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goldrush00
寂しさと好きは別のもの
お互い引き寄せられた。寂しさと好きを織り交ぜた。
まるで運命のように、足りないものを補ったように。
きっかけは友人からの紹介だった。彼は遠くの斜め後ろが座席だった。私のことを眺めていたようだった。
連絡を取り始めてからは、すぐに何時間も電話で話した。そして毎日会った。私からはあまり話さないことも、彼は上手に引き出して話を聞いてくれた。家族のこと、友人の事、好きだった人の事、バイトのこと、学校のこと、なんでも話した。私の話で彼は泣いてくれたこともあった。
彼は何年も付き合っていた彼女と別れたばかりだった。毎日が寂しいと言っていた。自分は休みでも、学校まで車で送ってくれたこともあった。右手はハンドルを持ち、左手で手を繋いでくれていた。彼がいない人生なんて想像できないくらい毎日が急に華やかになって、浮ついて、充実して、恋して、愛して、大好きだった。
毎日会って1週間が経った。彼の誕生日が迫っていて誕生日に付き合う予定だった。
彼の誕生日。いつもと様子が違ったのが何となくわかった。
別れ際、実は、元カノが忘れられない、もう会えないと言われた。まさかと思った。こんなに毎日大好きで、愛していたのに振られたのだ。どんなに泣いても、どんなに感情をぶつけても、彼は私の気持ちを心に入れることはなかった。最後に彼への誕生日プレゼントに買ったピンクのシャツを投げつけた。車の扉を閉めた。最後のキスをして。
それから毎日泣いた。何も無くなった夏休みだった。夏休みを機に、彼は私から逃げるように学校を辞めた。私と会うことは一切無くなった。
車を運転する度に彼の車を探した。ある日偶然にも彼の車とすれ違った。
間違いなくあの日私があげたシャツを着ていた。
もう私が見ることは無いのに