一次産業は「推して愛する」時代へ。Pocket Owners代表中林が語ります
日本各地の農家などの一口オーナーになれるPocket Owners。「推し生産物」を作ることで、日々の生活に小さなときめきと発見をもたらします。今回は、弊社代表の中林が、Pocket Ownersにかける思いや、サービスを運営する中で得た気づき、そしてこれからの展望について語りました。
👀 Pocket Ownerについて詳しく見る(公式サイト)
Pocket Ownersって?
日本各地の農家などの、一口オーナーになれるサービスです。オーナーに登録することで、農産物などの情報を受け取れるほか、時期に合わせて農産物などを受け取れることも。
Pocket Ownersのオーナーになることで、たとえばこんなふうに、暮らしの中に彩りが生まれます。
「”推し農家”のフルーツ、花がついたみたい♪ このフルーツの花がこんなに可愛いこと、知らなかったなあ」
「あの地方に台風?! 応援してる農家さん、大丈夫かな。コンビニでちょっとだけ募金してみよう」
「この農家さんの理念、すごく共感する。尊敬できる人を直接応援できて、交流までできるなんてすごく嬉しい」
「種まきから見守っていた野菜が送られてきた! ご飯を食べてこんなに美味しいって思ったこと、初めてかも」
「一緒にあの農場を応援してる◯◯さん、いつも投稿がポジティブで励まされる。今度の体験農場イベントで会ったら、話しかけてみようかな?」
日々消費する食品や工芸品を、たんなる「モノ」から、「物語」と「つながり」に変えていくこと。そして、こだわりと愛着を持てる「推し生産物」を作ること。
一次産業に、共感とサポートの輪を産みだすため、Pocket Ownersは生まれました。
Pocket Ownersが生まれた理由
Pocket Ownersの始まりは、EXest主催のオンライン動画コンテンツ「日本全国・地産伝承 いき物語」です。メインゲストにタレントの田村淳さんを迎え、全国のご当地に眠る逸品や、生産者の生き様、背景に息づく物語を深掘りしてきました。
番組自体は好評で、EXestとしても素晴らしい番組が作れたと思っています。ただ、1つ問題点がありました。
それは、放送で取り上げた商品の売り上げのこと。放送直後はもちろんかなりの販売数を記録するのですが、放送から時間が経つと、前と同様の販売数に落ち込んでしまいました。生産物に対して、恒常的な売り上げ増加のお手伝いができていなかったのです。
せっかく放送をきっかけに「農家さんの思いやストーリーに共感したから、応援したい」と興味を持ってくれた人が存在するのに、「買いっぱなし」で忘れられていってしまうのは、もったいない。
この課題を解決するためには、生産者と消費者をつなぐことにプラスして、消費者が生産者を支える「ファンコミュニティ」のような場が必要なのではないかと考えました。
Pocket Ownersでは、どんなことができる?
Pocket Ownersでは、農家などの「期間限定オーナー」となることができます。オーナーとしてできることはさまざまですが、たとえば、こんなことができることもありますよ。
生産物の生産状況をフィードで受け取る
生産物の収穫などの作業を実際に体験する
生産者さんとおしゃべりする
「期間限定オーナー」同士で交流
選んだ「推し生産物」を軸に、皆さんの世界を広げるお手伝いをするのが、Pocket Ownersです。
Pocket Ownersはどんな人におすすめ?
「安くていいものが欲しい」「コスパを重視したい」という考えで生産物を選んでいる人には、Pocket Ownersは刺さらないかもしれない、と思っています。
Pocket Ownersを一言でいうなら、生産物バージョンの「推し活」です。推し活を続けていると、思い出深い場所が新たにできたり、特定の国のニュースや歴史に関心を持ったり、同じものを推している人々と友達になれたりすることがありますよね。
生産物でも、これと同じことができるはずです。食や生産物を通じて、自分の世界をもっと豊かにするのが、Pocket Ownersのねらいです。
Pocket Ownersには、応援者同士でコミュニケーションを取れる機能も備わっています。「推し生産物」が同じ人同士の呟きを見たり、体験農園イベントに参加してみたり。生産物を応援するだけでなく、友達作りや仲間作りにも、ぜひ役立ててほしいと思っています。
「誰かと、何かを共有してみたい」
「生活に、小さな発見や気づきをもたらしたい」
そんなふうに考えている人は多いはず。でも、推し活をする、サークルに入るといったアクションは、時間と体力を消耗しすぎそうで躊躇ってしまいますよね。
Pocket Ownersで、ライトに誰かとつながりながら、日本の生産物を応援する。そんな新たな選択肢を、検討してみてほしいと思っています。
顔合わせ後は、9割の生産者さんが協力を約束
Pocket Ownersチームは2023年後半の3ヶ月で、300件以上の熱意ある生産者さんにアプローチをしました。おかげさまでたくさんの生産者さんからリアクションをいただき、2023年12月時点で、1ヶ月およそ60〜70件の生産者さんと、直接、もしくはオンラインでやり取りをさせていただいています。
これは少し自慢なのですが、やり取りをしていただいた生産者さんのうち、なんと9割がPocket Ownersへの協力を約束してくれています。生産者さんにとっても魅力の多いプラットフォームを提供できているのではないかと感じています。
ちなみに、2023年末にお話がまとまった生産者さんとは、2024年明けごろから、Pocket Ownersのサイト上でも順次ご紹介していく予定ですので、楽しみにお待ちください。
Pocket Ownersは、これからの一次産業のトレンドになるはず
農業業界はこれから、大規模農家か小規模農家の2つに分化していくだろうと私は予測しています。
大規模農家は、JAなどがサポートし、一定数の団体が経営するもの。多くの人々が利用する食品を生産するイメージです。従来の大規模農家と同じであるため、比較的イメージしやすいのではないでしょうか。
一方、これまで存在していた中規模農家は、これからどんどん少なくなっていくだろうと考えています。
後継者不足などで赤字が続く一次産業。兼業で働きながら、本業の稼ぎで赤字を填補するといった方法では、持続可能性は見込めません。これらの農家は大規模農家と一緒になり、日本の職を支えていくのだ思います。
一方で、中規模は難しいけれども、独自のこだわりや、特別なストーリーを持った生産物を提供する、小規模農家が増えていくのではないかと考えています。大規模農家を目指していくというよりは、思いを理解してくれる人たちと、こだわりを共有しあうといったイメージでしょうか。
Pocket Owners発足の目的は、生産物のファンコミュニティを作ることでした。しかし、Pocket Ownersの活動を続ける中で、このサービスが提供するものは、農業のトレンド、まさに「最前線」なのではないかと思うようになってきています。
大規模農家が提供する「生活の糧」としての一次産業はそのままに。新たな軸となるであろう、小規模農家の「こだわり」を共有するハブとして、Pocket Ownersを活用していきたいと思っています。
今、Pocket Ownersの取り組みに興味を持ってくださっている方々には、ぜひ応援者(=一口オーナー)として試しに登録してほしいと思っています。「農業の最新トレンドに乗っかっている」と言える、今は絶好のチャンスかもしれませんよ(笑)。
「こころのご近所さん」と、「楽しい」を共有する
私が最近、興味を持っている考え方に「心理的距離」という概念があります。
たとえば、毎日の通勤や通学で利用する駅は、家から1時間かかるとしても、何となく「近い」と感じませんか。ところが、同じ1時間の距離にある場所でも、今まで訪れたことがない場所については、とても「遠く」に感じられるのではないでしょうか。
物理的な距離とは必ずしも重ならない、「近い」「遠い」の基準。これを「心理的距離」と呼んでいます。
さらにこの考えを発展させれば、「近い」と感じる場所が自分と似通っている人のことを「こころのご近所さん」と呼ぶこともできますよね。これって、本当の「ご近所さん」よりも、はるかに親近感のわく相手だと思いませんか。
たとえば、初対面の人が2人いると考えてください。1人は「現在同じ自治体に住む人」、もう1人は「私が住んだことのある多くの場所に、深い思い入れを持つ人」。後者のほうが確実に、話が弾みそうですよね。
自分が好きなものや、落ち着ける場所を、同じく好きだと思ってくれる「こころのご近所さん」。そんな人ばかりが集まる場所があったら、それはもう、第二のホームといってもいいのではないでしょうか。
Pocket Ownersで「推し生産物」を作ることは、応援者さんたち同士を「こころのご近所さん」としてつなげることでもあります。「ここに来ると、絶対に気が合う人が見つかる」。そんなふうに思える場所を作れることで、生産者さんだけでなく、かかわる人全てをハッピーにできる取り組みがPocket Ownersなのです。
ぜひ、Pocket Ownersをご利用ください。あなたの、そしてあなたと知り合うことになる誰かの世界に、新たな喜びを生み出してみませんか。