担当
建築設計事務所:設計補助・建材販売・Web・その他
就職先は本当に無かったですね。もうダメかなーって思っていました。
新聞のホームセンターのチラシでアルバイトを募集していたので、応募してインテリアコーナーやりたいと言ったら、資格も持っていたので希望通りに配属してもらえました。
その後、ネットで建築設計事務所の所員を募集していたので、自分が描いた3Dパースを持っていって見せたら所長が喜んでくれて、即採用になりました。正社員です。あの時の出会いの感動は忘れられません。
(あの頃は求人サイトより事務所のサイトで直接募集しているものも多かった)
所長がイタリア人(日本語堪能)で、日本人の事務所とは考え方もやり方も違うから、僕はたまたまその時にうまくマッチしたんでしょうね。一般的には、建築設計事務所に3Dパースを持っていって採用にはならないだろうと思います。
最終的には、方向性の違い(笑)で僕は辞めることにしたのですが、所長や事務所の方とは今でもお付き合いがあり、良好な関係です。
5. つながり
自分がインテリアや建築の業界から離れても、そこで出会った人とのつながりは、まだ生きています。
それは多分、ネットやSNSのおかげだと思います。
SNSが無かったら、すでに遠い世界になっていたと思いますが、おかげで今も何人かの人とはリアルでもお会いしたりして、楽しんでいます。
6. やりたいこと・なりたいものに近づくために
当時はインテリアが少しブームになっていて、スクールでもインテリア関連の資格対象講座が多かったです。今はWebやITが多いですが。
スクールは基本的な知識とか、業界の人に関わるという意味では、行けるものなら行った方がいいと思います。
スクールの場合、それぞれ目的があって、例えばバンタンは直接第一線のプロから学ぶような実力をつけるための講座でしたが、ヒューマンは資格取得のための講座で、第一線じゃないけど教え方の上手な先生がいました。
実力がものをいう世界への転職は、決まった攻め方というのは無いのだと思います。必要なスキルはある程度身につけるべきですが、もっと大事なのは業界内のつながりを作ることと、その中で自分が出来ることをアピールすることだと思いました。
仕事は人から来るので、どんな人と親しくしているか、ということがチャンスにつながることが多いと思います。実力の世界でも、やっぱり人間がやっている以上、知っている人や安心できる人に仕事を任せたいと思うでしょう。
その上で、真正面からこれが出来るということでなくても、その世界の人たちが苦手なことを自分ができたら、そこに参加させてもらえる可能性はあるのですね。自分の目と耳で感じて、足で動いて、つかんだチャンスは自分だけのものなのです。
そういうことを大事にして就職活動をすれば、自分がやりたいこと、なりたいものに、少しでも近づけると思います。
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