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【提起】大学の学生募集広報を禁止したらどうか?
電車に乗っているとこれでもか!というほどの大学の広告。最近は企業も厳しいのか、企業よりは余裕のある大学に広告を依頼することが多いのか知りませんが多数見かけます。
しかし、大学は対象人口がほぼ決まっている、基本的に1つしか入れない、ある程度の序列がある、大学外との競合は下位層で短大、専修学校があるぐらいでほぼマーケットがかぶらないという性質があります。
たとえば居酒屋であれば同業者だけではなく、バーやファミレスといった他業態、宅飲みという別ジャンル、現在飲酒をしていない人への新規開拓、そもそも酒を飲まないという選択肢との競争がありますよね。
でも、大学は新規層の開拓はほぼ無理(就職しようとした人を大学に招き入れる、社会人学生の発掘はあるが割合的にはほぼ無いに等しい)、居酒屋みたいに何軒も同時にハシゴはできないし、せいぜい競合する地域・レベルの大学との奪い合いでしかありません。
それでいて、大学の広報費用は表に出ているだけで5%程度、もちろん裏でかかっている人件費や光熱水費、広告を打ち出すまでのコンサル費用などもあるわけですね。つまり、パイがあらかじめ決まっている大学業界からカネだけが奪われているという異常事態です。
こんな時こそ文部科学省の出番でしょう。
大学の学生募集に係る広報は禁止するのです。行っていいのは、自分の大学のオープンキャンパス、ウェブサイト、届出制の合同入試説明会ブース、文部科学省が管轄する大学紹介サイトだけとします。中吊り広告、予備校のタイアップ広告、テレビコマーシャル、直接の高校訪問などは禁止。
大丈夫ですよ、最初からマーケットの人数は決まっているし、序列もほぼ決まっているし、何も変わりません。変わるのは大学の支出額だけです。
特に地方の小規模大学をはじめ、生き残りをかけて必死などと言われていますが、自分たちで首を絞めているわけです。ただ、この手を緩めて、やらなかった時の失敗の責任を取らされたくないというチキンレースになっています。大学側から「一抜けた!」はもはやできないので、こんな時こそ官公庁の出番です。
え? 今の政権は財界にベッタリでドル箱を失いたくないから嫌だって? どうせそんなことでしょ、廃止できない本当の理由は。
もうどこかの大学がやるしかないですね。「受験生の皆さん、本学が学生募集の広告を打つのはこれで最後です。保護者(または学生本人)が汗水たらして稼いできたお金を学生募集のために使うのはしのびない! 共感してくれたら是非本学に来てください。本学は、学生のためにお金を使います」と。きっと共感をしてくれる受験生はいるはずです。