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焼き芋の会 ~ くいしんぼう ラボ 活動レポート(Vol.9)
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2022年12月15日(木)に行われた「くいしんぼう ラボ」の9回目の活動報告です。
今回は10月に収穫したサツマイモを、「焼き芋にして食べたい」との学生からの熱い要望を受け、学校のオーブンで熱々の焼き芋にして食べる会を催すことになりました。東京学芸大学から平田さんも来てくださいました。
サツマイモは、収穫時はデンプンが多く、あまり甘くありません。収穫後に室温10~15℃の温度で、乾燥を防ぐため新聞紙等に包んで3~4週間ほど寝かせておくと、サツマイモの中のデンプンが糖に変化するため甘みが増します。
このように収穫物を一定期間、一定の温度や湿度で保管して熟成させる処理のことを追熟といいます。
10月に収穫した芋は、学校の倉庫で新聞紙に包んで乾燥を避けてこの日のために大事に保管して追熟していました。今回は、その芋を焼き芋にしてみんなで食べることにしました。
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おいしい焼き芋の作り方
焼き芋の作り方はいろいろありますが、今回は、本校で製菓理論を担当する宮田先生から教わった「皮までおいしく食べられる焼き芋の調理法」で焼き上げました。
芋をきれいに洗って表面の泥を落とし、軽く濡らしたクッキングペーパーで芋の表面を覆い、さらに、アルミホイルで包んで、上火180℃、下火180℃の平窯のオーブンで焼くこと1時間半~4時間。まんべんなく柔らかくなるまで、途中、上下をひっくり返してじっくり丁寧に火を通します。芋を触ってみて、柔らかくなっていたら焼き上がりですが、大きさが様々でしたので、一つひとつ焼き具合を確認しながら取り出していきました。
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試食
芋が焼き上がると、香ばしい甘い香りが教室に充満しました。1.5リットルのペットボトルと同じくらいの大きさの一番大きい芋は、オーブンの予熱も使って4時間ほどかけてじっくり火を通しました。皆が見守る中、アルミホイルを開いて包丁でカットすると湯気とともに赤紫色の鮮やかな皮に包まれて小金色のキレイな断面が現われました。皆から「おおー」と歓声の声があがりました。冷めないうちに、早速試食開始です。まずは、そのままの味を確認しました。
紅あずまは、あっさりした甘さとホクホクした食感の、芋らしい味が一般的ですが、約6週間追熟させて、じっくり焼き上げた今回の芋は、ねっとりした甘い芋に変化していました。「紅あずまがこんなにおいしいなんて、今まで思っていたイメージが変わりました」との平田さんの声がありました。安納芋は、しっとりして濃厚な甘さの芋でした。
味を確認した後は、ホワイトボードにそれぞれの気が付いたことを書きながら意見を共有しました。
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試食2 ~味変(あじへん)して、芋を味わう~
素材の味を確認した後は、芋に思い思いにトッピングをして味の変化を楽しみました。今回は、藻塩、岩塩、西京みそ、ホイップバター、胡椒、ワサビ、からし、ごま油、シナモン等、芋に合わせてみたい食材を用意しました。
「からしバターとサツマイモが合うね」「西京みそと焼き芋の組み合わせもおいしいよ」など、新しい味の探求をしました。
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今日のまとめ
同じサツマイモでも、種類の違いだけでなく、大きさ、追熟の状態や焼き具合の違いで、一つひとつ焼き芋としての風味が異なるということは新たな発見でした。
そして、来年の焼き芋の会は、どんなサツマイモを植えようか、どんなふうに焼こうかと、早くも来年の芋づくりに思いを馳せていました。焼き芋を作るために、芋を植えるとところから考えることができる点も、この「くいしんぼうラボ」の魅力です。
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追伸
以前収穫した農園の大根の一部は、社員食堂で大根おろしにして提供されました。調理を担当した野中先生は、「大根をそのまま切って食べてみたところ、とても甘みがあっておいしい大根だったのでシンプルに大根おろしにしてサンマの塩焼きと組み合わせました。こんなにおいしい大根は、なかなか味わえないですね」とのことでした。フワフワでみずみずしい大根おろしでした。
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辻調理師専門学校 井原啓子