30日間の革命 #革命編 141日
加賀はその日、メンバーと文化祭当日の動きや段取りを最終的に確認し解散した。あとはもう実行に移すのみというところまで何とか決めることが出来た。加賀が言った2つの策については、加賀が残りの2日で動くこととなる。残されたのは僅かな時間であるが、やれることは全部やる。そんな気持ちでとにかく動くしかなかった。
翌日、さっそく加賀は動く。1つ目の策を実行するために。加賀が向かった先は、生徒会室だった。生徒会室に着くと、ドアをノックし扉を開けた。すると、中には仙波が一人で作業をしていた。
「あら珍しいお客さんね。どうしたの?」
仙波は加賀が訪ねてきたことに少し驚いている様子だった。
「急にごめんね。今は仙波さん一人?」
「うん、そうだよ。何か用事でも?」
「えーと……、馬場くんって今日はここに来るかな?」
「馬場くん?そうね、多分この後来ると思うけど、どうしたの?」
「いやー、ちょっと話したいことがあってね」
加賀がそう言うと、仙波は少し目を細めた。
「……もしかして坂本さんのこと? それだったら残念だけど生徒会は関係ないわよ。坂本さんが停学になったことを知ったのは私たちも昨日のことだし。正直こっちが驚いているくらいだから。こんな形で決着がつくなんて思ってもなかったしね」
「決着って。まあいいけどさ。それと、小春のことを聞きに来たわけじゃないよ。今回は俺自身が馬場くんに話があって来たんだ。なら申し訳ないけど、馬場くんが来るまでここで待たせてもらうよ」
加賀はそう言うと、生徒会室のソファーへと座った。
「……別に待つことは構わないけど、話ってのは何なの?」
「そりゃ馬場くんに直接話すよ」
「……私には言えない話なのね」
「いや、そういう訳でもないよ。この後馬場くんが来たら一緒に話を聞いてもらっても大丈夫だし。ただ、まずは馬場くんに直接話したいって思ってね」
「……まあ好きにするといいよ。私はここで作業をしてるから」
「ありがと。邪魔しないように静かに待ってるよ」
加賀は笑顔でそう話した。仙波は少し解せない表情を見せながらも、再び作業へと戻る。
馬場が来るまでの間、二人きりの時間が続く。加賀はリラックスしているようだったが、仙波は少し落ち着かなかった。時折加賀のことをチラッと見てみる。そしてすぐさま目線を外す。加賀がどんなことを馬場に言うのか仙波には分からない。ただ、この二人きりの空間と静寂がどこか心地よく感じていた。このまま馬場が来ないでこの時間がもっと続けば良いとさえ思っている自分がいることに気づいた。
しばらくして、その静寂は終わりを迎える。生徒会室の扉が開き、馬場が入ってきたのだ。馬場は加賀のことに気づくと、
「あれ、加賀先輩じゃないですか。こんなところで何やってるんですか?」
と加賀へ話しかける。加賀はゆっくりとソファーから立ち上がり、
「あぁ、急にごめんね。ちょっと馬場くんに話したいことがあってね」
「……僕にですか? 興味深いですね。ぜひ聞かせてください」
馬場はそう言うとソファーへと腰かけた。加賀も対面するようにソファーへと腰をかけ、馬場に向けて話しを始めた。
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