見出し画像

(書評)球団広報が『MBA必読書 50冊を1冊にまとめてみた』を読んでみた

福井ワイルドラプターズ球団広報の三木田です。

本は読んで終わり、としてしまうと「読了」が目的となってしまい、自分の血肉とはなりません。

そんな自戒も込め、読んだ本の中からタメになった部分を引用してまとめることでアウトプットの成果としたいと思います。

また、明日からの自分の行動に繋がるか、が本を読む大きな目的だと考えています。
ですので、引用部分も「明日から自分が使えるか」という軸で選んでおり、主観によるところが大きいですが、皆さまの参考にもなれば幸いです。

―――

■本書の概要

エリートと呼ばれるMBA(経営学修士)ホルダーが読むべきビジネスにおける必読書50冊を、1冊あたり数ページにまとめ、この1冊を読むと50冊の概要がわかるというスーパーお買い得な本です。

著者の永井孝尚さんは、経営戦略やマーケティングの講演を行うような、とにかくすごい方で、有名な著書として『100円のコーラを1000円で売る方法』など。
(#読んだことないけど聞いたことある)

全6章で、各章にビジネス書が数冊ずつ紹介されている構成です。

・第1章 …「戦略」
・第2章 …「顧客」と「イノベーション」
・第3章 …「起業」と「新規事業」
・第4章 …「マーケティング」
・第5章 …「リーダーシップ」と「組織」
・第6章 …「人」

―――

(参考になった部分には付箋を貼っていますが、こんな感じになりました)



―――

(↓先頭の数字は、本書で紹介されている本の順番)

☆第1章…「戦略」

■5、『良い戦略、悪い戦略』 (リチャード・P・ルメルト 著)

(引用)

・戦略で必要なことは、問題を真正面から見据え、分析し、「やること」と「やらないこと」を選択し、明確な方針にした上で、具体的な行動につなげることだ。

・ときどき「戦略は良かった。実行がダメだった」という人がいるが、それはそもそも良い戦略ではない。良い戦略には、明確な行動の指針も含まれる。

(感想)
⇒独立リーグのような小さい組織では「やらないこと」を決める重要性を日々実感している。その選択の際に重要になるのが、「理念」であり、そこから立てていく「戦略」になるのかなと。

―――

☆第2章…「顧客」と「イノベーション」

■11、『顧客ロイヤルティのマネジメント』 (フレデリック・F・ライクヘルド 著)

(引用)

・「新規開拓よりも、今の顧客」

・顧客生涯価値(LTV)を高める6つのステージをディズニーランドにハマったAさんで説明


【①顧客獲得コスト】
AさんはテレビCMでディズニーに興味を持つ

【②基準利益】
Aさんが入場チケットを購入することで、ディズニーは利益が得られる。

【③購入増加による利益】
ディズニーランドは、入場・アトラクションのチケット売上よりも、グッズ販売や飲食の売上の方か多い。顧客が長時間滞在するほど後者の利益は大きくなる。

【④営業コスト削減による利益】
Aさんのような熱狂的なリピーターになると、中のことを熟知しているためスタッフの手間が無くなり、ディズニー側のコストは減る

【⑤クチコミ紹介による利益】
Aさんのようなロイヤルティの高い顧客は、他人に熱心に勧めたり、知人を連れて来てくれる

【⑥価格プレミアムによる利益】
少々高くても、より価値の高い経験ができるならAさんは価格を気にしなくなる


(感想)
⇒テーマパークも野球も広く括れば、エンタメであり、顧客に提供するのは感動である

よって、球団に対してロイヤリティを感じてもらい、顧客生涯価値を高めるための施策は今後もひたすら考えるべき部分。
①~⑥のどこに課題があるかの分析から始めてみよう。

―――

☆第2章…「顧客」と「イノベーション」

■16、『ジョブ理論』 (クレイトン・クリステンセン 著)

(引用)

・問うべきは「顧客は、どんなジョブを片付けたくて、その商品・サービスを雇用するのか?」
→そのためには顧客の徹底的な観察が不可欠

(感想)
⇒球場に来てくれる方々は、私たちにどんなものを期待しているのか、どういった感情を抱きたいのかを考え続ける。

あるいは観戦に対する「不安」はどこにあるのか、その不安はどうすれば取り除けるか、も重大なテーマとして考えていきたい。

―――

☆第3章…「起業」と「新規事業」

■18、『アントレプレナーの教科書』 (スティーブン・G・ブランク 著)

(引用)

・新商品を成功させるために必要なことは、すばらしい製品を開発することだけではない。顧客に幅広く意見を聞くことでもない。

「どうしてもその商品が必要だ」という少数の顧客を見つけ、唯一無二の選択肢になることだ。顧客の範囲を広げるのは、その後だ。

(感想)
⇒これは金言。市場のパイを広げて「一人でも多く」といった思想になりがちだが、その分だけ競合も多くなる。ニッチな層に深く響き、需要を満たすようなサービスが重要。万人受けを目指し、中途半端にならないように。

―――

☆第3章…「起業」と「新規事業」

■24、『ブルー・オーシャン・シフト』 (W・チャン・キム/レネ・モボルニュ 著)

(引用)

「顧客第一主義」ではなく「非顧客第一主義」。
「非顧客」の苦痛を見つけ出し、それを解決することでブルー・オーシャン(未開拓市場)を開拓できる。

一見レッド・オーシャンの中にいても、ブルー・オーシャンの芽は至るところに眠っている。
顧客はなんらかの不満を必ず持っている。その不満を掘り起こす。

(感想)
⇒ここでも重要とされるのは「顧客の行動分析」。いかに顧客目線に立ち、実際にその商品やサービスを使い、不満の種を見つける観察眼がマーケターには重要だろう。

―――

☆第4章…「マーケティング」

■29、『フリー』 (クリス・アンダーソン 著)

(引用) 

「フリー」=無料 で収益をもたらす4つのビジネスモデル


①内部相互補助……(例)0円スマホ
→通信代金の中にスマホ代金を組み込むことで、スマホの機種そのものを見かけ上は0円に

②三者間市場……(例)Google、テレビ
→ユーザーが無料で使えるのは、広告主がGoogleやテレビ局に多額の広告費を払っているから

③フリーミアム……(例)Dropbox、COOKPAD
→一部のプレミアム会員が負担する。より良質なサービスを受けたいヘビーユーザーが、無料のライトユーザーを支える

④非貨幣市場……(例)Wikipedia
→社会貢献活動として行うもの。価値を提供することで、お金ではなく信頼を得る。

(感想)
⇒③のフリーミアム戦略は、スポーツの世界でも使えるかもしれない。
サブスクリプション(月額課金制)で提供できる球団の価値というものも今一度考えてみたい。

―――

☆第5章…「リーダーシップ」と「組織」

■34、『ビジョナリー・カンパニー2  飛躍の法則』 (ジム・コリンズ 著)

(引用)

自分のやるべきことを定める「ハリネズミの戦略」とは…

①情熱を持って取り組めること
②自分が世界一になれる部分
③収益をもたらすもの

この3点が重なったものに注力する

(感想)
⇒②の「自分が世界一になれる部分」が何かを探すことが、自分の人生における大きな意義の一つだと、この部分を読んで感じた。10年以内に見つけたい。

―――

☆第5章…「リーダーシップ」と「組織」

■37、『企業変革力』 (ジョン・P・コッター 著)

(引用)

企業変革が失敗する8つのパターン


①従業員の現状満足を容認する
②変革推進の連携を築くことを怠る
③ビジョンの重要性を過小評価する
④従業員にビジョンを周知徹底しない
⑤新しいビジョンへの障害を許容する
⑥短期的に成果をあげることを怠る
⑦早急に勝利宣言をしてしまう
⑧変革を企業文化に定着するのを怠る

リーダーシップとは、「一緒にあの山頂を目指そう」と方向性を決め、メンバーに「行こう」と動機づけて行動させる能力。

(感想)
⇒企業の核となる「ビジョン」を軽視せず、そしてそれらをどう組織全体に周知徹底していくか、は球団においても重要な要素だと日々感じている。

近視眼的に目の前の課題に向き合うのではなく、じっくりと俯瞰して森を見て、「長期ビジョン」「日々の取り組み」に整合性があるのかは、毎日振り返っていきたい。

―――

☆第5章…「リーダーシップ」と「組織」

■40、『スターバックス再生物語』 (ハワード・シュルツ 著)

(引用)

顧客の要望を取り込む仕組みをつくり「見える化」した。顧客がスタバ改善のアイデアや意見を自由に投稿でき、アイデアに顧客が人気投票できる「マイスターバックスアイデア・ドットコム」を開設。

開設後24時間で7000件のアイデアが寄せられ、1週間で41000件のアイデアに10万人が投票した。

(感想)

⇒これはすぐにでも転用可能。
球団のTwitterで日頃アイデアを募ったり、アンケートを実施することでインタラクティブな設計を意識しているが、もっとそうしたアイデアの一つ一つがより可視化されるシステムは球団としても構築したい。

―――

☆第6章…「人」

■48、『影響力の武器』 (ロバート・B・チャルディー二 著)

(引用)

6つの心理学的行動

①返報性…「相手への借りは必ず返すべきだ」と思ってしまう
②一貫性…「決めたことは守ろう」と思ってしまう
③社会的証明…「皆がやっていることは正しい」と思ってしまう
④好意…「好きな人だからきっといい人」と思ってしまう
⑤権威…「権威がある人は絶対に正しい」と思ってしまう
⑥希少性…「手に入りにくいものは良いものだ」と思ってしまう

(感想)
⇒スーパーの試食(返報性)、「この商品売れてます!」のポップ(社会的証明)、「限定10個」といった訴え(希少性)など、身の回りを見渡すと、あらゆる原理に基づいて、人を動かそうとすることに気付かされる。

買う側・売る側どちらにおいても、こうした心理学は頭に入れておいて損はないだろう。


――――――――――

■おわりに

かなり抜粋したものの、それでも4000字を超えてしまいました。
(ほとんど引用ではありますが…)

1冊を全部読む時間はなかなか取れない人のために参考になれば幸いです。

また、現職の球団広報やこれまでの自分の経験を踏まえ、自分なりの情報をもっと付加できれば、ただのレビューではなくなると思いますので、今後はより(引用)をコンパクトにし、(感想)に厚みを出せればと思います。

お試しでやってみた書評noteいかがでしたでしょうか?

ポジティブな感想が聞けると、今後続けるモチベーションにもなりますので、ぜひお気軽にご意見やご要望を教えてください。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
(執筆時間は2時間半でした…)

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集